デスパレート・ランのレビュー・感想・評価
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ひたすらナオミ・ワッツを観る映画
夫が交通事故で亡くなってから1年になる秋、森林でジョギングをしながら息子の安否を心配して居ても立っても居られない母親。
私の性格が落ち着きすぎなのかもしれないが、情報を集めまくり何とかしようとする母親に感情移入するというより、落ち着こうよと言いたくなる。
「今行くわ」って、あなたが現場に行ったところで何ができるのってツッコミたくなるし、息子とこれで心が通じ合いましたって、なんだか安易な展開。
徹底的に母親に密着するカメラワーク、ナオミ・ワッツを撮りたい、見せたいのだろうと思う。
とにかくナオミ・ワッツを見ていたい人なら最高かもしれない。
ナオミ・ワッツを知ることが出来たのは個人的に収穫。
キャラクターが薄いせいでドラマも薄い
ほとんど電話だけで物語が展開する作品は、一昔前ならばそれだけで斬新だった。しかし今となっては、似たような作品がそこそこある。つまり「電話だけ」ではもう観ている側の心を掴めない。電話だけで何をするのかが重要になる。
本作は、高校の銃乱射事件の顛末をスマホだけで追う物語である。
息子が巻き込まれている「かもしれない」。そこから派生して、息子が犯人「かもしれない」そんな絶望感に陥っていくドラマだ。
こう書くとちょっと面白そうに思える。しかしイマイチ乗れないのだ。
というのも、主人公エイミーや、その息子についての描写がほとんどなく、どうやら父親(夫)を最近亡くしたらしいことしか分からない。
つまり、キャラクター性が極端に薄いせいで、エイミーに対して何らかの感情を抱くのが難しいのだ。
同情、応援、なんでもいい。なんならエイミー自身ではなくその向こうにある事件に対する切迫感でもいい。そういった感情が観ていてもが中々出ない。
作品としてはあまり面白かったとは言えないけれど、ほとんどのシーンが一人で走るだけだったナオミ・ワッツは頑張っていたように思える。しかも半分は森の中だしね。
只管、ジョギング、長電話、お疲れさま
主人公の母親エイミー・カー(ナオミ・ワッツ)は自宅から8kmも離れた森の中を只管ジョギング、職場や子供の学校、母親、知人たちから頻繁に電話がかかる中、息子の高校で立てこもり事件勃発らしい。
事件現場を一切見せないでスマホの会話だけで想像させるなんて実に突飛な発想、映像は単調だし舞台を森にした必要性が感じられない、ただ隔離したかっただけかしら、ある種密室劇の変種かも。
出演は殆どナオミ・ワッツ一人だから製作費は確かに安く済んだろうがフィリップ・ノイス監督なら予算に困ったとは思えない、製作動機は死ぬまでに同郷のナオミ・ワッツと一緒に仕事をしたかったと言っていた。
まあ、人それぞれだろうがこの手法は観ていてイライラするばかり、確かに学校の銃乱射事件は銃社会のアメリカでは頻繁に報道されているしリアルっぽい映像で恐怖に怯える子供たちを撮って見せたところで斬新さはないから、一ひねりしたのでしょうかね・・。
ナオミさん、只管、ジョギング、長電話、お疲れさまでした。
【敢えて犯行現場を映さない事で、発行現場の緊迫感を観客の想像力に委ねる緊張感溢れるシチュエーション・スリラー。母の息子への強き愛を示している作品でもある。】
ー 今作を観て、直ぐに思い出したのがデンマーク映画の「THE GUILTY」である。
観客に対し、聴力と想像力だけで犯行現場の緊迫感を出す手法を駆使した逸品である。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・映画の感想は、観る人によって違うのは当たり前だが、今作が低評価なのは実際の学校で起きた犯行現場が映されない事によるフラストレーションも一因かと思われる。
あとは、低予算だとかいう理由かな。
映画の良し悪しは制作費ではないと思うのだがなあ。
・だが、今作を観ていると父を交通事故で亡くし心を閉ざしている息子ノア(コールトン・ゴッボ)を気遣いながら幼い娘も一人育てているナオミ・ワッツ演じる母エイミーが、長閑にランニングしている最中に連絡が来た、学校での銃乱射事件という悍ましき事態に対し、自らの脚で学校へ向かって走りながら、スマホを使って機転を利かせ警察よりも早く犯人を特定し、電話で接触する母としての”息子を絶対に助ける!”という気概が、心に響く。
・普通に考えれば、行き過ぎた行為と捉えられかねないし、実際劇中でも警察から警告されるが、それでも母は息子を助けるために、リモートで犯人と接触していくのである。愛する息子の緊急時なんだから、手順を踏んで何て言ってられないよね。
序でに言えば、この母の社会的には容認しがたい行動こそが、母の息子への強き愛を示していると思う。
・警察が捜査の段階でノアを容疑者かどうか確かめるシーンでも、エイミーは動揺しつつも、”あの子は良い子‼”と言いセルフコントロールして自制心を取り戻していくところも凄い。
<ラストで、息子のノアが校舎から走って出て来るシーンや、エンディングで事件直後から動画を上げ、学校での銃乱射事件への怒りを込めたコメントを述べるノアの姿には、且つて落ち込んでいた姿は見られないし、母エイミーへも珈琲を淹れてくれた事に”有難う”とベッドの中から言うシーンは、冒頭のシーンとは明らかに変わっている。
ノアが改めて母の強い愛情を感じ、彼自身成長した姿が、観ていて嬉しい。
今作は、敢えて犯行現場を映さない事で、観客の想像力に委ねる緊張感溢れるシチュエーション・スリラーなのである。>
主人公が、ネゴシエーター役として適任であれば・・・
ジョギング先で高校襲撃事件を知った母親が、息子の安否をスマフォで確かめながら走り続ける物語。
ナオミ・ワッツ主演のシチュエーションスリラーですね。
何故かたまたまリモート物を数作続けて鑑賞したのですが、やはりメジャー作品。ダントツの完成度でした。
映画はほぼ全編ナオミ・ワッツの一人芝居。電話の応対を聴かせて伏線を貼り、母親の焦燥と絶望を描き、犯人特定のサスペンスもしっかりと付け足す展開は見事だったと思います。
特に、焦燥と絶望の描写は秀逸。
スマフォで会話して、ただただ走る描写。激しい息遣い、足を挫き引きずりながらも必死に走り、時に絶望してへたりこみ・・・それでも走り続ける母親。
とても、良く描けていて、母親の感情を強く感じることが出来ました。
ただ、犯人特定と交渉は余計だったかもしれません。映画のストーリー的には仕方ないのかもしれませんが、主人公への共感が揺らいでしまっては元も子もありません。主人公と犯人が知人だった・・・等、もう一工夫欲しいところでした。
私的評価は4にしました。
デスパレートな母たち
ナオミ・ワッツ演じるシングルマザーが町外れの森でジョギング中、息子が通う高校で銃撃立て籠り事件が発生。
すぐにでも駆けつけたいけど、走っても1時間以上の距離。息子の安否を知りたくてスマホ片手にジタバタする姿が描かれるスリラー。
タイトルのdesperate には「絶望的な」という意味がある。森の中でスマホから得られる断片的な情報を知る限りまさにdesperate だ。
そしてdesperate には「必死な」「死に物狂いな」の意味もある。息子の元に駆けつけるためまさにdesperate な努力を彼女は行う。
観客の得られる情報はナオミ・ワッツのスマホでの会話や流れるニュース映像だけなので、事件の全貌がわかるまでは主人公と同じ目線でドキドキしながら楽しめる。
とはいえ事件の最中に警察や学校にあんなに電話しまくるのは、客観的に見れば迷惑極まりない行動だよなぁ。
battery
画面上で物語が展開するというのはなんだか「search」に似てるなと思いましたが、「search」が完全に画面しか映さない作品だったのに対して、今作はスマホの通話機能をフル活用して事態を把握していくという感じの作品でした。二番煎じだったらどうしようと思いましたが、そこが回避できて良かったです。
エンドロールを除けば80分くらいの丁度いい尺の作品だったのでそこも評価できるなと思いました(その一個前に観た「MEMORY」で疲れ切っていたので)。
スクリーンにはナオミ・ワッツの走りが常に流されます。セリフ量もとんでもないですし、カットしているとはいえ走りながらの演技、怪我の演技も込みで演じられているのが凄かったです。とんでもない集中力が要求される演技をやってのけたナオミ・ワッツには称賛しかありません。
主人公が何かしたわけではなく、事件の傍観者にはなりたくなかったのか、息子の安否を知りたいがためなのか、周りの人達優しくて的確に情報を掴んでいるのに、主人公は喚いてるだけなのはちょっと残念でした。
折角なら「search」と被りはしますが、画面上や通話の中から事件解決の糸口を見つけるような展開に進んでいけばよりスリルを楽しむ事ができたのに、そこに繋がらなかったせいか主人公に魅力は感じませんでした。なんなら息子を危険に晒すという中々なやらかししちゃってますし。
じっとして色々待っていたらもっと簡単に事件現場へ行けたはずなのに、めっちゃ動き回りますし、それでいて足首捻ったり、頭ぶつけたりとドジをこくので、何回も落ち着け!と心の中で叫びました。
犯人の動機もイマイチなもので、過去の復讐?的な感じだと思いますが、人を殺して立て篭もるほどの動機には思えませんでしたし、個人情報サラッとばらされましたし、色々と警戒薄すぎるんじゃないかと何回も思ってしまいました。
事件自体は解決できて、息子とも再会できたので結果オーライでしたが、もう少し登場人物に魅力が欲しかったかなと思いました。尺はちょうど良いですし、ロケーションは綺麗でしたし、ナオミ・ワッツが美しすぎました。なんだか惜しい感じのワンシチュエーションものでした。
鑑賞日 5/16
鑑賞時間 14:40〜16:15
座席 A-2
ディードラが良い人過ぎる
あの設定でどう展開するのかに興味があったが、やはり無理があった。
基本的にエイミーが森の中で話してるだけで、画的に退屈。
電話越しのみの人物も多く、誰と話してるのか分かりづらいのも難点です。
紅葉や川など美しい自然をアクセントとして映すなら分かるが、最序盤に映した意図が不明。
ダレを防ぐでもないし、ジャンル的に必要な画とも思えない。
また、(息子が心配なのは分かるが)独善的すぎて却って危険に晒すのもストレス。
最後に関わったみんなからのメッセージが入るが、そこはエイミー側からお礼と謝罪だろう。
『すずめの戸締まり』はそのへんちゃんとやってたなぁ。
中盤睡魔と場外乱闘していたからか、犯人の動機もよく分からず。
息子がいじめられてたという事もだが、娘の方は存在意義も感じません。
事態の把握までが長すぎるし、その後必死で集めた情報は警察も把握しているはずで。
サスペンスなのはエイミーの中のみで、俯瞰してるこちらからは無意味に取り乱しているだけ。
低予算で撮るにはアイデアも工夫も足りていない印象でした。
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