「スランプから抜け出したい作家の顛末」インフィニティ・プール 雨雲模様さんの映画レビュー(感想・評価)
スランプから抜け出したい作家の顛末
売れない作家がリゾート地で恐怖体験するスリラー映画とあるが、ホラーかもしれない内容だ。
監督は"クラッシュ"や"ビデオドローム"等の名作を生み出した鬼才デビッド・クローネンバーグ氏の息子であるブランドン・クローネンバーグ氏の作品だがこの作品でぶっ飛んでいたのはクローネンバーグ監督のセンスではない。
ミア・ゴスのためのミア・ゴス劇場(笑)
ミア・ゴスがとにかくぶっ飛んでる。
Xやパールで強烈なキャラクターを演じたことですっかりホラー業界では御馴染みになっただろうが、ミア・ゴスはまたやってくれたなあという印象。
スランプから抜け出したい作家がお嬢様育ちの妻とリゾート地で気晴らしのための旅行をしていた際に自身の作品のファンであるというガビが出てくる。
ガビ役をミア・ゴスが演じているのだが、ガビ夫妻と意気投合しともに行動をするようになってから主人公の作家が悪い方向へと走ってしまう。リゾートの掟でリゾート外には出てはいけないのに出てしまった末に借りた車を運転する羽目になった主人公が車のライトの故障により不具合が起きると、歩いていた島民を誤って撥ねてしまい死なせてしまう。
逮捕され人の命を殺めた罪に問われた主人公は死刑を宣告されるが、この島には死刑を免れるためのあるルールがあり、それが島にお金を払う事で自身のクローンを作り出すことにより死刑を受けずに済むというのだが、作り出した自らのクローンに死刑を受けさせるシーンを見る光景はリゾートスリラーじゃなくリゾートホラーになっている。
ガビの紹介により同じクローンを作り出したことにより自らの死刑を逃れた人達とも繫がり犯罪に手を染めると続けて犯行を犯す度にクローンを作り出し死刑を免れることがクセになったのだろうか、やがてスリルを味わいたいがために悪の道へ堕ちてしまう主人公はガビの思うままと言ってもいい。
最終的には味わったスリルが忘れられること無く雨季のリゾート地のプールサイドでただ一人過ごすのだが、その光景が物悲しくも一度味わったスリルが忘れられず負のスパイラルに陥った主人公の顛末を物語っているようにも見えた。