「原作を知らないとただの「狂人」な海江田・・・期待していただけに正直残念。」沈黙の艦隊 焼肉定食さんの映画レビュー(感想・評価)
原作を知らないとただの「狂人」な海江田・・・期待していただけに正直残念。
かわぐちかいじ先生の代表作である「沈黙の艦隊」。待望の実写化ということで公開日に映画館へ。
遥か昔に原作を読み、ちょこちょこアニメを見た記憶がある本作。前述の通り「待望の実写化」ということで、「あのストーリーをどうやって2時間にまとめるのか」という疑問を胸に視聴。
ざっくりとしたストーリーとしては、海上自衛隊の潜水艦が米軍の潜水艦と衝突事故を落とし、約80人の乗組員が帰らぬ人となる・・・。しかし事故は実は偽装で乗組員は生存しており、日本とアメリカが秘密裏に共同で勧めていた最新鋭の原子力潜水艦「シーバット」の乗組員となっていた!
シーバットの艦長に抜擢された本作の主人公(?)海江田がまさかの離反。追撃するアメリカの第7艦隊と相対するも、その卓越した指揮力・操艦力をもってこれを撃退し、独立国家「やまと」の建国を宣言するが・・・・。
という話であるが、「沈黙の艦隊」のかなり重要な部分である『何故、海江田が離反し「やまと」を建国したのか』が本作を観るだけでは全然分からない。海江田役の大沢たかおさんもかなり役を作りこんできてるように感じたので、尚更「ただの狂人」として映らなかったのが残念で仕方が無い。原作ファンで、期待していただけに辛口レビューとなってしまった。
正直「2時間では描き切れない」っていうのが答えなのは分かる。ただ、次回作込みでの制作であれば「エピソード1」みたいな表記もして欲しかった(前情報得てないので、そもそも続編ありきであれば申し訳ない)し、続くのであればもっと「やまと」建国のストーリーを丁寧に描いて欲しかったと思う。
次回作の話も出ているようなので、是非原作で描かれていた、海江田の考えや、アメリカと日本の関係性、「専守防衛」を掲げる自衛隊の難しさや葛藤などを上手く表現していただくことを願う。ぱっと思いつく潜水艦映画「U571」や「ローレライ」と比べても、原作は遜色ない魅力ある作品なので、次回作に期待します。