パリタクシーのレビュー・感想・評価
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理不尽とそれに負けない(浸りきらない)美しさ
パリが好きで、パリの景色たくさん見れたらいいなと思い鑑賞。
マドレーヌの過去が想像を超えて壮絶すぎて、え…ってなったけど、
現在の彼女の様子を見てると、とてもそんな理不尽とか不幸な目に遭ったとは思えないような素敵なエレガントな女性で。
家を離れる日(自由な人生の終焉)に身に付けてた水色のスカーフが、舞台で仕事してた彼女をレイが迎えにきたときに身に付けてたスカーフに思えて、幸せなころの大切な記憶なのかな…
マットとマチューと幸せになれれば良かったのになぁ…
でも、家庭を持っていたマットへの恨み節もなく、手紙もすっぱり送るのやめたと言うから、
粘着質でなく、幸せを見いだす資質に富んだ人なのかも。
父から教わったという言葉ー怒れば老い、笑えば若くー
物事のポジティブな面に目を向ける性質を、親から得られた人は幸せだと思う。
そんな素晴らしい父の命を証するプレートの周りが、今や落書きやホームレスのテント?が張ってある場所になっているとは…
哀しかった。
でも、マドレーヌの不幸は、あんな方法を取ってしまった彼女にも因があるけど、
父はおらず、母からも離れ、幼い頃から社会に居場所を作れなかったマチューが可哀想で。
彼が自分で見出した道で、人生を断ち切られてしまったのが、彼に幸せと思える瞬間やそれを感じさせてくれる人がいただろうかと考えてしまって…
シャルルは、不安やストレスから普段は粗野な感じなのに、マドレーヌと話すうちに本来の優しい性質が戻って、観ていてうれしくなった。
彼のような、環境が良ければ穏やかに健やかに過ごせるであろう人が、仕事や環境に恵まれず、性格まで歪められるの、本当にどうにかならないのか…
最期はできすぎにも思えたけど、体調を崩して引き取ってくれる家族はなく、施設まで送ってくれる誰かもいないマドレーヌが、
人生の最期を素敵に過ごさせて良い思い出をくれたシャルルに自らの財を与えるのは理にかなっていると思った。
二人が再会できていたら。
マドレーヌがどれだけ喜んだだろうか。
人生は非情。
孤独な闘いの人生、最期にあんな素敵な出会いがあるならいいのにね。
最後、涙が流れました。
一年に地球を3周する仕事
シンプルなロードムービーですが、景色と会話のセンスで軽妙な仕上がりでした。
マドレーヌの過去は予想外。
現代ならマチューと逃げるなり裁判を起こすなり出来るのでしょうが、時代が許さない。
DV男に天罰が下らないところや、結局マチューも辛い青春を送るところなど、哀しくもリアルです。
フィクションながら、あの過去が現在をつくったというのは説得力がある。
オチに捻りはないが、安っぽくはない。
シャルルが徐々に打ち解けていく様が、流れとしても演技としても非常に自然で微笑ましい。
特にトワレ渋滞の後に子供のように笑い合う2人が印象的でした。
マドレーヌは、日本で言えば京都っぽいというか、上品で可愛らしく、でも強かさやユーモアもあり魅力的。
語られなかった、自殺未遂から先の半生も知りたくなってしまった。
作品はよかったが、車線変更でウインカーを出す車がほぼおらず、絶対にパリでは運転したくないと思いました。笑
心温まる作品です
パリ、タクシーというタイトルだけで良い映画しか思い浮かばないのですが、予想通り最高の作品でした。生活苦と渋滞などでイラつく殺伐とした中年タクシードライバーが高齢の素敵なマダムを乗せて走り出すところから物語が展開していきます。どの時代のバリの街並みは素晴らしいし、マダムは若い頃からとても美人で素敵で素晴らしいです。最後はとても心温まる良い作品でした
美しい風景に人生の喜びと悲しみを重ね、幸福な余韻が残りました。
フランスを走るタクシー映画と言えば、リユツク・べッソン製作・脚本の「TAXi」シリーズを思い浮かべてしまいますが、派手なカーアクションはもちろん一切なし。
かつてのフランス映画がそうだったように、パリという町には下町的な人情ものがよく似合います。本作も伝統にならい、人生の酸いと甘いを涙と笑いにくるんで見せてくれます。ゆっくりとした会話と車の流れに身を任せるうち、人生の奥深さや輝きをしみじみと味わわせてくれる逸品です。
金も休みもなくイラつき気味のシャルル(ダニー・ブーン)はパリのタクシー運転手。免停寸前で仕事を失いかねない人生最大の危機を迎えていました。もし違反して警察に捕まったら、最愛の家族にも会わせる顔がありません。
気が荒く、客にも悪態をつくシャルルでしたが、そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側の大通りまで送るという依頼が舞い込みます。92歳のマダムの名はマドレーヌ(リーヌールノー)。自分の屋敷を引き払い、介護施設に入るというのです。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。
彼女の求めで、パリの町を巡っていきます。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていきます。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していくのでした。
エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ大通り、ヴァンドーム広場など、日本人にもなじみの場所がゆったりとしたカメラワークで映し出されていくと、観光客になった気分で楽しめます。でも、マドレーヌがたどる場所はそれだけではありませんでした。
「ナチスによる銃殺の地」と記された碑のある場所、劇場があった大通り、かつての監獄、裁判所……。思い出の場所に差し掛かる度に、マドレーヌは自身の過去を回想し、シャルルに語かけるのです。
タクシーによる旅は、彼女にとっては時間旅行でもあり、高齢の身にとっては、観光気分どころではなく、かけがえのない旅なのでした。
母と息子ほどの年の差がある2人の“旅”はどこにたどり着くのでしょうか。マドレーヌが語る過去は壮絶で、終活や家庭内暴力、女性差別といった重いテーマを盛り込みつつ、説教臭さは皆無です。それは現代人に無縁でない問題もはらんでいると思います。なのに、本人は凜として品がいいのです。だからこそそんな彼女が夫のDVに耐えかねて、予想外の反撃に出るシーンは衝撃でした。
そんな想像以上の過酷さに満ちたマドレーヌを知ってしまうと、シャルルでなくとも、悲しみを克服した彼女に親愛の情が湧くはずです。客に媚びないシャルルが、思わずディナーに誘ってしまうのも納得でしょう。美しい風景に人生の喜びと悲しみを重ね、幸福な余韻が残りました。
今年95歳になるというルノーとブーンの好演で、年の差を超えたランデブーに同伴した気分を味わえることでしょう。
だんだんと柔和になっていくシャルルの表情(笑った方が素敵)。ドライ...
だんだんと柔和になっていくシャルルの表情(笑った方が素敵)。ドライブが終わるころのお互い寂しく、離れがたい気持ちになっている切ない表情。亡くなった祖母が思い出されて泣いてしまいました。フランス映画ってイマイチ解りづらい感じがしてたんですが、これは良かった。車窓から見えるパリの街並みも美しかったです。できればもう一度会ってほしかった。
予想は出来ても
品のある老女とタクシードライバーの会話劇なんだけど、最後まで見飽きる事欠く、ラストは大方予想は出来ても静かに涙を溢してしまうような素敵な作品でした。
結構辛いシーンもあるけど、それよりもふたりのタクシーでの道中の穏やかなシーンの方が印象に残るので全然重い気持ちにならずに劇場を後にできる。
(それにしても悪いやつってのは大抵人相に出ちゃってるからこいつヤバそうって予感は嫌な意味で裏切らない。当時の女性達の生きづらさを思うと胸が苦しくなる)
短い時間なのにマドレーヌによってシャルルが少しずつ変化していくのがとても自然に描かれていてとても優しい気持ちになれました。
素直に観て良かったと思える作品。
マドレーヌのように穏やかに若々しくいたいので
怒りではなく笑顔を大事に生きていけたらいいな
フランス映画らしいラストの余韻が最高
予告編を見て心温まるフランス映画を久しぶりに味わいたくて鑑賞。
思ってたよりシリアスな回想シーンもあり意外性も含めて楽しめました。
終活を考え老人ホームに渋々向かうマドレーヌと借金や違反点数で金も休みもなく追い詰められているタクシー運転手シャルルとの
出会いと別れを描いたロードムービー調の人間ドラマです。最初は無口で怒りっぽいシャルルが徐々にマドレーヌの過去の話に気持ちが入り込み手助けしたい気持ちに徐々になって行く。人間味が溢れて感動しました。
フランス映画らしいラストの余韻も最高に良かったです。40代以上の方に心からお勧めです。
人生の悲哀と愛とパリの街
なによりパリの街が美しいし、主人公の老婆も年輪を重ねた美しさがあって素敵だった。
長く生きていれば苦労も色々あって複雑だけれど、スッキリとした老婆の様子に老いることを必要以上に恐れなくても大丈夫な気がしてきた。
彼女とのかかわりで少し偏屈なタクシー運転手にも変化があらわれて、その様子が好もしかった。
観終わった後、少し素直になれる映画かな。
小さめのスクリーンだったけど、満席だったのはリリコさんのおかげ!?
「エスプリ」って、こういう時に使う言葉だったかしら
予告編の知識だけだったので、ハートフルなストーリーかと思いきや、結構な重さの過去を語り始めるマドレーヌ!
救いはその当時でも支援する人々がいたことかもしれない。その過去をタクシーを転がしながら最初は聴くでもなくの態度のシャルル、でもどんどんと惹き込まれていく様に二人の距離が縮まることの証のよう。
短尺の作品のためマドレーヌがマットと別れた後に夫と交際が始まったきっかけやシャルルが苦しい生活下に置かれていたり、妻子と微妙な関係にあることの説明が省略されていて、脳内で不足部分を補いながらの鑑賞になってしまいました。
主人公二人の結びつきは年齢差(息子が生きていれば孫のようなシャルル)、そしてカメラ繋がりなのかなぁ、きっとその親密さがラストに繋がっていくのでしょうね。
パリを舞台に観光的な要素も含みつつ、でも流れる曲はアメリカンジャズ、それは今でも忘れないキスの味をもたらしてくれた米兵のマットへの深い愛情の表れだったのかと思ったりして。
辛く悲しい思いもあるはずなのに観終えたときには「良かったかなぁ」と思えることができる素敵な作品に出会えることができました。
フェノバルビタール
フランスは世界に冠たる個人主義の国だが、一方でこういう(寅さん的なのとは少し違う)人情噺の伝統もちゃんと受け継がれていて面白いなあ。
マドレーヌは想像を絶する人生(ちょっと盛りすぎか)を送ったのだけれど、幸福追求のためのバトンを然るべき人に渡して去った。本当に強靭な人だ。
評者は信心と無縁だが、次走者のシャルル一家に神の御加護を、と祈らずにはいられない。
タクシーでの旅路の果てに……
パリの46歳のタクシー運転手と92歳のマダムの邂逅。想像以上に感動的な作品。私はラスト嗚咽しそうになりました(笑)。
タクシー運転手は、日々いろんな客に出くわす。横柄で乱暴な人、ケチな人、おしゃべりな人、無口な人、酔っ払いなどなど……
一方で、人生を変えてしまうほどの奇跡的な出会いもある。
そう、92歳のマドレーヌような人に。
物語はタクシー運転手のシャルルと施設に向かう92歳のマドレーヌの会話、そこから繰り広げられるマドレーヌの壮絶な過去を中心に展開され、感動的なラストに。
やる気のない、投げやりな態度のシャルルが、マドレーヌとの対話によって、次第に心を開いていく様子や表情が素晴らしかった。すごいな、マドレーヌ!!
これぞ一期一会。
タクシーの旅路を通して、シャルルとマドレーヌと共にパリの街を一緒に巡っているような気分にしてくれるところも本作の魅力の一つ。
そしてマドレーヌ演じた2人の役者の美しさ♡
若き日のマドレーヌも、92歳のマドレーヌも本当に素敵だった。衣装も素敵で勉強になる。サックスブルーのスカーフに釘付け♡
平日の昼間に観ましたがほぼ、満席でした!
おすすめ映画です。
笑顔×写真の方程式
今まで送った人生を振り替えたとき、何度楽しいと心から思える瞬間があったのか、最盛期はどんなときだったか。記憶を思い出させる写真を振り返ったときはどんな感情なのか。
すべて何も上手くいかない、つまらない人生を送っているシャルルがある日乗せたのはマドレーヌというマダムでした。マドレーヌは一見陽気なおばあちゃんであったが、彼女の人生を振り返りながら、超遠回りなタクシードライブに出かけます。
笑う分若返りする。怒りの分年を取る。いい言葉でした。シャルルとマドレーヌの出会いは人生のターニングポイントであり、シャルルがマドレーヌに与えたものとマドレーヌがシャルルへのお礼は一見比にならないかもしれませんが、人生の思いでという点では共通です。
人生は長いようで振り返ると一瞬、92歳のおばあちゃんでも16歳の出来事は昨日のように思えます。記憶を思い出すと昨日の出来事のように思えます。昨日を振り返ったときに楽しかったと思えるようにいっぱい笑って、何が起きるかわからない明日を迎えましょう。
マドレーヌからの手紙は自然に涙が流れました。もっと多くの方に出会って欲しい映画です。
パリを旅行した気分になれた
どちらかと言えばストーリーの方はあまり期待していなくてパリの美しい街角の風景が見たくてこの映画を選びましたが、想定していた以上におばあちゃんの人生が濃かった。時間も短めでサクッと見れる良い映画でした。
原題が「Une belle course」で日本語だと「素晴らしいレース」ですか。やはりパリタクシーの方がストレートな表現でしっくり来る。
おばあちゃん役の方はフランスでは有名なシャンソン歌手のようで、昔の日本で言えば淡谷のり子みたいな感じでしょうか。
たまにはハゲマッチョや怪物の出ない映画を。 半日ほどの偶然の出会い...
たまにはハゲマッチョや怪物の出ない映画を。
半日ほどの偶然の出会いが、互いの人生の大きな転機へと繋がる、号泣必至の良作。
笑顔で過ごすことは大事なのだって話でもあるんだが、一瞬頭をよぎったのは「ラストナイト・イン・ソーホー」だったりするのが、己の業よな。
素敵な映画を観ながら一足早いパリ観光。如何にもフランス映画らしい人情噺の良作。
①予告編を観て全く予定調和的な話だろうと思ったし、ラストも全く予想通りだったのに嗚咽を抑えきれなくて、マスクの上から口を押さえてしまった。
巧い(私が泣き上戸なだけかも知れないけど)。
②さすが映画を生んだ国フランス。難解な映画も多いけど、昔から人情噺を作らせても上手い。
③但し、単なる泣き笑いのcomedieではなくて、マドレーヌの人生の断片を聞いている中で、シャルルは自分が生まれる前のフランス人(特に女性)が経験した哀しく厳しい近代史に触れるという苦味もある。
④“人は一回笑うと一年若くなる、一回怒ると一年歳を取る”という素敵な言葉を教えてくれた父親は、パリが解放される数日前にナチスによって銃殺される。
マドレーヌの人生で一番幸せな時間を与えてくれた進駐軍のアメリカ兵マットは帰国して向こうで家庭を持った(日本の戦後でもよくあった話)。
マットはそれでもマドレーヌにとって何よりも大事な息子を残してくれたが、それが新しい悲劇の元となる皮肉。
⑤それにしてもマドレーヌも思いきったことをしたものだ。私はてっきり息子を殴った手を焼いたものと思ったが、レイの息子を焼いたとは。同じ男としてはちょっとレイが可哀相に思ったが、1950年代のフランスの妻の社会的地位の低さとDVの実態を暴露するには、これくらいの劇的インパクトは必要だったのだろう。
私も“男”は“女”に手を上げた時点で“男”ではなくなると思うくらいDVは許せません。
私はフランスはてっきり“女”の国だと思っていたので、1950年代のフランスでは女性(妻)の社会的地位が低かったと知って驚いた(勉強不足ですね)。
それに現代に至るまでフランスを含むヨーロッパではDVの問題は深刻だということも映画鑑賞後まで知らなかった(更に勉強不足)。
映画を観ているときは、マドレーヌが後半生をDV撲滅運動に身を投じたのも自分が当事者であると共に過去の行動から闘士としての代表に祭り上げられたのだろう、くらいに思っていたのだか、現代でも充分に深刻な問題なのだ。
それでシャルルが「25年は長すぎるなぁ」と言ったのも理解できる。
⑥それにマドレーヌも結局充分な償いをすることになった。女盛りを牢獄の中で過ごすことになったし、大事な息子の成長を間近で見られなかった。刑務所に入っている間に息子は学生運動に飛び込み(5月革命?)、結句報道カメラマンになってベトナムで戦死する。
身を呈して守った息子だったのに短い間しか一緒に居れず、過去の事件のせいで肩身の狭い生き方をさせてしまった…
⑦さて、暗い話はこれくらいにして、人生で一番幸せだったというマットと過ごした日々の中で共に歌った(という印象があるのだけれど)『on the sunny side of the street』。去年の朝ドラの『カム・カム・エプリバディ』を思い出してしまった。
⑦来年はパリオリンピックに行くつもり。その時にパリに住むフランス人の友達にパリ案内をしてもらおうと思っているけれども、一足先にパリ観光の予行演習をした感じ。
それくらいシャルルが運転しマドレーヌが乗り込んだタクシーから眺めたパリの街は美しかった。
⑧フランス語原題“Une Belle Course”。ピッタリです。
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