「【思っていたのと違うタクシー車内物語】」パリタクシー　abuさんの映画レビュー（感想・評価）

まず、ジャケット写真に完全に騙された。
物語の内容とはほとんどリンクしていない。

しかし、中年のタクシードライバーと、後部座席に座る92歳のマダム。

この二人の相性が驚くほど良く、短いパリの移動時間が、まるで人生の一瞬を切り取ったように愛おしく、どこか切ない。

“一期一会”という言葉は、この映画のためにあるのではないかと思えるほどだ。

現実の物語でありながら、どこか御伽噺のような透明感が漂っている。

だからこそ、多少の非現実さや偶然にも説得力が生まれる。

「ドライビング Miss デイジー」のように、年齢も背景も異なる二人が出会い、その瞬間だけ交差する。

その美しさを丁寧に見せてくれる作品で、とても心が温かくなった。