aftersun アフターサンのレビュー・感想・評価
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どっしりと重い映画らしい作品
余白のある映画でみなまで語らないので好きに考えることが出来て思い思いの重さを感じて映画館から帰れる。
あと数日で31歳を迎える父親と11歳の娘の夏休みの思い出フィルムを31歳になった娘が観ている映画
お父さんとお母さんが一緒に暮らしてくれたらいいのにと思う娘
父親の不安定さと娘の不安定さが衝突したり、仲直りしたり、愛しい家族のかたち。
幸せな瞬間や切ない瞬間、初めてのキスや、バカンスに来てる17~18歳くらいのカップル達への憧れ
11歳の複雑で幸せな記憶のプールを泳ぐような、そんな映画
自分の人生と娘の人生
20代30代なんて、本当は自分個人の問題でもたいへんな時期なんですよ。
しかし多くの人はそんな時期に子供の親になる。
見る前は父の愛情を大人なった娘の視点からなぞり返し、お父さんありがとうみたいな結末に至る話だった嫌だな……と思っていたのですが、そこは非常にドライで、彼女もまた子供を持った地点にいることだけが示され、ベタベタした愛情物語にはなっていませんでした。
むしろ、自分の人生と娘の人生との間に置かれる父親を(彼自身の子供時代のトラウマも示唆されながら)、言葉で説明せずに、滲み出る情感を通じて描こうとする手法はたいへん素晴らしいと思いました。
「父娘はこうあるべき」ではなく、父も娘もそれぞれに個人であるという視点がしっかりあるんですね。
類稀な作品
父親と同じ歳になった子を持つ娘が、当時のビデオテープを見て振り返る。ただそれだけの映画。
ストーリー展開なんてものも無ければ山場なんて無い。かつて父と過ごしたサマーバケーションの日々を思い出すだけ。なのにこんなにも心を揺さぶるとは…。
その多くはこの親子の演技が繊細で巧みさによって生まれている。
明確ではないものの、精神的な不安定さを感じさせる父親の言動や会話に滲み出る表情。その感情の機微を絶妙に演じているからこそ言葉の壁を超えて伝わってくる。
その消えてしまうんじゃないかと不安になるような陰が見え隠れする事で、娘とのバケーションの日々がより輝いて見えるし、尊く感じられる。
カメラワークも人物の表情に寄ったカットが多く、人物の内面に迫った見せ方もうまく心の移り変わりを引き出しているように思う。
「SOMEWHERE」にも似た登場人物の行間を読む作品。そして想像させるに最低限の情報だけが提示され、想像させる見せ方も絶妙。こういう映画は語り過ぎてはいけない。想像するからこそ感情が入る。感情が入るからこそ鑑賞後の余韻が胸を打つ。
こういう作品こそ映画の醍醐味!
分かりやすさが今まで以上に求められてそういう映画が多い現代だからこそ余計にインパクトを受けた。
この作品こそがロングランヒットを記録するような時代になってほしい。
正直、親父がキモいだけ
何かしらの結末が欲しい私
ラスト数秒に全てが凝縮された、忘れがたい一作。
決して楽しい気分で観終えるような映画ではないので、全ての人におすすめできるわけではないのですが、それでも間違いなく、本作は今年これまで公開された作品の中でも屈指の作品です。
かつてトルコに親子旅行に行った時の父親と同じ年齢に達した娘が、その時撮影したビデオ映像を観返しながら、その時気がつかなかった父親の想いに気がついていく、という設定だけでも、どこか懐古的な雰囲気を感じさせるものがあります。実際に物語が進んでいくと、単に楽しい子ども時代の回想ではなく、予想以上に父親の抱えていた葛藤や精神的な病みに深く食い込んでいることが分かってきます。
陽気なホテル滞在の描写と父親に兆す陰、という乖離した状態は物語が進むごとに強まっていき、しかもそれとなく悲劇を予感させるような描写が散りばめられているため、非常に気分か落ち込んでいるといった状況で鑑賞してしまうと、父親の心情に入り込み過ぎてしまう恐れがあるほどです。素晴らしい映画を観た、という鑑賞感を得ることは間違いありませんが、鑑賞に際しての心の状態には慎重にあってほしいところです。それでも映像の視点や構図で精神的な奥底まで観客に示してみせる手法は、まさに映画ならではの語り口で、忘れがたい印象を残します。
結末近くに、ある名曲が流れてくるのですが、何度も聞いたメロディーや歌詞の捉え方が全く変わってしまうほど素晴らしい使い方でした。
そして結末、説明的な台詞を極力排除しているため、時として謎に思えていた作中の描写が、わずか数秒程度で全て繋がってしまう衝撃と美しさは圧倒的です。おそらく本作を観た方の多くは、この結末を今後も決して忘れないと思います。
まったくの偶然で「父の日」に見ることができた幸せ
11歳の時の思い出を、ただただ淡々と流すだけの映画。なのに、とても心に残る。たまたま父の日だったこととも無関係ではないかもしれない。
ちなみに「aftersun」とは、日焼けの跡のこと。暑い夏の日の後に残った日焼けの跡。なんか、この映画にふさわしい題名ですね。日焼けの後に塗るローションのことも「Aftersun」と言うそうです。
見終わった後になって、じんわりと心に響いてくる。
きっと自分の父親のことを思い出すだろう。そして、親として自分は子どもに何をしてあげたかなと考えてしまうだろう。
クィーン(とボウイ)の「Under Pressure」が心に残る。
追記
ある記事の中の感想「すべての完璧でない親たちと、これからの子どもたちの未来に優しく寄り添ってくれているような気がして、泣いてしまった」という言葉に、こちらが泣きそうになった。
アカデミー賞絡みって知り興味もった
理解できると心えぐられる作品、できれば、ですが。
回想と追憶と...
Under Pressure
めっちゃ好き。つらい。悲しい。でも好き。
兄妹のように見える仲良し親子のホームビデオを観ているようだが、20年後のソフィが出てくることで、これはしっかり観ないとダメだぞと思わせる。
31歳の父親は娘に対して良い父親でいようとしているが、どこか無理をしていて、危なっかしい面が見え隠れしている。
11歳の娘は父親の不穏なところに多少は気づいているが、思春期の少女らしい気遣いと距離感で接している。
それがとても自然で、互いを大事に思っているのが伝わるからこそ、20年後の無表情なソフィとの対比がつらい。擦り切れるほどビデオを観て父親に寄り添おうとしている現実が悲しい。
説明的なセリフは一切なし。思わせぶりな映像は満載。
どう考えても悲観的な結末しか想像できない作り。つらい。悲しい。でも好き。
ソフィ役の子、うますぎる。
人を選ぶ映画かもしれないが、紛れもない傑作。
難しくって、理解できたかどうかわからないけど
ソフィアの問いにカラムが答えるまでの間がとにかく長い。どんだけ長いかって言うと、「さあ、どんな答えをするのかな?」って息を詰めて待つのだけれど、こらえきれずに「ぷはぁ~」ってため息が出るくらい。
なんで答えないのよって思ったんだけど、そうか!これはソフィアの心の中の「小さなカメラ」に残っていた動画を再生しているからなんだね、ソフィの心だからカラムがその時何を考えていたのかは同じ年になったソフィが推察せざるを得ないから時間がかかるし、明確な答えが出なくたって、それはそれでありだもの。
色々モヤモヤはあってカラムは何故エディンバラは太陽が少ないから戻らないと思うのか?何故カラオケは歌いたくないのに踊りたいのか?などなど。
だけど一番は、この作品はきっとソフィの視点なんですよね、でもワタシは父親の視点、感情でずーっと見てしまったので、空港での別れなんか涙を誘われました。
家族のあり方は一つじゃない、どんな形でも仲良くできるのが一番幸せ、どうか空港での別れのあとも皆が幸せでありますようにと祈りたくなりました。
あの時抱きしめてくれた父を今なら抱きしめてあげられるのに。
幼い頃、夏のバカンスで父と過ごした最後の思い出。あの頃には気づかなかった、気づきようもなかったあの時の父の思いを同じ年齢になった娘がいま嚙みしめる。
離婚した父とのバカンス。父は娘に気兼ねしてか、娘をキミと呼ぶような微妙な父娘の関係。11歳の娘も幼いながら何かとそんな父に気を使う。
カラオケやら誕生日のサプライズやら。逆に娘に気を使わせる自分のふがいなさに余計落ち込み父は一人でむせび泣く。
暗い海に飛び込んで行ったり、道路を横断してバスにひかれそうになったりと奇行が目立つ情緒不安定な父。それでもかろうじて父親として娘のために踏みとどまる。
父はやたらと娘の日焼け止め(アフターサン)を塗ってあげる。まるでそれぐらいしか父親としてやってあげられないのだといわんばかりに。
あの頃の父と同じ年齢になり、親になった娘はあの頃のビデオ映像を見ながら父を思う。年齢を重ねた今だからこそあの頃の父のつらい思いが手に取るようにわかる。
バカンス最終日、無理に踊って明るく振る舞う父が娘である自分を抱きしめてくれた。今の自分ならあの時の父を抱きしめてあげられるのに。しかし、それはもう叶わない。そんな娘の切ない思いが感じられるラストでした。
監督の実体験というのがまた切ない。
タイトルなし
ラストダンスが意味するもの
11歳のソフィが父親とのトルコ旅行の思い出をを20年後ビデオカメラで振り返る。
11歳のソフィの視点と
31歳のソフィの主観
とが混ざりながら緩やかに物語は展開していく。
父親は別れた妻を愛しているようだが、何らかの理由があって別居している。父親はトルコ旅行は娘とおそらく最後になることも分かっていて、娘に最高のバカンスをプレゼントしたいと思っている。
父と娘のたった数日間の物語ではあるが、とても自然体で感情移入される人も多いだろう。
最後の父と娘のダンスは、欧米圏では非常に意味深いものであるが、日本人には馴染みがない。
本来欧米圏で『最後のダンス』と言うと、結婚式の披露宴での父と娘のダンスであり、それまで手塩にかけて育ててきた愛娘を手放さなければならないニュアンスがある。
ここでは、今世の別れになることを示唆しているが。
劇中に何度か挿入される31歳の父と同い年の娘のダンスシーンは、永遠の一瞬がフラッシュバック的に立ち現れる。
説明がない分、あらゆる解釈が可能となる本作。
このラストシーンが意味するものをじっくりと考えてみたい。
本当に大事な人にだけ勧めたい
無駄なショット意味の無いカットの連続
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