aftersun アフターサンのレビュー・感想・評価
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魅入った
あまり起伏のある内容ではなく、映画好きなタイプ以外はつまらないものかもしれない。
遠くに離れる父親とトルコでバカンスを過ごしている娘が、当時の父親と同じ歳になった時に録画テープを見て振り返るだけの映画。
なぜか魅入ってしまった。
父親はずっと自殺しようとしていた?何か精神的に抱えていそうだが、娘の前では気丈に振舞っているのが泣ける。なぜ離れて暮らさなくてはならなかったのか、父親は今生きているのか、等は語られないが想像に難くない。
そんなに悲しいシーンがある訳でもないが自然と涙が流れるシーンが所々にあった。
悲しいけど悪い記憶でもない
アフターサン
子供は目に入れても痛くない。
自分に子供ができたら例え離婚しても、自殺をしてもその子にとっていい思い出になることをさせてあげたい。
無償の愛を注ぐことで無償の愛が返ってくるような奇跡があり、
未来のソフィのパートナーは女性?けど子供はいる?
11歳のとき31歳になったら何してると思ってたか、私は思い出せなかった。幼い頃の理想との乖離に苦しむことはないので、まずまずいい人生なのかもしれないなと思った。
愛する人にどのように記憶されたいか。その切なさと苦しみの物語。
31歳の誕生日を迎えようとしている若い父親カラムと、11歳の娘ソフィがトルコのホテルでバカンスを過ごす。
ストーリーはそれだけだ。
ただし、この中に父親と娘のそれぞれの愛情の違いや、その溝を埋めようとするあがきや苦しみといったものが凝縮されている。
予告編の「あなたを知るには幼すぎた」というコピーがすべてを表現している。
本作は構造が凝っている。
1.【現在】31歳になったソフィが、20年前のことを思い出している。
2.【過去】カラムとソフィがバカンスを過ごす時間
3.【映像】バカンス中に撮影した映像
4.【心象風景】31歳のソフィが、31歳の父カラムと同じ空間にいる
上記の4種の映像が混在する。基本的には2.の時間軸で展開していく。
3.の映像はカラムのハンディカムビデオで撮るのだが、そこには楽し気なスナップ的なショットばかりが残っている。2.のバカンスを過ごす時間軸でのやりとりは楽しいことばかりではないのだ。そこは注意深く観ないとよくわからないと思う。
製作費は不明、興行収入は15億円。思ったほど売れなかったか。
コロナ禍の影響は大きいだろう。
皮肉なことに、本作はコロナ禍があったからこそ意味を持つ作品でもある。
それは本作が人と人の触れ合いに関する物語だからだ。
タイトルにもあるアフターサンとは日焼け後のケアアイテムだ。作中で、カラムがソフィにクリームを塗るシーンが何度か出てくる。他人にクリームを塗らせるというのは、ある程度の親しい間柄になるだろう。
コロナ禍において、人と人の触れ合いは自粛されがちだった。
延々と続くエモーショナルな映像は、ビジュアルで観客をひきつける。
観客は映像を眺めるだけでなく、その中に意味を見出さなくてはならない。
繊細で挑戦的な作品だったと思う。
良い映画を観た。思春期のソフィがお利口さんで凄く魅力的なキャラだ。...
良い映画を観た。思春期のソフィがお利口さんで凄く魅力的なキャラだ。子役は半年にわたるオーディションで800人の中から選ばれた新人でフランキー・コリオという。
いつかまた再鑑賞するだろう。
見終わってなんとなく『秘密の森の、その向こう』を思い出した。
11才の娘と31才の父。離れて暮らす親子が一緒に旅をして観たもの、観なかったもの。余韻の残る映画でした。
監督の自らの父との思い出に着想を得て書かれた脚本。
両親が離婚して母に引き取られた11才の少女が31才の父と旅をする物語。
お互いにビデオを撮りながら仲良く旅する2人。20年後ビデオを見返し、当時は気付かなかった父の気持ちを知る。
【ネタバレあります】
幸せな子供時代の思い出がキラキラ描かれて、でも父親は子供が31才になった時には病気か何かでもういないんだろうなと観る前に想像していた。
強ちそれはそんなに外れてはいなかったのだろうと思う。
一方で、想像していたのとはかなり違っていたとも言える。
前半の少女のパートはもっと明るくてキラキラしていると想像していた。父親とキャッキャ、キャッキャとはしゃいで楽しむのだろうと思っていたのだ。
最初はそんな感じなんだがどんどん父は暗くなっていく。彼は娘を愛していて一緒にいられるこの時間を喜んでいた筈なのに何故かどんどん暗くなっていく。
その理由が映画でははっきり描かれていないのでこの映画を分かりにくくしている。病気で長く生きられないのか、問題を抱えていて苦しんでいるのか、或いはうつ病なのか何なのか分からないから観客は戸惑うことになる。もう少し説明して分かりやすくして欲しかったとレビューを上げてある人もいた。
ただ私はこれこそが監督の本当の所な気がした。当時11才だった少女には父の本当の気持ち、その深いところの真意なんて分かる筈もなく謎のままなのだ。
この映画が全くのフィクションならもっと説明しただろう。父の抱える問題が何なのか観客に分かるよう、はっきりとした設定にしただろう。
でも現実にはよく分からなくて、大人になってビデオを観て、当時は気付かなかったものに少し気付いたとしても、そして想像してみることは出来たとしても、それが真実なのかどうなのか確かめる術は無い。監督にとっては永遠の謎なのだ。
正解を確かめる事も確信する事も出来ないが、自分と父親との大切な思い出は確かにあり、それを改変したく無かったのではないかとそんな事を考えてしまった。
私が想像した父親の問題はうつ病だったのではないかと思う。最初あんなにはしゃいでいたのに一気に気分が落ち込んだりするところとか浮き沈みの激しさがうつ病なのではないかと考えた。
だから自分で自分をコントロール出来ないし突発的に死のう(?)としたり…。あの海のシーンは恐かった。本当に死んでしまうのかと思った。
自分の事でいっぱいいっぱいになってしまうから、夜に少女一人残して帰ってしまったりもする。
もっといい加減な男ならそういうこともしそうだけど、あの父親はそんなちゃらんぽらんな人間に見えない。だとするならあの行動はうつ病故の行動だったように私には見える。
それにしても大学生達がまともで良かった。少女が真っ暗な道を1人で帰っていくシーンが恐かった。誰かに襲われ無いかとハラハラした。
次の日、少女は父に「ハッピイバースディ、ダディ」という。父は何を考えただろう。
楽しそうに2人で遊ぶ。少女は父のために周りの人に声をかけ、誕生日を祝う歌を歌ってもらう。
父が前日部屋で1人で泣いていたことを少女は知らない。彼女に「愛してるよ。」と手紙を書いた事も少女は知らない。
夜、少女と父はダンスをする。かかっているのはQUEENの
🎵Under Pressure
歌詞がたまらない。
🎵この世界を知るのは恐ろしい
仲のいいともだちが叫ぶ
"ここから出してくれ"
明日に祈ろう もっとよい日々を
重いプレッシャー 路頭に迷う人々
世の中すべてから目をそらし
知らん顔では変わらない
愛を求めても傷だらけに
なぜ? Why? 愛 愛 愛
もう一度だけ 試せないのか?
もう一度だけ 愛にチャンスを
なぜ愛を与えられない
だって愛という言葉がもう
古びたものになってしまったから
だけど愛は君に勇気を与える
夜の片隅にいる人々を想いやって
愛が君に勇気を与え
君が変わるチャンスだ
互いを思いやるように
これが最後のダンス
これが最後のダンス
これがプレッシャーにさらされた僕たち🎵
フレディ・マーキュリーの声が切なくてこの親子のダンスが泣ける。そうこれが最後のダンス。
空港での別れのシーン。空港から出ていくのは少女一人。
少女は名残惜しそうに父が撮るビデオの前で行ったり来たりふざけて手を振る。
やがてビデオをしまい、父はドアの向こうに消える。
遠くに住む父はここで飛行機を乗り換えて別の空港に向かうのだ。end
20年後少女は父と同じ年齢になりこのビデオを観て何を思ったろう。あの時父の苦悩を感じることが出来たら或いは今も父は生きていたのではという後悔だろうか。それとも分かってあげられなくてごめんという懺悔なのか?
少女が父の真実を確かめられないと同様、私たちも想像することしか出来ない。
二度と観たくない。『エゴイスト』と同じにおいがする
🔵アフターサン 2023/11/10、11
“性”はあるんだろう。
至る所に散りばめられていた。
この父娘も、何か性的な関係があるんだろうか?…ふと、考えてしまった(大人になってからの娘の表情の暗さが気になる。)
全編怖い。
父親の右腕のギプスは?
記憶にない肩の傷は?
ボウイの歌。こうやって一部分だけクローズアップされると怖すぎる。ボウイのファンからすると頼むからやめてほしい。
男性同士の恋愛?
アフターサン(ローション)。
娘は思春期に突入した。
もう父親にローションを塗ってもらう歳じゃない。
ダンスの時、父親と抱き合うのももう不自然。
男の子とのキス。ガラスを鳴らす父の顔。怖い、怖すぎる。ホラーか?
娘にする質問もちょっとしつこくないか。
点滅と、浮かび上がった闇の中のダンス。
一瞬、父親と大人になった娘が映った。
父との想い出を振り返るにしては、深刻な時間が今現在にも流れている気がする。
ラスト、
父は点滅してる光の中へ。扉は閉まる。
あれはあの世に行くということ?
観終わった後、一瞬呆然としてしまった。謎だらけの映画だった。少なくとも、父との想い出に浸るような作品じゃない。
暗すぎます。鬱映画。二度と見たくないと感じた『エゴイスト』と同じ匂いがした。
誰の気持ちも、本当にはわからない
モノローグもなく、明確になにか出来事を映し出すということもないので
終わってからも、どの登場人物も本当の気持ちはわからないのですが
それが深い余韻となって鑑賞後も心に残る作品となるのだと思います
が、個人的には、大切な部分を描写しないとお洒落みたいな、
それぞれの想像力でくみ取ってねみたいなのはあまり好きではないので
大人になった娘さんの気持ちくらいはセリフではっきりして欲しかったですね🥺
おそらく娘さんは旅行から帰国直後にお父さんのこと聞いたと思うのですが
その当時の娘さんの気持ちとかを考え出すと...うう...ってなる
31歳の父親と11歳の娘
主人公(フランキー・コリオ)の両親は離婚、母親と暮らしていたが、11歳の夏、父(ポール・メスカル)とトルコへバカンスに行く。
父が持ってきたビデオカメラでお互いを撮り合う。
それを20年後に観る娘、気が付かなかった父親の内面を知ることに。
大きくなってから気付く親の気持ち、ってあるよねぇ。
20年越しの父娘の愛、すれ違い、別離、理解を重層的に詩的にリアルに描く素晴らしい映画
11歳の夏の楽しいバカンスの思い出。20年後、撮ったビデオを見返すと父も自分と同じような苦しみで心が壊れていたことが明らかに分かる。そこで娘は初めて父が自死したことを許し、自分の現在の状況も理解し乗り越えることができると確信する。
甘い思い出の裏側の真実。しかも現在の自分に直結する真実。20年越しの父娘の愛、すれ違い、別離、理解を重層的に詩的にリアルに描く素晴らしい映画。
計算し尽くされた脚本と撮影、ガラス細工のように繊細な演技、詩的な編集、的を射た音楽と音響、どれも高次元。
子供のころ家族旅行で海に行ったことを思い出しました。
カラム、いろいろ問題を抱えてそうですが愛娘のソフィーを一生懸命楽しませようと、そして自分もこのバカンスを楽しもうとする姿勢が観ていてとっても微笑ましいというか勉強になるというか、良かったです。生きてるといろいろありますよね、うまくいっていないことばかり目についちゃいますけど、ソフィーは健康でかわいいし、腕の怪我も治ったし、ね、応援したい気持ちでいっぱいです。
楽しかったけど悲しい思い出
久しぶりに余韻のある映画を見たと思います。
自分が親と同じ年齢になった時、初めて理解できることと、やっぱり理解できないこと。
自分が子供だったときの、無邪気で楽しかった思い出と、後悔の気持ち。
自分の中の思い出と感情を、この映画を通して回顧すると、さらに味わいは深まります。
This is our last dance
自分が子供に帰り、親が自分に乗り移る。子供が親に成長し、自分と重なる。世代をワープするような感覚にとらわれ、互いを許しあいひとつになる。ただ涙が溢れ出る。
娘を愛して
若い頃にできた11才の娘との旅行に行く父30才。
念の為前妻に電話しておく。
右手にギプス、ケガするような危険な肉体労働か。
カメラとビデオを持って思い出に残そうと。
娘に護身術を伝授する父親。
若いけれど心配する気持ちに年齢は関係ない。
日差しが眩しいトルコの観光地。
狭いロビーのあまり高くなさそうなホテル。
手違いからかダブルの部屋しか無く、
サイドベッドを入れて貰い父が使う。
娘は躊躇なくデカいダブルベッドに寝て
父は、小さなベッドで身体を縮こませて眠る。
父との再会を喜び屈託なく楽しんでいる娘。
プール、ビリヤード、
まだ若い父も久しぶりの再会を
楽しんでいるかと思えば、なんか暗い。
知人との事業の話をし、
ロンドン郊外に家を買う、君も来ないか。
娘にも誘っているのにまた暗い顔。
楽しみのディナーだったのに、
財布忘れたからか二人で逃亡してしまう。
エンゲージという言葉に期待する娘の言葉にも
返事しない。
楽しんでいるようで心ここに在らず。
また、40歳なんて想像できない、と呟く父。
踊っているモノクロフラッシュの映像❗️
娘が聞いた 落ち込んでいる時無い? に
グッと来てしまう父。
肩しか映らない映像。荒い息遣い。
何を動揺しているのか。
髪を編んで飾りを付けてちょっとオシャレに
なって得意なソフィ。
絨毯屋で選んで値段を聞くと850ポンド。
娘はプールバー、父は太極拳。
父は絨毯買ったよう、記念かな。
ビデオ撮りつつ、
娘から、
自分と同じ11才の頃、
パパは将来何してると思った?
何になっていたと思う?
と聞かれてごまかす父。
部屋のベランダで
何を考えているのか?父。
ソフィに聞かれてスコットランドの家には
帰らない、と断言し、
生きたい場所で生きろ、なりたい人間になれ、
と言う父。
父はそうできなかったのか。
またモノクロフラッシュ❗️
ベランダの手摺りの上に立って手を広げる父。
何をするつもりか。
プールサイドで、娘にオイル塗ってやる。
タイトル❗️通り。
最後の数日だ、楽しもう、と声かけする父。
ディナーショーで、
なぜビキニ着てる?と心配する父。
スクール水着なら安心なんだな。
司会、カラムたち呼ぶが、ソフィだけ歌う。
ソフィにお金も無いのに、と言われ黙る父。
しばらく何も言わずに先に帰ってしまった。
部屋でビデオを観て外へ出て拾いタバコする。
部屋の鍵忘れたソフィ、部屋に入れずやむなくロビーに。
父は暗い海に行っていた、何をするつもりか。
ソフィ従業員に開けてもらい、部屋の中に
やっと戻れた。
父はソフィのベッドに寝てしまっていた。
苦しんでいる父の顔が浮かび上がる
モノクロフラッシュ❗️
現在のソフィだろうか?
足元には父がトルコで求めた絨毯が
敷かれている。
パートナーとの生活。
ツアーの日、父の誕生日。
バスで父にハッピーバースデー❣️と。
ソフィ祝う。
二人で太極拳して
クレオパトラも使った泥の池で
泥を塗りたくり合う二人、幸せそのもの。
ゲームで知り合った男の子とキスしたこと言う。
同年令ならいいか、と父。
遺跡で参加者に頼みまくって
皆でお祝いの歌、大合唱❗️
なのに裸で嗚咽しつつむせび泣く父の後ろ姿。
そして、ソフィへのメッセージ、
💕ソフィ愛してるよ、忘れないで、💕
最後の夜、お金ないからかソフィーの分だけ
パフェ頼んだのかな。
記念のインスタント写真撮ってもらった。
いい休暇だった?と聞く父。
もっといたい、とソフィ。
踊ろう、とはしゃぐ父。
モノクロフラッシュ❗️
抱きしめる父、
モノクロフラッシュ❗️
歌も、最後のダンス、と。
空港でソフィと別れる父。
ビデオで11才の自分を観ていたソフィ。
ぐるっと回ってソフィを見送り、
ドアの向こうに消える父。
ソフィはこの時の父と同じ年の誕生日を迎えるに
あたり、父のことを思い出したのだろう。
この年以降の父の思い出や姿は無い。
ソフィとの旅行以後、亡くなったのか。
父が買った絨毯とこの旅行のビデオがソフィの
手元にあるということは、父亡き後手に入れたのか。
それとも、愛するソフィとの旅行の記念に
ソフィへのプレゼントだったのか。
笑顔の合間に見える父の苦悩。
亡くなったのは‥‥。
カラムが出たドア周辺から飛行機には乗らずに出口に。
トルコに住んでいたようにとれる。
スコットランドの実家には帰らないと
決心するほどの何があったのか。
ソフィに好きに生きろ、と言うあたり自分は
がんじがらめで逃げ出したのか。
10代で家を飛び出し一緒になった女性とは
娘をもうけるも別れて暮らし最後の再会。
何を悩んでいたのか。
娘がいるオラとしては共感シーン多数
レンタル110
準新作ながらキャンペーン価格
ホエールとどっちにするか迷ってこっちに
娘がいるオラとしては共感シーン多数
オヤジの誕生日を祝う娘のサプライズ
ラストの空港
ただ 期待したほどではなかった
ちとわからぬシーンもあった
海に入るオヤジ
てっきり…結果よかったのだが
娘は同性愛者 いいのだが必然性があるか
他者のレビューで理解を深めるのだ
じわじわと襲い来る「記憶」
私の場合、見た直後はポカンとしてしまい、「え、、、これで終わり?」となってしまったので、初見で感動は全然できなかった。
映像綺麗だねー女の子かわいいーくらいのもんだった。
全然逆張りとかではないんだけど、所謂シネフィル人気系の映画っていうのはどうも鼻につくことがある。
そんな感じで全然評価しないレビューも書いたんだけど。
何故か数日間この映画のことが頭に纏わりついて忘れられず、何かの呪いのようになっていた。
この映画を評価できない私は見る目がないのだろうかと落ち込んだりもした。
でも、ふとしたときに違う感覚が襲ってきた。
あれは映画じゃなくて記憶そのものだったのでは。少なくとも今までの私が知ってる「映画」ではなかった。
記憶というものは厄介だ。変に美化されていることもある。とてもパーソナルなものだ。だから他人の記憶をそのまま盗み見ているような変な感覚に陥った。それが不快でもあった。
私の父はカラムとは真逆のタイプの人間なのもあり、感情移入はできなかった。私には私の記憶がある。
でもそれだけリアルな手触りの他人の記憶に触れたのだという感覚を獲ると、急にゾクッとした。そして、意識するとあの2人の何でもない姿が何度も脳裏に浮かぶ。
あの2人の「記憶」を獲て、これからの私の人生は何か変わるのだろうか。わからない。
私は多分違った角度からの感動を得たのだと思う。この映画は全くハートウォーミングではなかった、私にとって。とても冷たくあたたかい、要は「チル」 な作品なのだと思った。
カットバックで時空を行き来する
とても悲しいと思うし、
愛にあふれた温もりも感じる。
誰かにおすすめしたい訳でもないけど、
映画として視覚的にも脚本としても
残る作品。
いつだったか
短編でオスカーを受賞したCURFEWが大好きで、
ちょっとシンクロするところがあるように感じた。
大人のソフィが思い出す記憶は鮮明で、
実際に残っている映像はザラザラで粗い。
この2つと、現在のソフィ、現在に存在する父の跡形を
カットバックをはさみながら重ねていく
父と娘の数日間。
家族を思うとき、
色々あったはずなのに、
思い出すのはいつも同じことだったりする。
何の遮りもなく互いだけに向き合った瞬間があれば
過去や未来のあれこれも全部包みこむ
引力となって、
ずっとつながっていけるのかもしれないと
2回鑑賞した後にはそんな希望が生まれていた。
記録と記憶と想像が織り込まれている、と理解して観るべし
11歳のソフィは離れて暮らす31歳の父カラムと、夏のトルコ旅行へ。プールや海で遊んだり、ゲームセンターで同年代の男子や、少し年上の男女らと知り合ったり。ビデオカメラで父を撮影したりして、楽しく過ごす。31歳になったソフィは悲しい様子。
時折カラムの不穏な様子が挿入されるも、楽しそうな他愛もないシーンが続きます。少し理解に苦しむところもあって、アート系かなと思いました。ただ、ビデオの記録とソフィの記憶に加え、彼女の想像と後悔も織り交ぜてあると知って納得できました。そして、君は悪くないと慰めたい。
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