パリタクシーのレビュー・感想・評価
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フランス映画はだいたい唐突だ
パリのタクシー運転手のシャルルは、人生最大の危機を迎えていた。金なし、休みなし、免停寸前、このままでは最愛の家族にも会わせる顔がない。そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側まで送るという依頼が舞い込む。92歳のマダムの名はマドレーヌ。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていく。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していく!(公式サイトより)。
フランス映画はだいたい唐突だ。太陽が眩しくて殺人を犯す文学が愛され続けているお国柄なのだから、さもありなんだが、本作も唐突に、色んなエピソードが盛り込まれてくるから油断は禁物だ。
構成としては、大好きな映画「ラスト・ムービースター」に近いが、本作は、主人公が仕事で成してきたことではなく、個人として生きてきた軌跡を振り返り、仕事についてはほとんど語られない。ふたつの作品を見比べると、どことなく男女の視点や記憶の違いのようにも見て取れるのは、勘ぐりすぎだろうか。
ストーリー展開と同じく、パリの美しい街並みも楽しい。公式サイトには作中で巡った名所のMAPが用意されている。また、主人公のマドレーヌを演じたリーヌ・ルノーは歌手とのこと。Spotifyに作品がいくつか配信されているので、鑑賞後もじんわり楽しめる。
隠れた名作になるでしょう
話自体は女性一人立ちストーリーなんだけど
流行りのポリコレも全く皆無。(それがイイ!)
ロードムービーであるが1日にまとめて
90分って短いけど無下にエピソードを付け足さず、すごくシンプル。
だが無駄な押し付けもない。
爽やか―に80分が過ぎ残り10分で涙腺爆発。
60代のジジイだからこそ心を満たしてくれた作品に感謝。
80点
5
MOVIX京都 20230425
パンフ購入
映画の嘘と真実
公開時評判が良かったので見に行きましたが、評判に違わず凄く気持ちの良い作品でした。良い意味での“映画的嘘”の詰まった作品です。
と書いてみてふと思ったことですが、私が映画に求めているモノには大きく相対する二つのモノがあるのかも知れないってことです。
それは多分、この醜い社会から逃げ出す装置としての役割と、このきれいごとの社会の真実を炙り出す装置としての役割を求めているのかも知れないということを確認させてくれたようです。
で、本作は「せめて映画の中くらいは幸せになろうよ」という前者の、映画の役割(魅力・力なんとでも呼べはいいのだけれど)の一つである、映画の嘘による気持ち良さを久々に堪能し味わえる作品だったのでこれだけヒットしたのかも知れません。
まあ人(観客)によっては、映画に対してどちらか一つしか求めていない人も多くいるのでしょうが(というか、圧倒的多数だと思えるが)、私の場合は、この二つの役割が無いと物足りないという以上に映画が映画として成立しないと思っているので、どちらも必要としています。
個人的な傾向を振り返ってみると、若く映画見始めた頃は映画の嘘に惹かれ、映画が好きになり沢山見だすと真実を描く作品に惹かれ、それからはずっとそちら方面ばかりの作品に価値を見出していたのですが、初老と呼ばれる今になるとこういう作品を“嘘くさい”“きれいごと”と簡単に排除し片づけてしまうのは勿体ないと感じられるような年齢に、私もなってきた(戻ってきた)という事なのかも知れませんね。
まあ本作の場合、ストーリーは夢物語であったとしても、登場人物の人生の中に真実が含まれていたので、ただ単に“映画の嘘”として片づけることは出来ないのですが、どちらにしろ非常にベーシックで良く出来た作品でした。
最高の思い出。
老人ホーム行きを決めた92歳のマダム(マドレーヌ)と老人ホームへ送る46歳中年タクシードライバー(シャルル)の話。
金無し、免停寸前、無愛想のタクシードライバーシャルル、会社からの連絡で以来先へ向かうと待ってたのは92歳のマダム、マドレーヌ、目的地へ向かうまでの二人の寄り道ストーリー。
目的地は老人ホーム、老人ホームへ向かうも思い出の地を廻りたいと言うマドレーヌ、目的地へ早く送って仕事を終わらせたいと内心思うシャルル。
話したがるマドレーヌと話したがらないシャルルの距離が時間経つにつれ縮まってくのが良かった。正直マドレーヌの若き頃の思い出(暴力描写)は観てて嫌だったけど、目的地に着く前の夜のディナー、最初はあった壁も無くなり楽しそうに会話する二人の姿が観てて幸せな気持ちになりました。
目的地へ着くもタクシー代は未払い、ディナー代もシャルル持ち、完全仕事としては赤じゃん!なんて思ったけど金では得られない何かそれ以上の物をシャルル自身得たのかなと思ったし、彼の真の優しさみたいのが見れた気がした。
ラストのマダムの死は予想外で悲しかったけど、サプライズの手紙は泣けた。
美しいパリの街並みで心が通じ合う二人。
金なし、休みなし、免停寸前のタクシー運転手のシャルルと終活に向かう92歳のマダムの名はマドレーヌ。なんでシャルルはこんなに不機嫌なんだろう?マドレーヌが車中で語りだす自身の過去の話を渋々聞いていくうちに心が少しずつ解れていく。聞かなければ分からないほどの苦労をしてきたマドレーヌの言葉だからこそ、八方塞のシャルルの心を解すことが出来たのだろう。最愛の息子を亡くしたマドレーヌにとって、車中で話している内に、シャルルが息子であり孫でもあるかのような気持ちになったところも有ったのではないかと。タクシーに乗ってからの数時間の間に半世紀以上前の女性の人権も存在しなかった頃にまで遡る。マドレーヌの波乱の人生を辿りながら、投げやりで荒くれたシャルルの気持ちが前を向いて生きて行こうと変化する心の動きにほっと心が温かくなった。タクシーの窓から見える昼のお洒落な街並みや夜景に輝く景色が美しい。パリに行ってみたいと増々思いが強くなる。
意外な人生、本当に意外な
地球3周分の日々
パリの、青い空、 人生の手練れ
出会った瞬間からイライラして怒りっぽいタクシー運転手と上手にコミュニケーションしてお互い気分良く心開けるように持っていく92歳の老婆。言葉の端々に見える、相手への思いやり。
これはタダモノではない。少なくとも世間知らずな奥様ではない。おそらく山あり谷ありの道を歩いて、酸いも甘いも嗅ぎ分けて、種々様々な人々と接して付き合い方を身に着けた人生の手練れに違いないと思わせるところがあり、この老婆のリクエストを叶えることでどんなことが起きるのか興味が途切れない。
「あのこと」を観たときも思ったが、自由と平等の国と思っていたフランスが、女性に対する差別が割と最近まで強かったのに驚く。彼女がDV夫を殺さず、バーナーで焼くにしたのは、暴力夫の非道さを世間に訴えて戦う気持ちがあったからだ。(今のフランスに事実婚が多いのは、結婚すると女性の立場が極端に悪くなる歴史がある、またはその名残りからかも、と思った。)裁判の過程にムカムカしたが、話を聞いているタクシー運転手のシャルルも憤慨する。今はそういう時代だ。
父は殺されDV夫に苦しめられ、理不尽に(当時は普通!)投獄され、愛する一人息子と再会するも釈放翌日に別れたきり海外で死なれる、女性として考えられる不幸のフルコンボだが、へこたれずに晩年は女性の権利獲得運動のリーダーとして活動してきた素晴らしい女性、彼女の人としての奥深さはこういう生き方から自然に身についたものなのだろう。というか、元々が理不尽とは戦う、という芯の一本通った人だったんだろう。
パリの町並みと青い空が美しく、気持ちがいい。
シャルルがマドレーヌに徐々に惹かれていくのがなんか嬉しい。
彼がタクシー代を受け取らなかったのは、「次に来るときにもらう(絶対にまた来る)」という根拠を残すため。この気持ちが、最晩年をひとりぼっちで迎えたマドレーヌにはどれほどかうれしかっただろう。最後の晩餐として自腹でディナーに招待してくれたりもして。
ラストは出来すぎだけど、マドレーヌとシャルルの、お互いの心意気がもたらした最高の収まり方だと思う。
殺伐とした世の中だけど、こんな「いい話」があってもいいです。
誰の人生にもストーリーがある
気になっていたので観に行った。パリの街中をタクシーに乗りながらお婆さんの人生を振り返っていく。派手な演出はないがお婆さんの苦悩や喜びを丁寧に分かりやすく描いていた。つまらない人生なんてなくて、みんな一生懸命生きている事を改めて思える映画だった。
フランス社会の戦前からの変様 2つの人生上質なドラマ(今、生活危機タクシー乗務員➕92歳女性の生涯の終活)・・その先に・
パリで生活が危機に格っていて常にイライラ毒づいているタクシー乗務員シャルルと、人生の終活をしようとする92歳の女性マドレーヌがひとり住まいをやめて、老人ホームへ向かうヒューマン・タクシー・ロードムービー。
内容は、タクシー車窓から見える観光では味わえない生活道路や下町街を共に乗車して風景を楽しみながらドラマを楽しめる、ほのぼのの進行(映画予告編から)勝手に思っていたら、
車中マドレーヌ女性の口から驚く戦前からの(家族や個人の権利、男女の地位・・法律・裁判)波乱に満ちた人生を語られていく。
聞くはめになったシャルルは、最初こそそっけなく対応していたものが、だんだんに自分自身の事にも思いが巡り、心通うようになっていく。
その過程が、秀悦に語られる言葉や仕草、その時代の音楽を通して進行。
やがて、タクシー運転手シャルルは、マドレーヌとの出会いにより自分の(家族)の新たに向き直る事になっていく。
マドレーヌのサプライズと共に、シャルルも新たな未来へ向けて・・・。
★シネスコ・サイズ
★Digital5.1ch
★重低音 1
★音圧 1
★分離度 3
★サイド(左右、後、活躍度)1
★サラウンド 2
ほぼ全編スクリーン側のみ使用。
音楽、その他で、残響成分サラウンド使用。
人生の儚さと重さ
100倍返しにしたったわ
へ?何で満席?しかも女子だらけ?え?どうして?
いやいやいや。途中で分かりましたよ。女子だらけだった理由が。フェミニズムですね。これはれっきとした、左寄りになってない純粋なフェミニズムの物語、だったりする。女子で満席になるのも理解できる内容でした。
いやいやいや。
しっかし、怖いっす。と言うか、痛そうだ。
女子供に手を出す野郎は、それくらいの目にあっても当たり前ですか?
それは現在においても、そうはならんとは思うけど。
タマ一個を焼き切るくらいなら、賛成ですw
縁は異なもの味なもの
「縁は異なもの味なもの」とはよく言ったものです。
いつも仏頂面のタクシー運転手シャルルと、
終活のため生家を後にするマドレーヌ92歳。
世代はもちろん、生まれも育ちも違う2人が
徐々に心を引き寄せられ互いに「大切な人」とまでさせる
数時間のフランスはパリの旅🇫🇷🗼🚗³₃
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マドレーヌが語る、女性が生きづらかった時代
甘く切なくそして苦しく痛々しい記憶。
そんな記憶をなぞるかのように
パリの街並みを走らせるシャルル。
すぐ目的地に向かわないその寄り道に、
最初はイラつきを見せますが、
次第に、彼女の「人となり」に惹かれていく様が、
彼の表情と行動やひとつひとつの言葉の変化で
読みとることができます。
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ユーモラスでチャーミングな2人
人との繋がりが希薄になりつつあるこんな時代だからこそ
世代を越えて「人として」惹かれ合う2人に
ラスト15分、涙なくては観られません。
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追記)
マドレーヌが最も幸せな記憶は米兵マットとの短い恋だからか
舞台はパリであるのに、音楽はアメリカの曲ばかり流れる。
まとわりつくようなフランス語のラブソングとかも聴きたかった。
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