aftersun アフターサンのレビュー・感想・評価
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回想と追憶と...
Under Pressure
めっちゃ好き。つらい。悲しい。でも好き。
兄妹のように見える仲良し親子のホームビデオを観ているようだが、20年後のソフィが出てくることで、これはしっかり観ないとダメだぞと思わせる。
31歳の父親は娘に対して良い父親でいようとしているが、どこか無理をしていて、危なっかしい面が見え隠れしている。
11歳の娘は父親の不穏なところに多少は気づいているが、思春期の少女らしい気遣いと距離感で接している。
それがとても自然で、互いを大事に思っているのが伝わるからこそ、20年後の無表情なソフィとの対比がつらい。擦り切れるほどビデオを観て父親に寄り添おうとしている現実が悲しい。
説明的なセリフは一切なし。思わせぶりな映像は満載。
どう考えても悲観的な結末しか想像できない作り。つらい。悲しい。でも好き。
ソフィ役の子、うますぎる。
人を選ぶ映画かもしれないが、紛れもない傑作。
難しくって、理解できたかどうかわからないけど
ソフィアの問いにカラムが答えるまでの間がとにかく長い。どんだけ長いかって言うと、「さあ、どんな答えをするのかな?」って息を詰めて待つのだけれど、こらえきれずに「ぷはぁ~」ってため息が出るくらい。
なんで答えないのよって思ったんだけど、そうか!これはソフィアの心の中の「小さなカメラ」に残っていた動画を再生しているからなんだね、ソフィの心だからカラムがその時何を考えていたのかは同じ年になったソフィが推察せざるを得ないから時間がかかるし、明確な答えが出なくたって、それはそれでありだもの。
色々モヤモヤはあってカラムは何故エディンバラは太陽が少ないから戻らないと思うのか?何故カラオケは歌いたくないのに踊りたいのか?などなど。
だけど一番は、この作品はきっとソフィの視点なんですよね、でもワタシは父親の視点、感情でずーっと見てしまったので、空港での別れなんか涙を誘われました。
家族のあり方は一つじゃない、どんな形でも仲良くできるのが一番幸せ、どうか空港での別れのあとも皆が幸せでありますようにと祈りたくなりました。
あの時抱きしめてくれた父を今なら抱きしめてあげられるのに。
幼い頃、夏のバカンスで父と過ごした最後の思い出。あの頃には気づかなかった、気づきようもなかったあの時の父の思いを同じ年齢になった娘がいま嚙みしめる。
離婚した父とのバカンス。父は娘に気兼ねしてか、娘をキミと呼ぶような微妙な父娘の関係。11歳の娘も幼いながら何かとそんな父に気を使う。
カラオケやら誕生日のサプライズやら。逆に娘に気を使わせる自分のふがいなさに余計落ち込み父は一人でむせび泣く。
暗い海に飛び込んで行ったり、道路を横断してバスにひかれそうになったりと奇行が目立つ情緒不安定な父。それでもかろうじて父親として娘のために踏みとどまる。
父はやたらと娘の日焼け止め(アフターサン)を塗ってあげる。まるでそれぐらいしか父親としてやってあげられないのだといわんばかりに。
あの頃の父と同じ年齢になり、親になった娘はあの頃のビデオ映像を見ながら父を思う。年齢を重ねた今だからこそあの頃の父のつらい思いが手に取るようにわかる。
バカンス最終日、無理に踊って明るく振る舞う父が娘である自分を抱きしめてくれた。今の自分ならあの時の父を抱きしめてあげられるのに。しかし、それはもう叶わない。そんな娘の切ない思いが感じられるラストでした。
監督の実体験というのがまた切ない。
タイトルなし
ラストダンスが意味するもの
11歳のソフィが父親とのトルコ旅行の思い出をを20年後ビデオカメラで振り返る。
11歳のソフィの視点と
31歳のソフィの主観
とが混ざりながら緩やかに物語は展開していく。
父親は別れた妻を愛しているようだが、何らかの理由があって別居している。父親はトルコ旅行は娘とおそらく最後になることも分かっていて、娘に最高のバカンスをプレゼントしたいと思っている。
父と娘のたった数日間の物語ではあるが、とても自然体で感情移入される人も多いだろう。
最後の父と娘のダンスは、欧米圏では非常に意味深いものであるが、日本人には馴染みがない。
本来欧米圏で『最後のダンス』と言うと、結婚式の披露宴での父と娘のダンスであり、それまで手塩にかけて育ててきた愛娘を手放さなければならないニュアンスがある。
ここでは、今世の別れになることを示唆しているが。
劇中に何度か挿入される31歳の父と同い年の娘のダンスシーンは、永遠の一瞬がフラッシュバック的に立ち現れる。
説明がない分、あらゆる解釈が可能となる本作。
このラストシーンが意味するものをじっくりと考えてみたい。
本当に大事な人にだけ勧めたい
無駄なショット意味の無いカットの連続
23-080
記憶と記録
何か起きる?
お父さんの幸せを願う
大人になる過程の少女の繊細さと、普段一緒にいられない父との、宝箱のようなキラキラした過去の大切な時間を振り返っているという素敵な作品。夏の休暇というシチュエーションが余計に眩しく、今は手にすることができない幻想的な印象が際立っている。時折現れる、色味が少ない印象の凛とした現在の彼女の場面が、ノスタルジックな過去と少し対照的に感じられて、作品を引き締めてくれている。
父は一見普通に楽しそうに過ごしているように見える。だが娘がビデオを撮りながら「11歳頃何になりたかった?」と質問した時に、笑いながらはぐらかして「撮影をやめろ」、と質問に答えていない。おそらく父が子供の頃想像したような未来にはなっていないのであろうことが、会話からうっすらと汲み取れる。
このような細かな父の態度から、娘は「大人の事情があるのだろう」と何となく察しているのも彼らの会話からどことなく感じられる。
テーブルや鏡に人物が映っているところを一瞬分かりづらく見せるカットや、壁が画面の半分以上を占めた構図(父が部屋で1人静かにいる場面)などは、映画を撮っている作為的な感じではなく、間接的に一歩引いて見せることで、より日常に入り込んで傍観しているような感覚がした。
時々挿入されるディスコのようなチカチカしたシーンに、現在の彼女と過去の父や自分自身の姿が入り混じる見せ方も、幻想的で良かった。
映画を見終わった後、父の幸せを願う映画なのではないかと感じた。
Under Pressure
カラオケうまくなっただろうか
鑑賞者に解釈が委ねられる余白が大きい作品で、予備知識のあるなしに関わらず観る人を選ぶ。なにかの女性向けメディアで話題なのか、劇場は女性比率がかなり高く、隣の座席は終映後に洟をすすっていたし、前方の女性は途中から頭が横になっていた。正直、自分自身はこのような作品とのシンクロ率は低いタイプで、瞼の重力に耐える覚悟だったのだが、意外や明るいリゾートの映像が心地よく、ソフィとカラム親子とのトルコ観光に付き合う気分でほんわり観届けられた。
とにかくなにかと思わせぶり。父のこともソフィ自身のことも昔のことも今のことも断片でしか伝えてくれない。ツアー先の広っぱで看板に書かれた文も「We know the perfect p…」までしか映さない(pに続く単語はなんだったのか?)。はっきりしているのは親子揃ってビデオを撮るのがヘタすぎるということ!
11歳のときどんな大人になると思ってた?というソフィの質問や、彼はいい人〜♪と誕生日に歌われて(自身がそうではないと思うから)泣きじゃくったり、アンダープレッシャーの劇伴だったり。自分には娘がいるので父親視点で観てしまったけど、こんな大人になっちまったという後悔が胸に刺さるにはやや歳をとりすぎてしまった。
確かにそこにあったもの
粗い家庭用のビデオカメラの映像から始まり、基本的に時系列通りに時間が流れる。
途中時系列が乱れる瞬間が何度かあり、段々と観客はその意味を想像できるようになる。
粗い記録映像と鮮明な映像のシャッフルで進むが、どちらもその瞬間がとてつもない宝物のような瞬間だと画面を観ていると伝わってくる。
つまり、この映画のすべての映像は何物にも変えられない瞬間の真空パックなのだ、とわかる。
時折挟まれる現代の映像と過去の映像の幸福度の落差に観ているこちらは喰らわされる。
そして、劇中、父親はその落差を想像できてしまっている。
それが後半、漏れ出してくる、その瞬間。
夜の真っ暗な海に真っ黒な服を着た父親が迷いなく振り返ることなく入って消えていくシーン。
このシーンはいつの時系列なのか?
そしてこれは何を意味するのか?
最後の夜のダンスシーン(this is our last dance)と娘を見送りカメラを閉じる父親。
そしてそのカメラは数十年後娘のもとにある。
もう全身で浴びてしまった。
カットが変わる毎に何も起きていないことがこんなに嬉しい映画もなかなかないよ。
娘をもつ父親として、そしてもう後戻りできない歳になった大人として、これはやられてしまいました。
素晴らしい。
難しさと凄みの同居
観る側へ読み取る力を求める、難しい作品でした。
大人になった娘が、自分が子どもの時に父と旅行したときのビデオカメラの映像を再生するスタイルで、過去を回想する内容。
そこに映っているのは、早く大人になりたいと願い、父とともに幸せになる未来を疑っていなかった娘の姿。
しかし、再生ビデオの外には、死への願望を抱き、歳を取ることに絶望感を抱いていたような発言を繰り返す(または同性愛者なのかもという疑念もあり)、鬱の父の姿を対比として映す。
映画に具体的には描かれていないが、おそらくこの旅行からそう離れていないタイミングで、父はこの世の人ではなくなっているように思いました。
父のことが分からなかった幼かった自分が、子どもを持つ母親になったいま、父に想いを馳せる姿は沁み入りました。
そう感じさせる役者陣の「凄み」みたいなものがありました。
ひと夏の経験
11歳の娘ソフィともうすぐ131歳😁になる父親カラムが過ごした夏休みを描いた物語
娘ソフィ目線で進むストーリーからか
父カラムの情報はほとんど無く彼の背景や抱えていた物、事は全く分からない
彼は娘と別れ空港の長い通路を歩いた後どうしてるのか?
そして娘ソフィはどんな風に大人の階段を登って行ったのか?
観手それぞれの感性や想いが「結末」を創り上げ委ねて行く…
大切な人と愛おしい時を過ごし沢山の物が詰まった記憶の結晶になる様に…
帰り道、物語の大きな役割になっていたアンダー・プレッシャー🎵を口ずさみながら
もしかしたら映画を見続け劇場に通うのはこんな作品に出会う為なのかも…と思える程、深い感動と感傷を得られた秀作でした!
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