夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
全487件中、21~40件目を表示
諦めがついてからの話
会社に泊まり込むのが日常なほど
仕事に忙殺されてきた上昇志向の強い人が
町の小さな会社でそこを居場所だと思える
これは容易いことじゃない
そこまでどれほどの葛藤や苦難があるか
PMSであんな頭おかしいキレ方する人間を
受け入れてくれる会社レアすぎる中で
まだ最終決まってもないのに退職願出せるの
あまりにすごすぎて驚く
PMSもパニック障害も自死遺族も
悩んでるそぶりや抱えてるそぶりはあっても
そこに深くは踏み入らない進み方で
表面的に感じた
自死遺族の登場のさせ方とか
人の死を深そうにするための
ちょうど良いエッセンスみたいに使っていて
かなり嫌悪
精神科医がパニック障害の患者に
医師の倫理観に欠ける牽制したり
話ろくに聞かずに薬出して
ちゃんと治療しないところとかは
精神科医の本当に最低だけどリアルで
あそこはとてもよく描かれてるな、と思った
あとは上白石萌歌、へたくその演技上手かった
プラネタリウムのナレーションのとき
素人の頑張ってる感がしっかり出てて
しっかり演技に向き合ってるのを感じた
情緒不安定の人
静かに凄い映画
静かに凄い映画。
見ながら幸福感が段々と馴染むように沁みてくる。
この監督の前作「ケイコ 目を澄ませて」では結構尖ったものを感じたけど、今回はとても巧みで引き込まれる。
上手に盛り上げて、ラストシーンも秀逸。とても普通で。その普通さが泣ける。
前作と同様に16ミリフィルム撮影。監督は、その質感が好きなのだろう。デジタルカメラの硬い鮮明な映像と違い、16ミリは、解像度が高すぎない、被写体と少し距離があるような、あまり語りすぎない映像が好きなのかもしれない。リアル感だったり、第三者的な距離感のある感じや、空気が写っているようなところが。
とても自然なのに、作り込みの凄さを感じる。色々と仕掛けている。それを「あたかも」でなく、さりげなく。観客に気づかれなくてもいいようなある意味奥ゆかしさ。
映画は、語りすぎない方が上手く行くことが多い。語りすぎると本質がボケてしまう。
カメラも無闇に動かすのでなく、どっしりと構えている。するとフレームの中で人間が活き活きと動きだす。
とても映画的な高揚感がある。この映画には、溝口健二も相米慎二もいるよな~と思いました。
<原作を読んでから2回目鑑賞>
原作にあったクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」の話がなかったり(版権の問題だと思う)細かい点が違うけど、一番驚くのは、クライマックスは映画のオリジナルだということ(原作には全くない)。
あのプラネタリウムの話は、とても丁寧に伏線(亡くなった社長の弟の語りのテープなど)を作り、とても自然に、原作にあったのかと思えるぐらい原作の意図を的確に「言葉」に変えて、上白石萌音のナレーションと映像で映画的なスペクタクルを演出して、映画的な深みを与えている。
とても良かった
演技、台本、BGM、作品のすべての質感がとても良く、いろいろ受賞しているだけはあると感じた。
パニック障害やPMSというセンシティブの当事者の生き辛さを丁寧に描き、決して悲観的にはさせない塩梅が素晴らしかった。
また、変に恋愛的な展開にならないのも中年の私にはありがたい。
夜と朝と人の暖かさ
三宅監督が撮る光の中で
三宅監督前作「ケイコ 目を澄ませて」同様、画面に陽が差し込むとこちらまで日光の暖かさを感じるような柔らかな空気感を映した本作。
そこに描かれるのは決してドラマチックではない、市井の人がただ"居た"という記録です。
登場人物に自分を重ねるわけでもなく、派手なドラマに心を動かされるわけでもなく、ただ彼らが出会い変わってゆく様をじっと見つめる。
私はこの映画が大好きです。
エンドロールの動線の美しさ
松村北斗くんは正直今まであまり気にしていなかった。それが、1sr kissでの彼の演技を観て良いなと思い、レビュー評価が高い夜明けのすべてを観ておけば良かったな、と思っていたところ、フォローしている方から再上映の情報をいただき、先日鑑賞しました(有難うございました!)。その後、かなり忙しくやっとレビューを投稿できる時間が取れました。
主人公達はそれぞれに病気を抱え、辛い時間を過ごしているはずなのに、見た目のストーリーは淡々と流れていく。自分の世界が狭くなってしまう苦しみ。もっと色々な選択肢があったはずなのに。もっと色々な事ができたはずなのに。それでも生きていかなければいけない。2人はそれぞれに自分の道を見出して、それぞれの道を歩いていく。
上白石萌音は徐々に仕事の選択肢が狭まっていく過程を。松村北斗はバックキャスティングで、今の状態になった過程や彼の病気の状態を映し出している。2人へのアプローチの違いが良いコントラストをもたらして、そのままだとテアトル新宿系になりそうな雰囲気や淡々と流れていくストーリーに明るさや変化を与えて飽きさせない。
ハッとしたのは、松村くんの、「自分の病気はどうにもならないかも知れないけれど、藤沢さんの事は助けられることもある」と言う言葉。自分が健常でなくてもできる事があり、その対象が他者だという事。辛さや苦しみを知っているから、気付く事ができる。優しくできる。それも人間の本質の一つだと思う。
人間関係も流れていく。だけれど、その時大切だった人を思い返して、良い出会いだった、と振り返る事ができるのは幸せだ。通り過ぎていく人と人。その中で交わるその点が、立体になり、また次に進んでいく。そのようなオブジェクトをしっかりと幾つか持つ事ができたなら、人生は充分だったと言えるのではないだろうか。
エンドロールのお昼休みの風景は良かった。何気ない日常の風景だが、これまでの過程を観てきたから感じるその大切さと愛おしさ。皆が流れていく動線がきれいだった。
あ、散髪のシーンは思わず吹き出して笑ってしまいました。笑
良い作品でした。
ネトフリで観たのですが、映画館の大画面で観たいとずっと思っていたと...
ネトフリで観たのですが、映画館の大画面で観たいとずっと思っていたところ再上映があり念願叶って鑑賞。
映画館で観るのはやはりいいですね。
淡々とした内容の映画なのですが、主演の二人の演技力もあり、辛さの表現とか心情の変化とかがとても良い。
観た後にスッと優しい光が差すような映画。
苦しみやツラさがきちんと伝わってくる
良かった。スゴく良かった。
淡々としていて、それでいて主人公達の苦しみやツラさもきちんと伝わってきて、訳ありの会社の訳ありらしい社長や社員達のことにも、何となく思いを馳せることが出来ました。
そういう意味では、観客が映画の世界に忖度する物語なのだけれど、それが心にとても染みました。
ダブル主演の上白石萌音さんも、松村北斗さんも、どちらも良かった。
脇役の皆さんも素晴らしい。
光石研さん、良いですね。
観ているだけで優しい気持ちになる
朝ドラで夫婦役を務めた二人が主演していることでも話題になった本作。
それが顕在化しているか、ぱっと見では分からないかは別として、学校や職場ではほとんどすべての人が多かれ少なかれ何らかの問題や悩みを抱えており、それらの人々とどう向き合い対応していくのかは、現代を生きているあらゆる人にとっての課題であろう。
職場でも毎年のように研修を受けることが義務付けられているし、知識としてはそれなりに持っているとも言えるが、自分が常に正しい言動を行えるかといえば、そこまでの自信はない。
でも、特に大きなイベントがある訳でもない、ほんわかとした日常を描いた本作を観ているうちに、あれこれ難しいことなど考えずに、ただ誰に対しても「思いやり」を持って接すればいいだけじゃないのか、という気になってくる。
観ているだけで優しい気持ちになる佳作。
渋川さんと光石さんという処方箋がほしい
自分の弱さや羞恥な部分を誰かに理解してもらえないのは普通であってそれが当たり前。ほんの少しでいいから“人に甘える”これがもの凄く難しいからだ。
私の周りにも〇〇失調症やPMSの知り合いがいてそんな自分も10種類以上の薬を飲むような毎日を過ごしている。
山添くんの「全然違いますよね?(病気のランク付け)」は日常あるあるで藤沢さんに同情しちゃったな。
後半は2人でお互いを助け合うという概念が生まれこれが病気と上手く付き合うための希望になった。
ただ、正直周りに理解してもらったり助けてもらえる環境は何処にもないのが社会で現実なのである。だから鑑賞していて辛くて仕方がなかった。
作中の光石さん演じる社長の温かい眼差しと話し方、渋川さんが演じる元上司としての聞き手としての振る舞い方。お二人の存在が物語の中でとても柔らかエッセンスに感じ取れて心の処方箋になっていたのが良かったですね。
人との関わりがすべてな人間
パニック障害もPMSも、発達障害などと同様に周りの理解が不可欠な症状だが、公表しても偏った目で見られたり適切どころか不利益な扱いを受ける可能性もあるため、人に言うことを隠す・迷う・躊躇いがちな病気だと思う。きっかけも改善も、本人の怠惰などとは関係がなく、コントロールが難しく服薬の副作用にも苦しむことがある。
藤沢さんも山添くんも、元々違う職業に就いていたが、職場絡みの状況で発作が出てしまい、小さな中小企業の組み立て作業に転職を余儀なくされた。
でも、そこでの人間関係は狭いので気遣い必須な一方で、深い理解をしてくれる。
蓋を開けてみれば、光石研扮する社長は兄弟を自死で亡くし30年近く心に痛みがあり、1番気を遣ってくれる久保田磨希扮するおばちゃん社員は恐らくシングルで黒人とのハーフの子を育てている。
みんな何かしら抱えているから、人の気持ちがよくわかる。
一方で、松村北斗演じる山添くんにも、上白石萌音演じる藤沢さんにも、2人との対比かのように、この2人の元々の人生を見せるようにそれぞれの友達が出てくる。
その友達も、片想いに悩んだり、転勤による人生計画崩壊やら、気を遣う人間関係やら、みんな気を遣って生きている。
天体観測キットを製造販売する小さな職場の同僚達が、藤沢さん山添くんどちらの病状も本人がカミングアウトするまで他には漏らさずにいるのが本当に素晴らしいのだが、藤沢さんと山添くん両方がお互いの病気を知った時、山添くんがPMSについて理解すべくかかりつけ医で何冊も本を借りてきて、藤沢さんの発作時に1人で車を洗ってという適切な提案までしたのがとても良かった。自分の殻に精一杯だったところから、他に視点が向いた時、再び元々できていた社会への適応に一歩近付くのだろう。藤沢さんも無愛想な山添くんの発作時に、一歩勇気を出して買い物してきたり、髪を切ってあげたり、歳も近い2人にお互いに思いやりが生まれる。
このまま仲が深まり結婚まで進んでもおかしくないが、本作の脚本はちょっと意地悪で、藤沢さんがそもそもPMSの症状をピルで抑えられない理由は、お母さんが血栓症で、血栓の副作用の可能性があるピルを飲めないから。お母さんは、藤沢さんが就職してからの5年間で、随分症状が進んでいた。最初は藤沢さんが発作を起こしても、迎えに来てくれたりホッとする存在だったが5年経つ頃にはリハビリしても歩行もままならずデイケアの車椅子生活を地元で送っている。
藤沢さんは、職場の小学校でのプラネタリウム会の企画と脚本を無事に終えたところで、地元に転職し母の介護との両立のために退職を決めたのだった。
山添くんは元の職場に戻るか迷うが、そのまま今の環境に残ることを決める。中小企業にとって、元々は少し扱いにくい現代的なドライな若者だったかもしれないが、大きな頼りになるであろうことを予感させる。
人生も大きく揺れ動く20代の持病持ちの男性と女性を、社会的に育成し、経済的に支え、包み込む職場の面々の存在がとても温かく、日本人的距離感が映像化されており、中小企業のメリットもデメリットも見えるが観るものの心には良かった作品。
病状が良くなってきたところで、事故に遭うとかなにか悲劇が起こらないよね?!と作品の起承転結に振り回されないか心配になるが、物語は淡々と進み、安心のラストを迎えられた。
職場理解がありすぎて、勤務中に忘れ物を届けたり買い物に行ったり、生産性が心配になるような職場。
でも、山添くんが元々いた職場の上司もずっと心配していて、自死した家族がいる共通点から、今の職場の社長と繋がっており、その紹介で山添くんは今の会社に入れた経緯もある。
夜明けの直前が1番暗いらしい。
その通り、闇と思っても朝がくるし、夜には星がついている。
どんな時も、人間は結局人間との繋がりで救われていくのだなと。
藤沢さんは方向音痴だから星に何度も助けられると言っていたのが、その比喩に思えた。
藤沢さんは生理前の怒り衝動に駆られるヤバい時は1人になり車を洗うなど黙々と作業する回避策を見つけたが、山添くんが気にかかる。発作が突然起こり電車もバスも美容院も無理な身体、住む場所も徒歩圏に限られ、まず駅に入るまでを試してもやっぱりまだ無理で、発作時にはしんどそう。発作が遠ざかる何かを見つけられるのだろうか?
僕と彼女と彼女の生きる道で冷たい印象の母親役だったりょうが、藤沢さんの母親役として出てきて、藤沢さん目線で傷付けられるかもと少し身構えたが、要らないものを沢山送ってくれるくらいの地元からエールを送る母親でびっくり。PMSが冷えで悪化するのを心配して、自由の効かぬ身体で毛糸のミトンを送ってくれて、それを身につけて真っ赤なミトンにみかんを抱えておばあちゃんみたいになっている若者の藤沢さん。
同世代の山添くんの都会的な元同僚とは対照的だが、若者同士のマウントや傷つけ合いや山添くんの取り合いに発展せず、善意で回っていたところがとてもとても良かった。
自分も適切な配慮を取れる優しい大人でありたいと思わされた。
主演のアイドルファンが評価してるだけ…
アカデミー賞作品賞にノミネートされてたし評価も高いから見てみたけど、冗長で退屈。
何でこんなに評価が高いのかと思ったら主演がアイドルだったので納得。
キネマ旬報もサブカル的な人気の作品に票を入れちゃうんですね…
優しくなれる、できない自分を許せる
話題作をやっと観た。
松村北斗が、映画やドラマに露出が多い理由が分かった気がする。
性格の良さが自然体で表現されている。
上白石萌音の、不器用で真っ直ぐな主人公にも共感できた。
病気からくる辛さ、シンドさ、抑えきれないイライラ感が伝わってきた。
朝ドラの「カムカムエヴリバディ」の夫婦役だった二人が醸し出す雰囲気がとても心地よい。
社長役の光石研さん、さすが。
弟の位牌に献杯するシーン、松村北斗の山添がお酒をついで、二人で手を合わせるところ、自転車のヘルメットを被ったままの姿が、山添を思う優しい気持ちにあふれていた。
最近観たドラマ「アンサンブル」でも、主人公である松村北斗を愛情深く見守る(義理の)父親をやっていた。
少し残念だったのは上白石萌音の藤沢美沙と母の関係、転職を決意したのは母への思いからだったので、掘り下げて描いてほしかった。
でも、まわりに優しくなれる、できない自分を許せる気持ちにしてくれた映画だった。
2515
病気をどうにかしようじゃなくて
藤沢「パニック障害は平日は仕事行きたくないのに 土日になると会社に行きたくなるの?」
山添「PMSだからって何でも言いたいこと言っていい訳じゃないですからね?」がなんかおもしろかった(笑)会話の勉強になった。
山添の彼女は彼の(山添の)パニック障害はどうしたら治るか?病気をどうにかしようとしていたけど、症状は違えどPMSのもねと職場で出会って病気をどうにかしようじゃなくて供に生きていくようになり病気を邪魔者にしなくなってとけてきたのだと思う
なんで治らないんだとかなんでできないんだとか自分を責めるとますます自分が大嫌いになり人にも攻撃的になってしまいます。
疲れ果てた顔が上手い萌音ちゃん
この後怒りだすな〜と何となくわかる😡
メンタルクリニック受付の方が◯番の方診察室にお入り下 さいが、以前通院していた病院と一緒だった
食べ物を買ってきてくれたり、あなたのイライラする前にそれを止めますとか家で一緒にお菓子を食べたり。そかいうなにげないことが人とできたらどれだけ心の支えになることか!!
会社の人も急にキレておかしい人だと変な目をする人 がいなかったから安心した
山添くん食べている物がおいしく感じられてよかったね👍🏻
時が流れていつの間にか...。が大切だと思う
時が流れることを会社の中で皆が速送りで動いて明るくなったり暗くなったりで表していた
今の会社で働いてなかったら藤沢さんと会ってなかったら...
人との出会いって大切だな~。
サウンドがヒーリングだった🪵
最初の方で藤沢さんの友達が藤沢さんを連れて行って霊媒師に見てもらってたけどなんでこんなことするのか?とか思ったけどそれも友達の優しさってことのかな?
恋愛につながらないもの、でいいのだ。
日本アカデミー賞で知った映画。上白石さん、堂々として綺麗でした。人生って絶望感満載の、まさに夜明け前な時が度々訪れる。幸せそうな人に見えても心と身体は嵐の真っ最中とか。そんな希望のない毎日の中で起きた、お互い期待してない人間関係の中で神様はまた一本の「トラブル」の系を垂らす。何が自分に「世界」を繋げてくれるかわからない。自分以外の人が自分を理解しようとしてくれた、その想いを自分も汲み取れた時、ちいさな「奇跡」が起きるきっかけになるのかもと思った。2人の男女が恋愛に発展しなくても、好感度はお互い良い関係って奇跡だよね。焦らず、自分の気持ちや生活を大事にしながら正直な気持ちも伝え合える関係は、地味だけど最高の幸福感。時に期待は裏切られてもそれでもよし!私、できたよって思える階段を一歩づつ進む、それが気づけば夜明けになるって信じたい。
プラネタリウムの話が素敵で、宇宙と自分は無関係ではない。爽やかな風が吹いたような映画だった。身近なテーマがじんわり身に染みました。
全487件中、21~40件目を表示