「パターンの子は金継ぎのように」PATHAAN パターン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
パターンの子は金継ぎのように
『タイガー』『WAR/ウォー!!』と世界観を共有する“YRF(ヤシュ・ラージ・フィルムズ)スパイ・ユニバース”の第4作。
『タイガー 裏切りのスパイ』でパターンが助っ人に現れた時、そういやまだ『PATHAAN/パターン』見てなかったっけ…と、今頃になって鑑賞。
パターンはタイガーと同じ諜報機関“RAW”に所属。
祖国に尽くして30年のこちらも“伝説のスパイ”。
行方をくらました彼が発見された所から始まる…と言うより、時を数年遡ってその経緯が前半約1時間かけてたっぷり描かれる。
2019年。インドとパキスタン間で領地の自治権巡る一触即発の政治的問題が起こる。
パキスタン側の将軍は報復を目論み、国際テロ組織“X”と組む。
Xのリーダー、ジムはインド人で、元RAW最強スパイと言われた男。
2003年、任務に失敗しソマリア海賊に捕まり、拷問。身籠っていた妻も囚われ、目の前で…。
RAWやインド政府は身代金も交渉もせず。
裏切られ捨てられたジムは自らの死を装い、インドへの復讐を誓っていた…。
2020年。パターンは上官ナンディニとチームを編成。心身の理由から引退を余儀なくされながらもまだ祖国に尽くす意志がある元諜報員や元軍人から成る“JOCR(ジョーカー)”。
ジムの大統領襲撃計画を阻止する為、訪問先のドバイへ。が、大統領襲撃は囮で本当の目的は二人の科学者拉致。
パターンとジムは初めて対峙。科学者一人は助けるが、もう一人は連れ去られ、ジムにも逃げられてしまう。
パキスタン人医師のルバイがジムと関与ある事を突き止めたパターンは、滞在するスペインへ。接触するも、ジムの部下に捕まってしまう。
アジトに連れていかれ、ジムは各国の優秀エージェントを集めたチームに引き抜こうとするが、パターンは拒否。殺される直前、ルバイに助けられる。彼女はパキスタン諜報機関“ISI”のエージェントだった。
ジムの狙いは“ラクトビージ”という兵器。パターンとルバイは協力してジムより先にラクトビージを確保する為保管されているモスクワのタワーへ。
が、そこでルバイが裏切り…。ルバイはパターンがラクトビージを確保するよう仕向けられたジムの“作戦”だった。
ロシア警察に捕らえられたパターンは収容所送りに…って所でインターバル。
にしても、回想シーンだけで前半約1時間たっぷり割くとは、さすがインド映画。太っ腹。
とは言え私のインド映画ベストワン『バーフバリ』だって回想シーンは多いし、いや回想と言うより堂々の“本編”なのだ。
パターン絶体絶命!
そこをタイガーに助け出され(『タイガー 裏切りのスパイ』ではこの逆パターン)、今に至る。
現2022年。上官ナンディニが再要請するまでもなく、パターンは再びジムと決着を付けようとしていた。
再びルバイと接触。ジムが奪取したラクトビージが科学者によって改造された天然痘兵器である事を知り、ジムと決別し、今度こそパターンと共に闘う事を決意。
シベリアでジムの部下を追い、オーブを回収。RAW本部にて解析中、突然作動。ナンディニらが空気感染。更なる感染を食い止める為、自ら命を絶つ。
必ずジムを倒す事を亡きボスに誓ったパターン。ジムの部下から居所を聞き出し、ISI故身柄を拘束されたルバイを連れ出し、潜伏するアフガニスタンに向かう。
ジムの恐るべきテロ計画。ラクトビージを搭載したミサイルがニューデリーに撃ち込まれる…と見せかけて、ラクトビージを搭載した旅客機がニューデリーへ。RAWの決定で迎撃ミサイルが発射され、撃墜されればコロナを超えるウィルス感染。
パターンとジムの一騎討ち決着。猶予は解除スイッチを奪う僅かな時間。
パターンはジムを打倒し、未曾有の危機を防ぐ事が出来るか…?
『タイガー』『WAR/ウォー!!』もスッゲェ~!スパイアクションだったが、本作も引けを取らず。
ドバイの走るバスの上で、クライマックスのアフガニスタンの崖の上で、パターンとジムの強靭な肉体がぶつかり合う。
シベリアでの氷上チェイスが並みに思えるくらいの、ジェットパックによる空中チェイス。“超人”ならぬ“鳥人”と化した空中アクションは圧巻。
『WAR/ウォー!!』のシッダールト・アーナント監督による超絶アクションは健在。
世界を股に駆けたスケールも世界中のライバルスパイらに匹敵。
ボリウッドのスター、“キング・カーン”ことシャー・ルク・カーンの熱演、アクション、肉体美。
憎々しいながらも悲劇的な過去を滲ませるジョン・エイブラハムの存在感、アクション、肉体美。
二人共50超えというから驚き…!
もう一つ驚きなのは、ディーピカー・パードゥコーンの“ワンダーウーマン級”の美貌。悩殺水着スタイルや歌やダンスでたっぷりサービスし、華麗なアクションも披露。インド映画界には国宝級美女がどれだけ居るんだ…?!
パターンとルバイの関係がまんまタイガーとゾヤなのはご愛嬌。
タイガーと言えば、強力助っ人。出番は僅かだが、スカーフを武器に大暴れ。パターンとのユーモラスなやり取りにほっこり。ED後のオヤジトークもお見逃しなく。
スーパーエンタメだが、『タイガー』同様愛国心が熱い。
祖国に裏切られ、復讐を誓うジム。
ジムと同じ身に陥りながらも、祖国に尽くすパターン。
時に非常な決定をするRAWやナンディニ。
ナンディニとパターンとジムの関係が『007/スカイフォール』のM、ボンド、シルヴァを彷彿。
ジムの最期にもパターンは愛国心を問う。
愚国を身限るか、それでも祖国に尽くすか。
愚かな国の犬か、誇りか。
各々の言い分も分かる。どちらが正しいか…なんて愚問。己の正義と信念を貫け。
日本人が見ればその愛国心の熱さに驚くかもしれないが、熱いのだ。
パターンの名前の由来。てっきり何かの闘いや必勝の“パターン”だと思っていた。
パターンが伝説と化したアフガニスタンでの任務。
村を救い、現地人を救い、迎え入れられた。
パシュトゥーン(=パターン)の子として。
ジムとの闘いにも協力。家族の絆。
闘い終わり引退しようとするも、RAW局長から亡きナンディニのポストを継ぐよう託される。
お前しか出来ない。一度ひび割れた心身を鍛え、さらに強靭に。金継ぎのように。
まだまだ危機迫る世界にはお前が必要だ。
パターンの子よ。
パターンは戻ってくる。
『War 2』の後に控えるのは『Tiger vs Pathaan』! 仲良しこよしのタイガーとパターンが対決…? 気になるぅ~!
続報求ム!