aftersun アフターサンのレビュー・感想・評価
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父と過ごした夏休み
31歳になったソフィーが11歳の頃、両親が離婚して離れ離れになった父カラムとトルコの鄙びたリゾートで過ごした夏休みの思い出を噛み締める、父と娘の回想録。
劇中、ホームビデオが出てくるからなのか、クローバーフィールドのような手振れした映像や細切れのフラッシュカット、過剰ズーム、極端に暗いシーンなどを随所に散りばめ、見にくいことを逆手に取った奇妙な絵作り、演出が鼻に付きました。
女性監督シャーロット・ウェルズさんが自身の思い出を被らせて撮った長編デビュー作とのことだが、まさにホームビデオの世界観、大した出来事もなく父娘の楽しそうな、時に反目する様を淡々と描いているだけなので、同じような境遇を持つ人には共感が得られるのでしょうが私には退屈な作品でした。
1回目
非常に個人的な見解ですが、母の仕事の関係で父と2人で過ごす事が多く、夏には必ず2人で海水浴をしていた私には、この親子の自然でとても仲の良い姿(演技!)がとても懐かしく、ほんわか、ノスタルジックな気分になりました。
(私も父を早めに亡くしています)
けれど途中からは、どうか娘さんと一緒にいる間だけは止めて欲しい!と勝手にハラハラしてしまい、最後まで気持ちが落ち着かないままでした。
確かにこの映画は2回観た方が理解が深まるでしょう。けれど、2回目を観るにはそれなりの覚悟が必要ですね。こちらの心が受け止め切れるのか…。
振り返れば振り返るほど味わい深い作品
再生してしばらくの間の印象としては、
ほとんどが久し振りに会う親子のバカンスと他愛もないやり取りを映しているだけなので、結構退屈だった。
どう展開していくのか?と気を張り詰めて真剣に鑑賞するよりも、
寝る前のフワーっとしたテンションで、のんびり眺めるくらいの見方が良いと思う。
観ている映画が面白くないと思ったら途中で観るのをやめてしまうタイプの人には、つまらないままで終わってしまう作品かもしれない。
映像はとてもキレイ。(画質がではなく、演出が)
後半に差し掛かってくると、親子の間に不穏な空気が流れ始める。
四六時中一緒に居続けることによるストレスか、
二人の間の深い領域での心の溝か(普段は別居している、色々事情のある家庭みたいだし)、
何か通じ合いないものが漂ってきて、緊張感が増していきます。
ただ楽しいだけのバカンスはもうそこには無く、
ぎこちなさや気まずさ、
悲しい表情をする娘や、一人号泣する父の姿があり、
なんとも切なくて居た堪れない気持ちになってきます。
退屈で淡々とした前半とはうって変わって、
気がついたら画面に見入っていて、親子の行く末を固唾をのんで見守っている自分がいた。
この作品はストーリーにも映像にも謎が多くて、
観る側の想像で補わせる部分が大きいから、
何だったんだ?とずっと心に引っ掛かる余韻がある。
その余韻がとてつもなく意味ありげで、何かを訴えていて、エモーショナルな気持ちよさまで感じる。
見終わってから心の中で振り返ったり、
他の人のレビューを読むことでどんどん深みが増していく作品。
観賞直後は正直☆3くらいにしようと思っていたのだけれど、今では観て良かったと思える作品。
思い出に日焼け後のローションを塗るような
臆さずに言おう、正直つまらなかったと。
エモい雰囲気と綺麗な映像と音、そしてお洒落な映画のポスターは好き。
ソフィも可愛いし。
高評価だっただけに期待値が上がり過ぎてたのかも。
もう少し大人になってから観たら、また違った感想になるのかな。
子どもの時に見ていた父親の姿と大人になってから思い出す父親の姿。
すごく大きく感じていた父親も、時には悩んだり、時には泣いたりして、当たり前だけどひとりの人間だったんだよね。
31歳になったソフィもきっと同じことを感じてたんだと思う。
ただ、如何せんわかりにくい!
ストロボのシーンが何回か出てきて、ソフィやカラムがチカチカしてるんだけど、何が映ってるのかよくわかんない。
刺さる人には刺さりそうだけど、ほとんどの人はストーリーがよくわからんってなると思う。
なんとも言えない
父親と定期的に会う娘の話。
同居する母親との関係より父親の方が良いのではないかと思った。
会う度に別れは訪れる。
そしていつかは永遠の別れに・・
父親は何が理由か分からないけど亡くなったと思われる。
大人になった娘が父の撮り溜めた思い出の動画を一人見ている。
この状況だけ取っても切ないシーンだ。
楽しい思い出がかえって苦しくなる。
親と交流をしたくても実現出来なかった人も同じく辛い想いが湧いてくる。
ハッピーでジーンとくる映画の方が後味が良い。
今は、このようなしんみりした映画は観たくない。
余韻とタイトル
あの時、あの場所に
父と娘のたわいもない旅のビデオが、こんなにも悲しくこんなにも感情が引きずられるだなんて思ってもみませんでした。監督は、「今まで生きた中で一番楽しい日々」だけど「一番悲しい日」を作品で昇華したけれど、いまだにあの時あの場所に帰りたがっているのかもしれません。様子がおかしかった父親の自死をどうにか引きとめたかった。ただ、幼すぎた。鬱病という病気も知らなかった。
父親と同じ年齢になってからやっと向き合えたビデオテープ。もしかすると父親は本当に自分を愛していたのではないか?やむを得なくこの世を去ったのではないか?ソフィを包み込む様な優しい笑顔のカラムがテレビに映し出されます。
アフターサン。
父親の手の温もりを思い出すもの。
旅先での美しい景色を映したカメラの色彩がどこか儚げで、まるで夢の中にいるようでした。そして、ポール・メスカルも幻のような影のようなそんな演技ですっかりファンになってしまいました。淡いブルーが印象に残りましたが、あのバリー・ジェンキンスがプロデューサーだったんですね。
なんという深さ…
なんの予備知識もないまま、夏のリゾート感に惹かれて鑑賞。
途中までは、子供が小さかった頃は楽しかったなぁ…なんてなんとなく自身の思い出とリンクさせながら呑気に観ていられたが、後半に入りバカンスも終わりに差し掛かった頃、急に胸が締め付けられるほどの切なさが迫りくる。
そういうことだったのか。ちょっと違和感を感じながらもなんとなく観過ごしてきたシーンが、朧気ながらも一本の線になっていく。そして名画と肩を並べるほどの余韻を残すラストシーンへ。
なんて奥深くなんて悲しい作品なのだろうか。立て続けにもう一度観返したくなるものの、予想されるあまりに衝撃的ともいえる切なさを今すぐ受け止める自信が湧かず、いったんは一度の鑑賞で終えさせていただこう。
魅入った
あまり起伏のある内容ではなく、映画好きなタイプ以外はつまらないものかもしれない。
遠くに離れる父親とトルコでバカンスを過ごしている娘が、当時の父親と同じ歳になった時に録画テープを見て振り返るだけの映画。
なぜか魅入ってしまった。
父親はずっと自殺しようとしていた?何か精神的に抱えていそうだが、娘の前では気丈に振舞っているのが泣ける。なぜ離れて暮らさなくてはならなかったのか、父親は今生きているのか、等は語られないが想像に難くない。
そんなに悲しいシーンがある訳でもないが自然と涙が流れるシーンが所々にあった。
悲しいけど悪い記憶でもない
愛する人にどのように記憶されたいか。その切なさと苦しみの物語。
31歳の誕生日を迎えようとしている若い父親カラムと、11歳の娘ソフィがトルコのホテルでバカンスを過ごす。
ストーリーはそれだけだ。
ただし、この中に父親と娘のそれぞれの愛情の違いや、その溝を埋めようとするあがきや苦しみといったものが凝縮されている。
予告編の「あなたを知るには幼すぎた」というコピーがすべてを表現している。
本作は構造が凝っている。
1.【現在】31歳になったソフィが、20年前のことを思い出している。
2.【過去】カラムとソフィがバカンスを過ごす時間
3.【映像】バカンス中に撮影した映像
4.【心象風景】31歳のソフィが、31歳の父カラムと同じ空間にいる
上記の4種の映像が混在する。基本的には2.の時間軸で展開していく。
3.の映像はカラムのハンディカムビデオで撮るのだが、そこには楽し気なスナップ的なショットばかりが残っている。2.のバカンスを過ごす時間軸でのやりとりは楽しいことばかりではないのだ。そこは注意深く観ないとよくわからないと思う。
製作費は不明、興行収入は15億円。思ったほど売れなかったか。
コロナ禍の影響は大きいだろう。
皮肉なことに、本作はコロナ禍があったからこそ意味を持つ作品でもある。
それは本作が人と人の触れ合いに関する物語だからだ。
タイトルにもあるアフターサンとは日焼け後のケアアイテムだ。作中で、カラムがソフィにクリームを塗るシーンが何度か出てくる。他人にクリームを塗らせるというのは、ある程度の親しい間柄になるだろう。
コロナ禍において、人と人の触れ合いは自粛されがちだった。
延々と続くエモーショナルな映像は、ビジュアルで観客をひきつける。
観客は映像を眺めるだけでなく、その中に意味を見出さなくてはならない。
繊細で挑戦的な作品だったと思う。
良い映画を観た。思春期のソフィがお利口さんで凄く魅力的なキャラだ。...
11才の娘と31才の父。離れて暮らす親子が一緒に旅をして観たもの、観なかったもの。余韻の残る映画でした。
監督の自らの父との思い出に着想を得て書かれた脚本。
両親が離婚して母に引き取られた11才の少女が31才の父と旅をする物語。
お互いにビデオを撮りながら仲良く旅する2人。20年後ビデオを見返し、当時は気付かなかった父の気持ちを知る。
【ネタバレあります】
幸せな子供時代の思い出がキラキラ描かれて、でも父親は子供が31才になった時には病気か何かでもういないんだろうなと観る前に想像していた。
強ちそれはそんなに外れてはいなかったのだろうと思う。
一方で、想像していたのとはかなり違っていたとも言える。
前半の少女のパートはもっと明るくてキラキラしていると想像していた。父親とキャッキャ、キャッキャとはしゃいで楽しむのだろうと思っていたのだ。
最初はそんな感じなんだがどんどん父は暗くなっていく。彼は娘を愛していて一緒にいられるこの時間を喜んでいた筈なのに何故かどんどん暗くなっていく。
その理由が映画でははっきり描かれていないのでこの映画を分かりにくくしている。病気で長く生きられないのか、問題を抱えていて苦しんでいるのか、或いはうつ病なのか何なのか分からないから観客は戸惑うことになる。もう少し説明して分かりやすくして欲しかったとレビューを上げてある人もいた。
ただ私はこれこそが監督の本当の所な気がした。当時11才だった少女には父の本当の気持ち、その深いところの真意なんて分かる筈もなく謎のままなのだ。
この映画が全くのフィクションならもっと説明しただろう。父の抱える問題が何なのか観客に分かるよう、はっきりとした設定にしただろう。
でも現実にはよく分からなくて、大人になってビデオを観て、当時は気付かなかったものに少し気付いたとしても、そして想像してみることは出来たとしても、それが真実なのかどうなのか確かめる術は無い。監督にとっては永遠の謎なのだ。
正解を確かめる事も確信する事も出来ないが、自分と父親との大切な思い出は確かにあり、それを改変したく無かったのではないかとそんな事を考えてしまった。
私が想像した父親の問題はうつ病だったのではないかと思う。最初あんなにはしゃいでいたのに一気に気分が落ち込んだりするところとか浮き沈みの激しさがうつ病なのではないかと考えた。
だから自分で自分をコントロール出来ないし突発的に死のう(?)としたり…。あの海のシーンは恐かった。本当に死んでしまうのかと思った。
自分の事でいっぱいいっぱいになってしまうから、夜に少女一人残して帰ってしまったりもする。
もっといい加減な男ならそういうこともしそうだけど、あの父親はそんなちゃらんぽらんな人間に見えない。だとするならあの行動はうつ病故の行動だったように私には見える。
それにしても大学生達がまともで良かった。少女が真っ暗な道を1人で帰っていくシーンが恐かった。誰かに襲われ無いかとハラハラした。
次の日、少女は父に「ハッピイバースディ、ダディ」という。父は何を考えただろう。
楽しそうに2人で遊ぶ。少女は父のために周りの人に声をかけ、誕生日を祝う歌を歌ってもらう。
父が前日部屋で1人で泣いていたことを少女は知らない。彼女に「愛してるよ。」と手紙を書いた事も少女は知らない。
夜、少女と父はダンスをする。かかっているのはQUEENの
🎵Under Pressure
歌詞がたまらない。
🎵この世界を知るのは恐ろしい
仲のいいともだちが叫ぶ
"ここから出してくれ"
明日に祈ろう もっとよい日々を
重いプレッシャー 路頭に迷う人々
世の中すべてから目をそらし
知らん顔では変わらない
愛を求めても傷だらけに
なぜ? Why? 愛 愛 愛
もう一度だけ 試せないのか?
もう一度だけ 愛にチャンスを
なぜ愛を与えられない
だって愛という言葉がもう
古びたものになってしまったから
だけど愛は君に勇気を与える
夜の片隅にいる人々を想いやって
愛が君に勇気を与え
君が変わるチャンスだ
互いを思いやるように
これが最後のダンス
これが最後のダンス
これがプレッシャーにさらされた僕たち🎵
フレディ・マーキュリーの声が切なくてこの親子のダンスが泣ける。そうこれが最後のダンス。
空港での別れのシーン。空港から出ていくのは少女一人。
少女は名残惜しそうに父が撮るビデオの前で行ったり来たりふざけて手を振る。
やがてビデオをしまい、父はドアの向こうに消える。
遠くに住む父はここで飛行機を乗り換えて別の空港に向かうのだ。end
20年後少女は父と同じ年齢になりこのビデオを観て何を思ったろう。あの時父の苦悩を感じることが出来たら或いは今も父は生きていたのではという後悔だろうか。それとも分かってあげられなくてごめんという懺悔なのか?
少女が父の真実を確かめられないと同様、私たちも想像することしか出来ない。
二度と観たくない。『エゴイスト』と同じにおいがする
🔵アフターサン 2023/11/10、11
“性”はあるんだろう。
至る所に散りばめられていた。
この父娘も、何か性的な関係があるんだろうか?…ふと、考えてしまった(大人になってからの娘の表情の暗さが気になる。)
全編怖い。
父親の右腕のギプスは?
記憶にない肩の傷は?
ボウイの歌。こうやって一部分だけクローズアップされると怖すぎる。ボウイのファンからすると頼むからやめてほしい。
男性同士の恋愛?
アフターサン(ローション)。
娘は思春期に突入した。
もう父親にローションを塗ってもらう歳じゃない。
ダンスの時、父親と抱き合うのももう不自然。
男の子とのキス。ガラスを鳴らす父の顔。怖い、怖すぎる。ホラーか?
娘にする質問もちょっとしつこくないか。
点滅と、浮かび上がった闇の中のダンス。
一瞬、父親と大人になった娘が映った。
父との想い出を振り返るにしては、深刻な時間が今現在にも流れている気がする。
ラスト、
父は点滅してる光の中へ。扉は閉まる。
あれはあの世に行くということ?
観終わった後、一瞬呆然としてしまった。謎だらけの映画だった。少なくとも、父との想い出に浸るような作品じゃない。
暗すぎます。鬱映画。二度と見たくないと感じた『エゴイスト』と同じ匂いがした。
誰の気持ちも、本当にはわからない
モノローグもなく、明確になにか出来事を映し出すということもないので
終わってからも、どの登場人物も本当の気持ちはわからないのですが
それが深い余韻となって鑑賞後も心に残る作品となるのだと思います
が、個人的には、大切な部分を描写しないとお洒落みたいな、
それぞれの想像力でくみ取ってねみたいなのはあまり好きではないので
大人になった娘さんの気持ちくらいはセリフではっきりして欲しかったですね🥺
おそらく娘さんは旅行から帰国直後にお父さんのこと聞いたと思うのですが
その当時の娘さんの気持ちとかを考え出すと...うう...ってなる
31歳の父親と11歳の娘
主人公(フランキー・コリオ)の両親は離婚、母親と暮らしていたが、11歳の夏、父(ポール・メスカル)とトルコへバカンスに行く。
父が持ってきたビデオカメラでお互いを撮り合う。
それを20年後に観る娘、気が付かなかった父親の内面を知ることに。
大きくなってから気付く親の気持ち、ってあるよねぇ。
20年越しの父娘の愛、すれ違い、別離、理解を重層的に詩的にリアルに描く素晴らしい映画
11歳の夏の楽しいバカンスの思い出。20年後、撮ったビデオを見返すと父も自分と同じような苦しみで心が壊れていたことが明らかに分かる。そこで娘は初めて父が自死したことを許し、自分の現在の状況も理解し乗り越えることができると確信する。
甘い思い出の裏側の真実。しかも現在の自分に直結する真実。20年越しの父娘の愛、すれ違い、別離、理解を重層的に詩的にリアルに描く素晴らしい映画。
計算し尽くされた脚本と撮影、ガラス細工のように繊細な演技、詩的な編集、的を射た音楽と音響、どれも高次元。
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