「太平の 眠りを覚ます 鉄鯨」沈黙の艦隊 マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
太平の 眠りを覚ます 鉄鯨
沈黙の艦隊
「ジパング」「空母いぶき」
等仮想戦記ジャンルの大家
かわぐちかいじの代表作
核ミサイルを搭載した
(可能性を含む)
原子力潜水艦「やまと」を
中心に世界各国
とりわけ日米安保をテーマに
国防とはどうあるべきかを
問うた作風は大ヒット
連載中に湾岸戦争が勃発し
同盟国への日本の支援など
漫画の話ではなくなってしまったり
色々話題になった不朽の名作
自分は中学生の頃床屋でハマって
よく読んでました
つい最近なんとなくもう一度
読んでみましたが
あまりに野党の政治家が
有能すぎてファンタジーにしか
見えなかった(笑)けど
与党竹下政権が支持率3%でも
続行するほどの絶大な権力
持ってた時代だったんで
わからんでもないか
で今作
今更どうかなという
テーマに思ってましたが・・
いやこれが面白かった
2時間で終わるわけないのは
わかってましたが
潜水艦同士の戦闘シーンの
CGワークも上質だし
「キングダム」の王騎将軍で
不気味キャラがハマった
大沢たかおの海江田も
魅力たっぷりでした
海上自衛隊の
通常型潜水艦「やまなみ」が
ソ連の原潜と衝突し沈没
艦長海江田四郎以下76名は絶望視
というニュースから始まる冒頭
かつて海江田の艦に副官で仕えていた
深町洋は海江田がそんなヘマを
するはずがないと一人海江田達の
死を疑っていたがその予感は当たり
事故は海江田は日本政府が出資し
米軍が運用する最新鋭原子力潜水艦
「シーバット」計画の艦長に
就くための偽装であった
そしてシーバットは試験航海中に
音響魚雷を発射して姿をくらまし
追いかけてきたアメリカ第七艦隊
世界最高の軍事力に対し
独立国家「やまと」の建国を宣言
核兵器の搭載をちらつかせながら
最強国家アメリカらと対峙していく
海江田の真の目的は?
この漫画の連載から時がたち
「核兵器さえ持っていれば
世界最強国家もおいそれと
手を出せない」という事実については
実現してしまった小国が存在するように
なってしまいましたよね?
ソビエト連邦よりもう10年永らえ
最近核ミサイルにとどまらず
SLBM発射も可能な潜水艦の
開発もまことしやかに
囁かれている「あの国」
(イラクやリビアの軍事政権は
核兵器がないのがバレたら
即刻潰されましたよね?)
このへんのテーマに加え
日本がアメリカに依存した国防を
どのように今後とらえていくか
という点においてのテーマも並行
これも憲法改正議論といった形で
今でも選挙等のたび出てくるトピックス
非核三原則というタブー
日米安保などの関係などに
縛られない「やまと」の存在
ここも(多分やるであろう)
続編では色濃くなっていくでしょう
この映画は
原作に比べるとキャストの性別や
海江田と深町の関係は同期では
なくなっていたり少し変えられて
いますが別に気にならないレベル
艦内のセットもディティールが
よくできてたと思います
今年個人的に呉の海上自衛隊の
ミュージアム等に行ったんですが
潜水艦の中って軍事機密でほんと
見せてもらえないそうなので
どこまで本物かはわかりませんが
原子力潜水艦に対して
ディーゼル艦がちゃんと旧式に
見えるよう雰囲気づくり
されていて感心しました
潜水艦の中ってあんな
取っ組み合い出来るスペース
あると思えないくらい狭い
(呉行くと中入れます)
んですがちゃんと狭く見える
ライティングとか工夫が
凝ってるんですよね
トリムのたんびに画面がその方向に
傾斜したり細かいんですよね
こういう演出大事です
「水曜日が消えた」もなかなか
トリッキーな作品ながら面白かった
吉野耕平監督なかなかやりますね
オリジナルで入れられた部分も
全然悪くなかった
まあしいて言えば
深町って原作だともっとマッチョな
熱血漢イメージあったんで
玉木宏はクールすぎんかなと思う
とこはありました
鈴木亮平や内野聖陽的イメージ
だったんですけどね
まあでも別に問題ない
潜水艦ってこの漫画の
連載のころは原子力が最強って
言われてたんですが最近は
スピードよりも徹底した静穏性で
日本で開発したスターリング機関と
リチウムイオンバッテリーの
そうりゅう型が注目を集めている
とかも聞いたことがあります
どんどん進化していってるんですね
(空母いぶきでも出てきた)
続編はたぶんあると思いますが
おすすめできる完成度だったと
思います
Amazon関わると違うのかなぁ