aftersun アフターサンのレビュー・感想・評価
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説明と推察有りき。
11歳の頃、離れて暮らす130歳のパパとトルコのリゾートで過ごしたバカンスをパパと同じ歳になった娘が振り返る話………で良いのかな?
両親が離婚してママとエジンバラで暮らすソフィと、別の町で暮らすパパということは判ったけれど、20年後にビデオをみて振り返っているとか、当時知らなかった一面を知るとかはあらすじ紹介を読まなければ全然判りません。
というか現代パートはハッピーB.D.やストロボダンス等細切れでトータルでも1~2分位しかなかったんじゃ?
時々ビデオカメラを回しながら、バカンスを楽しむソフィと、たまに空回りしたり噛み合わない様子をみせるパパ…病んでいるのかな?
そんな2人の様子をひたすらみせていくだけで、後は推察しろってことなんだろうけど…。
あくまでも個人的推測だけど、病んでいたであろうことに当時は気づかなかったとか、これが最後のパパとの思い出とか、何ならこの後パパは…とか、そんなことを思わせたい感じですかね?
もうちょい描いてくれないとちゃんと伝わらないし、みせられているものはノペーっとしたものだけだし、あらすじ紹介読まなきゃほぼ解らないよね?ってことで、映画として完結しているようには感じられなかった。
当時の記憶と父への想像が繊細にそして鮮明に蘇る
この作品は、前半は正直「演出がよくわからんな」と感じることもあったが、次第に以下に示すような構造に気づき、ぐっと惹き込まれた。
本作で描かれるシーンは、「少女時代のソフィアの記憶の想起」「父に対する想像」「少女時代に撮影された映像」の3つが混じり合っている。
例えばパラグライダーや若者同士の飲酒、濃厚なキスシーンなどは、当時のソフィアが目撃した「大人の世界」の記憶を描いたものであり、冒頭に父がバルコニーで踊るシーンや夜の海辺に消えるシーンは、当時のビデオから想像する「こんなことをしていたのだろう」という父の姿を大人のソフィアが想像したものと思われる。
そしてそうした記憶は、肌触りや鼻息が聞こえるほど繊細で鮮明に蘇る。
監督の他の作品や影響受けた作品が気になってパンフレットを購入してしまうほど印象的な作品だった。
かなり観る人を選ぶ映画 注意!
父親と娘の一夏の思い出・・・ほぼ全編を通して大きな出来事が起こることはなく、はっきりいって映像の美しさより退屈さが上回る。
例えば父親と娘の一夏のバカンスというと、ソフィアコッポラのサムウェアも連想させるが、彼女の作品のように分かりやすく父親が再起するような物語ではなく、心の揺さぶりも少ない。
本作はこの世にはいない父親を、亡くなった父親と同い年になったソフィが過去の思い出のビデオを観ながら、父親がどのような人物だったのかを追憶していく。
ソフィの思春期前の性への好奇心と父親の不安定さを描いているのだが、とにかく映像から読み取らせようとするため、説明が少なくわかりづらい構成。
個人的にはもう少し現代の映像で説明的な映像なりセリフがないと、この旅が彼女にとってどのようなものであるのか=大好きだった父が最後に残してくれたものが伝わらないと思う。
THIS IS OUR LAST DANCE!!
本作の予告や前半を見た感じでは、ソフィアコッポラのSOMEWHEREを彷彿とさせ、父と娘が過ごす短く淡い夏のひとときを切り取ったような作品かと思っていたが、とんでもない。
まさに日焼け跡に塗るオイルのようにヒリヒリとしていて、優しいようで痛い作品である。
ひとまず、淡くノスタルジックでヴァカンス気分にさせるカメラワークが見事で、
ゆったりとした緩慢な旅行の休日の、
その一つ一つの細部が粒のように際立つ感覚を我々に与える。
それは、照りつける太陽、他人の肌の産毛や艶やかさ、くっきりとした日焼け跡や汗で肌に張り付いたTシャツ、プールの匂い、旅先で浮かれ気分の人々の残像、これらは極めて個人的な思い出であるにも関わらず、誰もが体験してきた長く退屈なあの頃の夏休みの感覚を
追体験させる。
それはホームビデオというよりは、それらを通して一つ一つの記憶をなんとか思い出そうとしているかのような作りだ、
つまりホームビデオを通した11歳の瞳を通した現在(31歳)の瞳があの頃の父をみつめているのだ。
おそらく彼女にとって父とは、
永遠にあの頃の姿のまま暗闇に消えていってしまったのだ、それが度々現れる不穏な映像やラストシーンで明らかになる。
度々暗闇に消えては浮かぶ父の姿。
その背中の孤独感。
また、度々挿入されるクラブシーンが忘れられない。
大人になった彼女の声は父には届かない。
愛していると何度も何度も泣き叫ぼうとも、
全て混沌と騒音の中に掻き消され、抱き合おうとしても引き剥がされる。
おそらく彼女は父との記憶を心の奥深くに封印しながら長い間過ごし、ようやくあの頃の父と同じ歳になり、親になったタイミングで意を決心してビデオを再生したことが伺える。
そしてそこまでしなければならなかったようなことが、この映像の後で二人の間に起きたことも、なんとなーくでわかるのだ。
そういうことを、何一つ説明することなく
描ける脚本や演出の手腕が際立つ。
昨今の説明過多な作風とは真逆で、
処女作にして極めて洗練された出来である。
また、鬱の人間の感情の機微をちゃんと描けていたのがよかった、私も個人的に似たようなことがあったような感じなので、この欝の人間のリアリズムには感心した。
そして問答無用で名シーンの、アンダー・プレッシャーで踊るシーンと、ラストのカメラのパン。、この2つのシーンだけでも名作であることは確定した。
フレディが give love!!give love!!と叫び、ボウイがTHIS is our last dance、this is ourselfと締めくくる、ここまで歌詞がシンクロすることがあるのかと。
映像、音楽、脚本、俳優、まさに
奇跡のマッチングです。
二度視聴することで理解が深まると思います。
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