パリタクシーのレビュー・感想・評価
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人生はつかのまの旅の様に時は流れて
ハートウォーミングな佳作
少しエグい内容もあったりするのだが、全体的には柔らかい雰囲気に包まれた作品。
松竹は年に数本フランス映画を買い付けてくるが、久々の「見て良かった」と思える一本だった。
しがないタクシードライバーと老い先短い老婆の乗客との車内でのやりとりがメインなのだが、マドレーヌ役のリーヌ・ルノーとシャルル役のダニー・ブーンとがそれぞれの人生模様を膨らませて物語に厚みを持たせてくれている。
(パリという街が情感を与えているというのもあるのだろうが・・・)
二人が短い旅を終え、施設で別れる際には思わず、ほろっと来た。
日本版を制作するとしたら、シャルル役には安田顕か毎熊克哉、マドレーヌ役には宮本信子か松坂慶子、若き日のマドレーヌ役に井上真央か蒼井優といったところか?
そんな想像もしてしまうくらい心に残る一本だった。
そして最良の時へと帰っていく
壮絶な経験しながら、なぜこの様に美しく聡明にいられるのか。ベトナムから戻った息子との二人きりの時間に何を語り合ったのだろうか。いろんなことを考えてしまう。
本人から語られることはないが、現在と過去のマドレーヌが手を取り合うシーンから、自身に恥じることのない後半生を歩んできた事が伝わってくる。
そんな彼女が女性警官と話し、シャルルを免停から救うシーンはとても象徴的。
マドレーヌは、きっと愛想の良い女性ではないと思う。どちらかといえば気難しい頑固者。しかし、マットを思い出すときの少女のような表情、輝く瞳は最高にキュートだ。
最後、整えられた身だしなみでベッドに上がりライトを消すマドレーヌ。音楽に合わせてマットと幸せそうに踊り続ける。
深い孤独を抱えつつも強くあろうとする意志の力で美しく生き抜く、そんな姿に胸を打たれた。
………
追記20240310
マドレーヌ自身も、彼女の父と息子も典型的なフランス人闘士。その歴史を、現代フランス人の代表とも言えるシャルルに伝える形で、監督はフランス人らしさ、誇りを託そうとしたように思える。
いやはや。
パリの車窓から
パリ市内ロードムービー
人生を精一杯生きてきた老婦人からタクシーの運転手へと、希望という名のバトンが繋がりました。人と人との繋がりの大事な事と、人生の儚さとを考えさせられるお話です。
予告を観てどことなく気になっていた作品です。
タクシーの中という閉ざされた空間で描かれる
一人の老婦人の半生の物語。やはり気になる…
というわけで鑑賞です。
毎日乗客を乗せてパリ市内を走るタクシーの運転手。
老人ホームに入所する老婦人を乗せることに。
まっすぐに向かうのかと思えば
老婦人はあちらこちらへと、寄り道したいと口にする。
行き先は、遠かったりパリの反対側だったり。
最初は渋々応じていた運転手なのだが、
老婦人にとって、尋ねておきたい場所ばかりだった。
尋ねた先々で、老婦人は自分の過去を口にする。
その内容は、壮絶な人生の物語。
老婦人の名はマドレーヌ。現在92才。身寄り無し。
運転手の名はシャルル。現在46才。嫁と娘。…そして借金。
マドレーヌが語る。
#第2次世界大戦で父をナチスに殺され
#パリを開放したアメリカの兵隊と恋に落ちる
#米兵はアメリカに帰ってしまうもお腹には子供が…。
#後に消息を辿るも彼は結婚し親になっていた。
息子との二人暮らしは、忌中から溶接工の男との同居に。
事実上の夫婦となるが、この男は息子を邪魔にし虐待した。
子供に手をあげる事は許せない!
彼女の男に対する行動は、とにかく過激。
男を睡眠薬で眠らせ、股間をバーナーの炎で …ひぃ
男は死亡には至らず、裁判。 ですよねぇ。…その結果
彼女には「禁固25年の刑」が言い渡される。 そして服役。
13年後に釈放。
母親と子供の元にようやく戻れたのだが
男の暴力から守ったハズの息子は、
センセーショナルな事件を起こした母を恨み
良い感情を持っていなかった…。 う~ん
大学には進まず、報道カメラマンとして生きていた息子。
アメリカが戦争中のベトナムに行くという。
引き止める術のないマーガレット。
そして半年後 息子が死亡したとの報せが…。
とまあ
このおばあさん 実は
とんでもなく激動の人生を送っていた事が
徐々に分かってくるわけで…。
この作品、場所を移動しながら過去へと時間も遡り
「一生を振り返るロードムービー」
とでも言えばよい作品なのでしょうか。
◇
夜遅くに老人ホームに到着し
タクシー料金の支払いが未だと気付くマドレーヌに
”後日でいい また来るから” と
その日は代金を貰わずに帰ったシャルル。
一日中タクシーに乗っていたら、
タクシー料金は一体いくらになってしまうのか
見当つかないのですが(日本なら数万エン?)
シャルルはきっと、
目的地まで真っ直ぐ走った程度の金額しか
受け取ろうとしなかったのではないかなぁ と
そんな風に想像しています。
そしてまた、「後日で」 と言ったのも
身寄りの無いマドレーヌにまた会いに来るため
口実を作っておきたかったから。
そういう事なのではないかな と、
これもまた勝手に想像しています。
鑑賞中よりも鑑賞後に、じわじわと
心に沁みてくる作品でした。
◇最後に
原題 ”Une belle course” 「素晴らしいレース」
マーガレットの人生のことを指しているのか
最後にパリの町を見て回った道行のことなのか…
考えさせるタイトルですね。
原題のほうが作品のイメージに近い気がします。
邦題の”パリタクシー” も、間違いではないですが…
※そのまんまやん と思ったり。
◇余談(下世話です)
それにしても101万ユーロですかぁ。。
余り知らない相手から貰うにはコワイ金額な気もしますが…。
それと、シャルルと奥さんが小切手を手に抱擁するシーン
小切手が風に飛ばされないか、気になって気になって…
そんな変なオチは要らないよ~ と心配してました。
杞憂で終わって良かった。 ほっ。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
一期一会‼️❓終わり良ければ全て良し‼️❓
他人の評価が高いので、遥々遠くまで観てきました。
昔はこんな差別が極端にあるのだフランスは、今も人種差別が深刻ですが。
昔も今も、映画の中のパリは綺麗です、本当は汚いそうですが。
この映画のドライバーはコメディアンで、老婆はオペラ歌手で、なおかつ役と同じくらいの年齢だそう。
懐古する映画ですが、古き良きではなく、悲惨な家庭内暴力と壮絶なる人生、良い思い出もあるけど、昔の老婆が美しいパリジェンヌ、で、それだけに痛々しい。
子供が死んでからの五十年はどうしていたんだろう、そんなのは関係ないのだろう。
タクシードライバーと老婆の出逢いは、宿命とゆうか、人生の縮図とゆうか、神様のいたずらとゆうか、走馬灯の様に回想する老婆につきあうドライバーの人の良さが、人間捨てたもんじゃない、そう思わせてほのぼのしました。
結末は、心を揺さぶられるものがありました、ありがとうございました😊😭
淡々と
フランス映画らしく
淡々と進みますが
淡々のなかに
グッとくるところがあります
怒るとひとつ歳を取り
笑うとひとつ若返る
というセリフが
心に残りました
最後の
101万ユーロは
わかっていても
その額の多さに
涙が出ました
一期一会
巴里の町並みが美しい。そこが一番の映画かも。
かけがえのない瞬間
最近「観たい映画」の公開が渋滞気味で、劇場鑑賞のための作品選出や、スケジュール調整に苦心する週が少なからずある今日この頃です。
本作は先週公開の作品ですが、事前に観ていたトレーラーからの印象は「だいたい予想がつく展開」と想像し、配信でもよいかと思っていました。ところが、映画レビューサイトを様子見していると1週目の評価はかなり高い。考え直し、2週目の雨の土曜日に角川シネマ有楽町の午前中回に向かうと、そこには予想を超える賑わがありました。なお、年齢層はやはり高めです。
で、観た感想ですが、展開そのものは事前の予想通りですね。フォーマット的にはよくあるパターンですが「ここまでの評判」は何と言っても(現在の)マドレーヌを演じるリーヌ・ルノー。御年92歳(現在は94歳)には見えないの美しさと、チャームが溢れていて素敵です。そして、作品内で語られるマドレーヌの壮絶な過去と、シャルル(ダニー・ブーン)と打ち解けていく距離感の変化に共感しながら、誰しもが心奪われる終盤は周囲で鼻をすする音があちらこちらで。私もシャルル目線で想像しつつ、ついついマドレーヌに亡き母を重ねて見てしまって鼻の奥がツンと痛みました。そして、何と言ってもの最大の見せ場であるエンディング、若きマドレーヌの「かけがえのない瞬間」を結末にもってくる(いい意味で)抜け目のなさに「参りました」と言わざるを得ません。
まぁタイプ的には「映画館でないと」という作品ではありませんが、それでも賑わいを感じる劇場の様子に、徐々にですがコロナの影響が減少してきた実感が湧いた雨の土曜日でした。
パリって日本車少ないのね。
46歳の無口系のタクシー運転手のシャルルは、厳しい生活をおくっていた。そんなある日、お客で乗ってきた92歳の婆さんマドレーヌ。自宅を売却し施設に引っ越す為にタクシーを利用だって?東京だと江戸川から練馬って感じかな。荷物はスーツケース1つなので普通の人はバスか電車だよね。こりゃ超金持ちの元芸能人だなって想像。移動中、マドレーヌは思い出話を続けまくる。この映画、タクシーの中と回想シーンがほとんど。寄り道してタクシーを降りるのも回想シーンの為。あら?芸能人として有名なんじゃなくて、こんな裁判で?マジか!最近フランスのデモのニュースが流れてるけど、この裁判中も市民が集まってる。これってフランスの国民性なのね。
それにしても、予想外の悲しい流れ。前半楽しい感じだったのに後半はウルウルしっぱなし。最後なんて、声漏れちゃいそうなくらいでした。あぁ〜、だからタクシーだったのね。人生いろいろあるけど、思い出は幸せだね。
温かい気持ちになる。パリの街並みが美しい。
予想に反して女性解放(ウィメンズ・リベレーション)運動の歴史と多様な結婚の背景だろうか?
終活とパリでの恋の変遷なんだろうと思っていたらウーマンリブの歴史ではないか?
それにしても、
GIはフランスでも私生児を大量産出していたとは気が付かなった。
ラストの締めにもう一つ粋なところがないのが単なるパリタクシーで終わってしまって残念だ。
終活に向かうマダムを乗せたタクシー運転手が、
彼女の人生をめぐるパリ横断の旅に巻き込まれていく姿を描いたヒューマンドラマ。
無愛想なタクシー運転手シャルルは、
金も休みもなく免停寸前で、人生最大の危機に陥っていた。
そんな折、彼は92歳の女性マドレーヌをパリの反対側まで送ることに。
終活に向かうというマドレーヌは、シャルルに次々と寄り道を依頼する。
彼女が人生を過ごしたパリの街には多くの秘密が隠されており、寄り道をするたびに、マドレーヌの意外な過去を語りだす。
そしてそのドライブは、
いつしか2人の人生を走馬灯の様に思い出が廻り始める。
フランスの国民的シャンソン歌手リーヌ・ルノーがマドレーヌを演じた。
シャンソンと言うより英語で歌うのでJAZZの様に思えるのだが…
^^
非の打ち所がない。無理やりイチャモンつけるとしてもタイトルくらい。
非の打ち所がない!
90分とコンパクトにまとめられていて全く無駄なシーンがない。
無駄を全て削ぎ落とした90分は映画大好きポンポさんのジーン監督の編集を思い起こさせる。
万人に愛される作品とはこういうことなんだ。
全てのセリフと映像が意味を持つシーンであり、パリの風景と共にちょっとビターなおばあちゃんの過去とタクシー運転手の今のお悩みが交錯。
パリに行ったのは大学生の時だ、懐かしい思い出も蘇った。当面パリにはすぐ行けないから観光気分まで味わえたのもよかった。
運転手がホームからの催促電話を無視してディナーに誘うシーンあたりからはウルウルが止まらない。
ホームに送り届けてから、戻る時の風景がまた切ない。
人生はオレンジとはちみつ味のキスから、介護施設まであっという間なのかもしれない。
一日一日を自分らしく生きることの大切さを感じたし、人生の酸いも甘いも知り尽くしたチャーミングなおばあちゃんを見ていたらクソ真面目に生きなくてもいいんだ、人生を存分に楽しもう!と思えた。
フランス人女性って日本と違って若くないと価値がないなんてことはないんだな。
今日は本当にいい映画に出会えて良かった。
ラストでダンスシーンがもう一度出てきたのも良かったなー。
人は3ヶ月のいい思い出があれば辛いことがあっても生きていけるんだなあ!
演劇でも観てみたいし、日本版も観てみたい。
まあ、草笛光子さんにやる気があれば。
旅は道連れ世は情け
木曜日の昼間なんですが、めちゃくちゃ人が入ってました。公開規模が小さいのもありますが、ここまで惹きつけるものがあるんだろうなと思いワクワクしながら鑑賞。
小さいけれど、とても中身の詰まったロードムービーでした。タクシー運転手と92歳のおばあちゃん、たまたま交わった2人のそれぞれの思いを吐露して、互いを分かり合っていく様子がとても微笑ましい作品でした。
老人ホームへ向かうためにタクシーを呼んだマドレーヌおばあちゃん。92歳とは思えないくらい生き生きしていてかわいらしいです。演じたリーヌ・ルノーさんも御年94歳と、なんともたくましいおばあちゃんです。そこにやってきたタクシー運転手のシャルル、かなりイライラしていて、最初の出会いは互いに好感触では無さそうでした。
マドレーヌが遠回りを提案して、パリの街をぐるぐる回る中で、マドレーヌの辛い過去がだんだん明かされていきます。子供を産んだあと、再婚した旦那は今で言うDV夫、だけれど1950年代は離婚はほぼ無いもので、亭主関白が当たり前の様な時代だったため、中々逆らう事ができなかったそうです。
子供にまで暴力を振るったので、怒り心頭のマドレーヌは睡眠薬で旦那を眠らせたあと、バーナーっぽいもので男性器を焼くという、まぁ何とも痛い描写がありました。そうしたくなるほど胸糞な旦那だったので、ちょっとスッキリしました。その後の裁判はどうにも納得できないまま禁錮判決を受けてしまいましたが、現代ならこんなのは許されないよなとマドレーヌに同情するばかりです。
禁錮明けで帰ってきたあと、空白の時間に息子が苦労していた事、ベトナムに戦場カメラマンとして行くも、巻き込まれ死んでしまい悲しみに暮れてしまう、とやはり辛い事は続いていました。
そんなマドレーヌの話を聞きながら、会話をどんどん楽しむシャルルの表情はどんどん明るくなっていきますし、一緒にアイスを食べたり、ディナーを共にしたり、運転免許が取り締まられそうになった時に助けてもらったりと、関係性が深まっていく様子がとても微笑ましかったです。
幸せな短い旅の後、老人ホームに入りましたが、その後すぐに心臓病で亡くなってしまい、恩人と家族を合わせる事が出来ずに悔しそうなシャルルでしたが、その想いをしっかりと受け止めていたマドレーヌが、自分の遺産をシャルル一家に渡すと言う、見返りを求めていなかったシャルルに最大限の恩が返ってくるという気持ちのいい終わり方で物語は幕を閉じました。
90分と短くコンパクトにまとめられていて、役者陣の演技もしっかりと堪能できる。公開規模が小さいのが残念ですが、とても面白いロードムービーでした。こういう人生の終活が出来たら良いのになぁ。
鑑賞日 4/13
鑑賞時間 12:25〜14:05
座席 B-13
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