「キャラの解像度が高いようで低い。それが人生ですか????ん?」夜明けのすべて Jjjjさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラの解像度が高いようで低い。それが人生ですか????ん?
原作未読。不安障害を抱える身として何か共感できる部分はないかと思い視聴。PMSとパニック障害に翻弄されるふたり、グリーフケアの会に参加する社長と元上司、の割に掘り下げられない登場人物たちの背景に少し物足りなさを覚えたが、綺麗な映画。
PMSにあそこまで苦しめられてたら、いくら家族に血栓症がいたってピルを処方してくれないものなのか。ピルがダメだからと精神安定剤を処方されていたが、パニック障害が発作を起こした時に服用するような薬をPMS患者に一発目に処方するものなのだろうか。そっちの専門家ではないので単なる疑問だが。(主人公2人を引き合わせるキーポイントとして使いたかったのは分かる)私だったら、仕事中に眠ってしまうほどの薬なら先生に再度処方しなおしてもらうけどなぁ。そもそも、最初の辞職するまでのストーリーを急ぎ足にする必要はあったのか?
また、月に一回必ずヒステリックになる、というのも中々生理に対する解像度が低いのではないかと思った。ものすごく単純すぎる。映画として分かりやすいようにしているのだろうけど女って、PMSって、そんな単純なものではないはずだ。あ、今月はなんか平気^^みたいな演出一個でもあったらめちゃめちゃおもしろかったのにな。
主人公1人くらい背景とストーリーをもっと深掘りしてほしかった。
ただ、お友達に謝りLINE考えてるシーンの「俺パニック障害なんで(笑)」のくだりは妙にリアルで心にチクっときた。パニック障害もPMSも、受け取る人からしたら言い訳にしか聞こえないこともあるだろうし、逆に過保護にされることもあるだろうし、難しいね。
人の温かみ、繋がりに焦点を当てたせいか、細かいところにツッコミどころ、気になるところ満載で主人公たちに対する没入感はそこまでだった。
主演2人、他の俳優陣にあそこまでの演技力がなかったら、なかなかの駄作になってたのではないだろうか。なんだか奥にすごく濃いミソが固まってるのにうわずみだけ飲まされてる感覚。だが、それが人生なのだ。みたいなメッセージを込めた作品なのだろうか。みんな何かを抱えながら生きている^_^みたいな映画なんだろうか。
映像的にあの放送部の子達が撮った映像を見せられてる体なのだろうか。
パニック障害ではないからなんとも言えないが、気持ちがいっぱいいっぱいになった時帽子を被ったり、2人で読書してる時、「あとがき」のページまで読んだら本を閉じたり、終盤になって初めて会社のみんなの朝の挨拶が聞けたり、細かな演出はすごく気を使っているのは良かった。
「PMSとパニック障害って比べものにならなくないですか。」みたいなセリフもよかった。生きづらい、なにかを抱えてても比較になるものではないし、そこで一回対立があってもおもしろかっただろうな。でも、開口一番パニック障害ですか?とか、あ、僕PMSに興味あるだけなんで。とかなんかこう節々にモヤつく部分がある。
まあ、あの世界の2人が良ければいいんだけど。
と思わせてくれるくらい現実味のある世界観。なんだけどなんだか足りない、物足りないなぁ。