「中途半端」沈黙の艦隊 ココヤシさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端
原作漫画の方は『モーニング』連載時に拾い読みしていた程度なので、ストーリーはほとんど記憶にない。それでも、この映画が原作の途中までしか映像化していないことは分かる。
海上自衛隊が撮影協力していたようで、潜水艦の映像は迫力があった。他方、第七艦隊の映像はCG丸出しでリアリティに欠けていた。
原子力潜水艦「シーバット」(独立国「やまと」)が核ミサイルを搭載しているかどうかが物語の肝だが、仮に搭載していたとして、どうやって入手したのかをまったく描いていなかった。これは致命的。
シーバット艦長・海江田四郎(大沢たかお)の家族だの恋人だのに触れないのは、それはそれで潔かったが、戦争根絶という大志を抱くに至った経緯は語ってほしかった。乗組員たちはそれまでの人生を投げうって海江田の理想に殉じるわけだから、この説明も欠かせないと思う。
あえてウェットな表現を避けてバトル描写に集中したのかといえば、シーバットは結局一度も実弾を発射せず、米潜水艦が自滅するだけなので、そちらもちょいと肩透かし(ここは原作通りなのかもしれないが)。
吉野耕平監督の『ハケンアニメ』は大変面白く観たが、本作はいろいろ中途半端な感じ。
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