ザ・キラーのレビュー・感想・評価
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お喋りな殺し屋
大半がモノローグでした。誰かと本当は話したいけれど、職業柄それは無理だ。だから架空の話し相手に延々と殺し屋の心構えを語り、それを自分への言い聞かせにしているのだろう。それともあまりの緊張と孤独とストイックな環境の中、少し変になってしまったんだろうか。それとも「殺し」を「映画作り」に置き換えてフィンチャー自身の思いと考えればいいんだろうか?
いずれにせよ、「即興はダメだ」を何回も言ってたから最後は即興してくれるかと期待してしまった。
笑えて共感できた2箇所!
1)パリではドイツ人のいでたちをする。目立たないしドイツ人は嫌われているから誰も話しかけて来ない。
2)「綿棒」みたいな女と言ってたな。ああ、あの女か!
一人称ハードボイルドの世界
めちゃめちゃヒリつく。主人公のモノローグといい、ルックといい一人称ハードボイルドの世界にどっぷり浸かれる。
マイケル・ファスベンダーの雰囲気は、殺し屋というよりもサイコキラー。主人公は、仕事を確実にコンプリートするために、自分にルールを定めている。
脈拍が安定した状態でしか、引き金を引かない。
計画通りに行う。
即興なことはしない。
相手に感情移入はしない。
などなど。
しかも、鉄則から逸脱して自分を危うくしないように、自分に言い聞かせながら行動する。
各地に隠れ家があって、そこには銃器、現金、偽造パスポートが準備されている。殺し屋が主人公のハードボイルド小説や映画でおなじみの設定ではあるが、一般人にしか見えないマイケル・ファスベンダーの風貌がリアリティを高めている。
あちこちで女を口説くなんて、危うい行動は全くしないし、お金はたんまりとあるのに飛行機はエコノミーで周囲に溶け込む徹底ぶり。
ストイックで寡黙なハードボイルドが大好きな自分にとっては、主人公になりきった気分でひりつく時間を堪能しちゃいました。脈拍を抑えるなんて無理でございます。
もはや潔癖症の域の慎重な殺し屋が、とある事件から歯車が狂っていく物...
もはや潔癖症の域の慎重な殺し屋が、とある事件から歯車が狂っていく物語
話自体はシンプルなので、主人公のキャラクターと独白を楽しむ作品
静謐なる暗殺者の物語
この暗殺者はドアを蹴破り、薬莢をばら撒いたりはしません。代わりに静かに淡々と仕事をこなす手馴れを見せてもらえます。イケてるオープニングから洗練された映像は流石のフィンチャー作品。予告編には★5つ。
妹が襲われて復讐をきめてからは貸し倉庫に並んだたくさんのナンバープ...
妹が襲われて復讐をきめてからは貸し倉庫に並んだたくさんのナンバープレートやパスポートとかオートロックが閉まるまでの数秒をカウントするのとか獰猛なピットブル寝落ちさせるとか殺し屋っぽいグッズや所作にワクワクしたけど
どう考えても最初の失敗しょぼすぎ、自分語り長めの冒頭の待ちの時間が壮大なフリになってしまってた
女王様の動きは読めなかった!
Netflix作品なので、特に映画館で鑑賞しないでも、という感じの理屈っぽいナレーションが全面流れる地味な映画でした。第80回ベネチア国際映画祭で、6分45秒ものスタンディングオベーションを受けたそうです。東京国際映画祭でも、終了すると皆さん拍手するし、映画祭出品作品は庶民には合いませんね!
いや、ダメだろ!?
想定外の事態に陥った暗殺者が抗い立て直す話。
仕事に臨む主人公が暗殺者の主張的な自分語りナレーションをタラタラ語るオープニングから、イヤ〜な予感はしたけれど、仕事もタラタラ悠長に構えて…コメディですか?
コメディにするならまだ良いけれど、予測しろだとか確実にだとか、出来ていないからこの結果だろうに、スカして語れば語るほど安っぽくみえるんですが…。
非暗殺者と痕跡残しちゃうレベルの暗殺者としか対峙せず、ザ・キラーじゃなくてザコキラーですか?
結局自分の尻を拭う訳でもなく、これでこの人にこれから仕事の依頼は来るんでしょうかね…。
ザ・スミスが好きならもっと加点できた
殺し屋を描く物語もだいぶ多様化してきた。アクションよりのものやコメディよりのもの、ゆるーい日常を描くもの。本作は、地味系独白タイプの殺し屋だ。
冒頭の殺しのシーンが意外と長い。しかもほとんどが待つ時間。退屈に耐えられない人は殺し屋映画を観てはいけないってことか。
でも、その後は彼女と自分の身を守るために、各国を飛び回るあたりから面白くなる。アクションというよりも、事前の準備で彼の殺し屋としてのスキルの高さを見せていくのが特徴的。どんなセキュリティの高いところでも難なく入れるんじゃないかと思えるくらいに彼のスキルは高かった。しかもあまり特別なことはしていないんだから怖い。
これ、グラフィックノベルを原作にしているだけあって、全体的にハードボイルドな雰囲気でシブい。だから、ものすごくテンションが上がるわけではないし、ドキドキ・ワクワクもあまりない。ただ、トレント・レズナーが手がける音楽はさすが。あの不協和音が醸し出す不穏な雰囲気はさすがの出来だった。そういう意味ではフィンチャーっぽい映画ではあるが、期待値が高かったのか個人的にはあまり心に響かなかった。メインに使われたのがスミスじゃなかったらもっと高い点数になっていたかもしれない。それくらいに殺し屋のあの実直な感じとスミスの曲は妙にマッチしていた。逆にスミス好きならたまらないんじゃないかと思う。
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