パリタクシーのレビュー・感想・評価
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パリの、青い空、 人生の手練れ
出会った瞬間からイライラして怒りっぽいタクシー運転手と上手にコミュニケーションしてお互い気分良く心開けるように持っていく92歳の老婆。言葉の端々に見える、相手への思いやり。
これはタダモノではない。少なくとも世間知らずな奥様ではない。おそらく山あり谷ありの道を歩いて、酸いも甘いも嗅ぎ分けて、種々様々な人々と接して付き合い方を身に着けた人生の手練れに違いないと思わせるところがあり、この老婆のリクエストを叶えることでどんなことが起きるのか興味が途切れない。
「あのこと」を観たときも思ったが、自由と平等の国と思っていたフランスが、女性に対する差別が割と最近まで強かったのに驚く。彼女がDV夫を殺さず、バーナーで焼くにしたのは、暴力夫の非道さを世間に訴えて戦う気持ちがあったからだ。(今のフランスに事実婚が多いのは、結婚すると女性の立場が極端に悪くなる歴史がある、またはその名残りからかも、と思った。)裁判の過程にムカムカしたが、話を聞いているタクシー運転手のシャルルも憤慨する。今はそういう時代だ。
父は殺されDV夫に苦しめられ、理不尽に(当時は普通!)投獄され、愛する一人息子と再会するも釈放翌日に別れたきり海外で死なれる、女性として考えられる不幸のフルコンボだが、へこたれずに晩年は女性の権利獲得運動のリーダーとして活動してきた素晴らしい女性、彼女の人としての奥深さはこういう生き方から自然に身についたものなのだろう。というか、元々が理不尽とは戦う、という芯の一本通った人だったんだろう。
パリの町並みと青い空が美しく、気持ちがいい。
シャルルがマドレーヌに徐々に惹かれていくのがなんか嬉しい。
彼がタクシー代を受け取らなかったのは、「次に来るときにもらう(絶対にまた来る)」という根拠を残すため。この気持ちが、最晩年をひとりぼっちで迎えたマドレーヌにはどれほどかうれしかっただろう。最後の晩餐として自腹でディナーに招待してくれたりもして。
ラストは出来すぎだけど、マドレーヌとシャルルの、お互いの心意気がもたらした最高の収まり方だと思う。
殺伐とした世の中だけど、こんな「いい話」があってもいいです。
誰の人生にもストーリーがある
気になっていたので観に行った。パリの街中をタクシーに乗りながらお婆さんの人生を振り返っていく。派手な演出はないがお婆さんの苦悩や喜びを丁寧に分かりやすく描いていた。つまらない人生なんてなくて、みんな一生懸命生きている事を改めて思える映画だった。
フランス社会の戦前からの変様 2つの人生上質なドラマ(今、生活危機タクシー乗務員➕92歳女性の生涯の終活)・・その先に・
パリで生活が危機に格っていて常にイライラ毒づいているタクシー乗務員シャルルと、人生の終活をしようとする92歳の女性マドレーヌがひとり住まいをやめて、老人ホームへ向かうヒューマン・タクシー・ロードムービー。
内容は、タクシー車窓から見える観光では味わえない生活道路や下町街を共に乗車して風景を楽しみながらドラマを楽しめる、ほのぼのの進行(映画予告編から)勝手に思っていたら、
車中マドレーヌ女性の口から驚く戦前からの(家族や個人の権利、男女の地位・・法律・裁判)波乱に満ちた人生を語られていく。
聞くはめになったシャルルは、最初こそそっけなく対応していたものが、だんだんに自分自身の事にも思いが巡り、心通うようになっていく。
その過程が、秀悦に語られる言葉や仕草、その時代の音楽を通して進行。
やがて、タクシー運転手シャルルは、マドレーヌとの出会いにより自分の(家族)の新たに向き直る事になっていく。
マドレーヌのサプライズと共に、シャルルも新たな未来へ向けて・・・。
★シネスコ・サイズ
★Digital5.1ch
★重低音 1
★音圧 1
★分離度 3
★サイド(左右、後、活躍度)1
★サラウンド 2
ほぼ全編スクリーン側のみ使用。
音楽、その他で、残響成分サラウンド使用。
人生の儚さと重さ
疾走したり渋滞にハマったり怒鳴ったり怒鳴られたり・・・、パリを駆け抜けるタクシーと共に、人生が凝縮して描かれていました。裕福な老婦人と庶民の不意な出会いというベタなストーリーと思って観ましたが、人の一生の重さを考えさせられました。母を大切に、自分の人生に責任を持って毎日を過ごそうと、ベタですが、思いました。
100倍返しにしたったわ
へ?何で満席?しかも女子だらけ?え?どうして?
いやいやいや。途中で分かりましたよ。女子だらけだった理由が。フェミニズムですね。これはれっきとした、左寄りになってない純粋なフェミニズムの物語、だったりする。女子で満席になるのも理解できる内容でした。
いやいやいや。
しっかし、怖いっす。と言うか、痛そうだ。
女子供に手を出す野郎は、それくらいの目にあっても当たり前ですか?
それは現在においても、そうはならんとは思うけど。
タマ一個を焼き切るくらいなら、賛成ですw
シンプルだけど素晴らしい
高齢のおばあさんがタクシーで、養老院に行くまでの話だが、それは1人の女性の一生を辿る道行でもあるのだった。そして女性の権利が当たり前に認められるまでの戦後史でもあった。
構成がお見事といふ他ない
縁は異なもの味なもの
「縁は異なもの味なもの」とはよく言ったものです。
いつも仏頂面のタクシー運転手シャルルと、
終活のため生家を後にするマドレーヌ92歳。
世代はもちろん、生まれも育ちも違う2人が
徐々に心を引き寄せられ互いに「大切な人」とまでさせる
数時間のフランスはパリの旅🇫🇷🗼🚗³₃
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マドレーヌが語る、女性が生きづらかった時代
甘く切なくそして苦しく痛々しい記憶。
そんな記憶をなぞるかのように
パリの街並みを走らせるシャルル。
すぐ目的地に向かわないその寄り道に、
最初はイラつきを見せますが、
次第に、彼女の「人となり」に惹かれていく様が、
彼の表情と行動やひとつひとつの言葉の変化で
読みとることができます。
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ユーモラスでチャーミングな2人
人との繋がりが希薄になりつつあるこんな時代だからこそ
世代を越えて「人として」惹かれ合う2人に
ラスト15分、涙なくては観られません。
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追記)
マドレーヌが最も幸せな記憶は米兵マットとの短い恋だからか
舞台はパリであるのに、音楽はアメリカの曲ばかり流れる。
まとわりつくようなフランス語のラブソングとかも聴きたかった。
ホッコリ
マドレーヌ、
あなたは、強くてステキです。
そんな、彼女の波瀾に満ちた人生のお話しを、
タクシー運転手のシャルルが聞き手に周り、
パリを横断するロードムービー。
他人同士でも、性別年齢関係なく、
たくさんお話をすることにより心が通じ合い、
かけがえのない存在に変わる、良いですね。
この映画をチョイスした自分。エライ!
あんまりよく分からずパリの名所観光巡りをするのかな?ぐらいの軽い気持ちで観たのに。
このおばあちゃんの半生凄過ぎる。その時代に女性が生きるのは、すごく大変だったんだなと思う反面、やりすぎではと思う自分もある。でもそこまでしないと世間は変えられない。でも…ううーん。
中身が何か知らないとはいえ、手紙をあんなに簡単に渡しちゃうんだ。映画として余分な説明は要らないのだろうけど。
でも本当にいい映画に出会えて良かった。
ほぼ実年齢のおばあちゃん 、エイズ活動などもしている凄い女優さんだったんですね。
おばあちゃんとばかり言っていては失礼ですね。リーヌ・ルノーさんです。
アカデミー賞主演賞をあげたい。
想定外の展開…フランス映画、大好き。
「ドライビング Miss デイジー」みたいな、ほのぼの系かなと想像して鑑賞したら、昨年観た「アプローズ アプローズ」、「あのこと」に続き、フランスらしいエスプリに満ちた物語。
フランス映画は、映像もしゃれてるし、今の自分に刺さる内容で、やっぱり面白い。
最初からイライラしているドライバーのシャルルと、見るからに癖の強そうな乗客のマドレーヌ。
気が付けば、押しの強いマドレーヌのペースにはまり、彼女の過去の話に引き込まれる。
若くして結婚せずに妊娠し、母親と同居して男の子を育てる20代のマドレーヌ。
やがて再婚するが、夫の子どもを妊娠することを拒否するマドレーヌに夫が暴力をふるう。
ある日、息子にまで手をあげた夫に、マドレーヌは重傷を負わせ、逮捕される。
このくだりは、ホントに驚いた。
私は刑務所無理なので、同じ仕返しでも、夫を全裸にして近くの公園に縛り付けるくらいにするけど、マドレーヌは想像以上に闘士で、このシーンは目を覆ってしまった。
マドレーヌの昔語りやわがままに付き合ううちに、シャルルとマドレーヌは打ち解け、気づけば友人のようにビストロで夕食を共にする。
このあたりの人との距離感、ヨーロッパの人たちの素敵なところだと思う。
パリでは、私はいつもメトロを利用していたので、車窓から眺めるパリの風景は新鮮だった。
来年のパリオリンピックも楽しみだ(*^-^*)。
近々、またパリを訪れたいな~と思った。
人との出会いが人生を変える
仏頂面のタクシードライバーが、たまたま
乗せたお客さんとのやり取りから、最後は
素敵な笑顔が☺️
壮絶な人生を語りながらも奪還した
チャーミングな笑顔のマダム♡
心に残る素敵な映画🎞️
予告編から受ける印象と随分違う。 話が上手くまとまりすぎている。 ...
予告編から受ける印象と随分違う。
話が上手くまとまりすぎている。
最後ご都合主義ではあるが、劇伴も相まって後味よく劇場を後にできる。
余韻たなびく、いい映画。
回想がザリガニの鳴くところぽい。
間違いなく名作
ストーリーは単純です。特に捻っているところもない(観ていた自分の先読みが捻りすぎていたw)ので素直に楽しむのがいいでしょう。
場面、場面の作り込みが細やかで丁寧で素晴らしい映画です。タクシードライバーの気持が少しづつ解れていくところ、イライラがニコニコに少しづつ変わっていく様子を観察してみて下さい。また、パリのドライブも楽しめる(というか、みたフランス映画が数少ないせいか、街の風景をうまく撮影するのがフランス映画の特徴なのかなあ?)のもいいところです。
「あ、そうだよね、そうなるよね」「やっぱり」というラストですが、ホロッとさせられたのは正直悔しい。でも、そうさせるだけの名作なんですよねえ。
心が凍ってるかなあ、と感じた時にこそ刺さる作品です。
過ぎ去り日々を巡る
住んでいた家を出て施設に入ることに
なったマドレーヌ92歳
そんな中タクシーのなかで自分の
若い頃の恋愛を話はじめる
これまでの波乱万丈の人生など…
少しずつ。
タクシー運転手のシャルル
シャルルも借金、今度違反したら
商売できなくなる一歩手前で崖っぷち
でイライラが隠せない
マドレーヌの人生を聞いているうちに
自分の妻や娘のことを思いやる
…いつの間にか
ふたりは会話を楽しむ様に
パリの街並みと夜景の素晴らしいさ
観光した様な気分です
マドレーヌは
誰かと話したかった
…自分の話を聞いて欲しかったのかも
二人にとって最高の一日になった
人生辛いことばかり、と誰が言ったか。
人生の終わりに向かってタクシーに乗った90代の女性は、寡黙な運転手にポツリポツリと話しかける。
苦しみや悲しみに満ちた人生を振り返りながら、蝶々夫人の様な甘い記憶だけが心の支えだった。しかし、その記憶も誰にも共有できない孤独なもの。
信号無視を繰り返すタクシーはやがて警察に捕まり、ご老人は運命に翻弄されるロードムービーの主人公となった。
人生辛いことばかりと誰が言ったか。マリア・シェルの「居酒屋」が脳裏をかすめる。シネコンを満員御礼にした今年前半のベスト映画となった。
曰くありげな高齢の婦人の半生を、自宅から終の住処となる老人介護施設...
曰くありげな高齢の婦人の半生を、自宅から終の住処となる老人介護施設へ向かうタクシーの中で、寄り道を交えながら振り返る映画
交通ルールが終わってるパリでタクシー運転手という、決して良いとは言えない労働環境の中で働く主人公の荒んだ心を、これまた壮絶な人生を歩んできた高齢婦人の半生を追体験することで、もう一度頑張ろうと再起させていく
フランス映画ぽい ロードムービー
他人の人生を 第三者視点で、 映画の予告編的に接せられる職業はないから、タクシー・運転手に纏わる映画は 面白いから、ほぼ全部観ます。
楽しい 語り合い時間が持てて、20万円超の支払いがあれば、夕食くらいは奢りますねぇ~
相手の過去を知れば、当然 情もわく
母親の職業と生活、主人公の人生の永くを費した期間を考えると、最期のプレゼントには映画をブチ壊す破壊力があり、フランス映画の味付ではなく、ハリウッド映画的結末に、僕は腰を抜かしました。椅子に座っていたけど。。。
ネタ的には良いが、まだ大学生の脚本家なので、解らないかもしれないが、
こう言う 初見どうしの 語り合い って 事実と真実が混じりあい、 自分の人生で悔いる事を、あえて 願望を込めた 希望と言嘘が混入するものだが、
それがないと、文芸ものにはならない。本作の脚本家は黒澤監督の「羅生門(芥川龍之介さん)」を3回観た方が良いでしょう。
それでも、ロードムービーの掟である 映画の最初と最期には 各自とふたりの関係性がちゃんと 変化していた。
撮影等は丁寧で、多々でてくる古今エピソードに混乱する事は、全くなく 大学生にしては、良いシナリオ構成でした。
眉毛の造作が上手いのか? 主人公老婆の今と過去の女優さんが 、よく似ていて、好感が持てました。邦画はもっと この点を見習って欲しい。
この映画が好きなら、フランス映画の様なハリウッド映画「グリーンノート」を観ると良い。
全230件中、81~100件目を表示