劇場公開日 2023年10月27日

ザ・キラーのレビュー・感想・評価

全129件中、101~120件目を表示

4.5ある殺し屋‼️

2023年11月2日
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鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

デヴィッド・フィンチャー監督が殺し屋が淡々と仕事をこなす様子をスタイリッシュに描いてくれた作品‼️名もなき殺し屋が仕事でミスしたことで同居の女性が襲われ、その襲撃に関わった人間たちを冷徹に仕留めていく‼️全体を6章に分け、その前後にプロローグとエピローグを配し、各章ごとに異なるターゲットを狙う殺し屋の姿が描かれています‼️主人公のマイケル・ファスベンダーがハマり役で好演‼️クールに無表情に仕事をこなす彼の姿は観る者を凍りつかせてくれますよね‼️そして殺し屋自身によるナレーションやモノローグによる物語の進行というのも斬新だし、抑えた色調の画面も作品の雰囲気作りに一役買っていると思います‼️そしてデヴィッド・フィンチャー監督にとっても「Mank」以来の作品ですので、「セブン」「ゾディアック」「ゴーンガール」に連なる、得意とする作風に戻ってきてくれて大変うれしいです‼️

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活動写真愛好家

3.5メンボーの女

2023年11月2日
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完璧主義の殺し屋(マイケル・ファスベンダー)が暗殺に失敗、雇い主から受けた報復への仕返しを殺し屋が実行していく、という非常に単純(シンプル)なストーリーだ。『ファイトクラブ』のようなオチを期待していた観客の皆さんは肩透かしを食らったように感じるだろうが、元々ストーリーテラーではない映像作家デヴィッド・フィンチャーの作風を知る者はほぼ納得の1本だ。

撮りたいシーンを撮るために何十回とテイクを重ねるフィンチャーは完璧主義の映画監督として知られているが、それゆえコスパが何よりも重視されているハリウッドで煙たがられているのも事実なのである。フィンチャーを崇める人々からすれば、拘りに拘った彼の撮ったスタイリッシュな映像を鑑賞することにこそ意義があったのだが、モノクロで撮った前作『Mank』(未見)あたりからどうもその作風にも変化が現れ始めているようなのである。

殺しを実行する前に「計画通りに動け。即興はやめろ。未来の動きを予測しろ。相手に感情移入はするな。報酬に見合った以上のことはするな....」と、自分(フィンチャー?)自身に呪文をかけるように自主ルールを心の中で繰り返す殺し屋だが、フィンチャー曰く、殺しを失敗して自らのゲシュタルトが崩壊していく様を本作で描いたそうなのである。私のようないい加減な輩が見ると、何て用意周到な殺しのプロなのだろうとつい感心してしまうのだが、不測の事態が起きて次々とルールを破っていくあたふたぶりが見所だという。

感情を全く表に出さないファスベンダーの鉄仮面ぶりが、内面の動揺をわかりにくくしているとフィンチャーが思ったのかどうかは分からないが、おそらくそれを補充する意味でザ・スミスの楽曲を(後付けで)劇伴に使ったのではないだろうか。孤独を愛しながら退屈するのが滅法苦手で、心の片隅では誰かと繋がりたいと願っている寂しがりや。映画館のJBLスピーカーから流れてきたブーストサウンドは、けっしてクリアではなく、むしろ音割れしてくぐもったような音に聴こえてきたのである。

ザ・スミスを劇伴に使った理由をフィンチャーはこう説明している。「“How Soon Is Now?”を使いたい自分がいて、特に不安を和らげるツールとして曲を使うというアイディアを気に入ったんだ.....瞑想の音楽として気に入ったんだよ。面白いと思ったんだ.....ザ・スミスほど皮肉とウィットが同居する音楽のライブラリーを抱えるアーティストはいないと思う。そして、この人物がどんな人なのか、あんまりよく分からないだろ。このミックステープを通して面白いと思ってもらって、彼への入り口となればと思う」

誰にも知られずにこっそり殺すことができたにも関わらず、わざわざ大衆の面前に姿を現して、屈折した自己顕示欲を誇示するがのごとく仕事を実行する殺し屋の姿には、その実力は万人に認められているものの、(完璧主義が災いして)配信専門の映画監督に落ち着きつつあるフィンチャーのどこか鬱屈した想いが反映されていたのではないだろうか。「殺ろう(大作を撮ろうと)と思えば、いつだって殺れる(撮れる)んだぜ」ってことを周囲(特にハリウッドメジャー)に知らしめておきたかったのではないだろうか。それは映画監督としての“自負”であり、ある意味“悟り”に近い想いだったのかもしれない。

When you say "it's gonna happen now"
When exactly do you mean?
See I've already waited too long
And all my hope is gone

You shut your mouth
How can you say I go about things the wrong way?
I am human and I need to be loved
Just like everybody else does

『How Soon Is Now? 』
The Smiths より

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かなり悪いオヤジ

3.5かっこいいねー

2023年11月2日
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出だしはカッコよくて、おっ!と思ったが、暗殺失敗までの独り言みたいな語り口に睡魔と戦うはめに。
失敗の後からが面白い。そして、この独り言が効いてきます。綿棒みたいな女との会話から、辞め時なんじゃない?と思ってみたり。

個人的には劇場で見る方が断然面白いと思う。
サスペンススリラー?とは思わないなぁ。

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Oyster Boy

3.0サスペンス映画ではありません

2023年11月2日
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謎の映画でした。
暗殺に失敗した男が関係者を次々に狙う、という内容のようですが、場面が代わる度に新しい人物が唐突に出てきては禅問答のような会話を交わしていきなり殺されたりします。
伏線や背景の説明が全くないので、どういう人物でどんな関係性なのか戸惑っているうちに次の場面に移ります。あとから明らかになる部分もありますが、最後まで謎のママで何とも消化不良です。
要するに物語としての流れが無視されているので当然ながらサスペンスもスリラーも感じることはできません。ただ唐突に場面が展開することがあるのでショッカーを感じると言えなくもありません。
更に、禅問答が長くてテンポが遅いですね。

妙に評価が高いようですが、まとまった物語を期待する人にはストレス過大は保証します。
一方、物語性を無視して映像として評価すれば、確かにこの監督独特の細かいカット割り、センスを感じさせるカメラワークが全編を支配しています。
一言で表現すれば物語としては破綻しているが、独特の映像センスを感じる作品、というところです。

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越後屋

3.5完璧主義からは程遠い

2023年11月2日
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楽しい

興奮

難しい

デヴィッド・フィンチャーの映画を観る上で最初に楽しみなのは期待を裏切らないオープニング映像で冒頭からテンションも上がりながら肝心の中身には裏切られてしまった感が拭えない、娯楽性を排除しながらも所々に雑な演出が見え隠れ、全編で流れる意表を突いたようなThe Smithsの楽曲群が心地良くも断片的で気持ち悪くなる感覚、家路に着いたら真っ先にフルで聴いてストレス解消!!

入念に用意周到な序盤、哲学のように語り始める主人公が物静かな雰囲気の中で言い訳じみた単におしゃべりな男にも、ソコで失敗する!?
まるで終盤の『ジャッカルの日』から始まる本作のようで?ジャームッシュの『リミッツ・オブ・コントロール』をフィンチャーが撮ったらこうなりました?的な??

暗殺者は名ばかりで依頼主不在の復讐による殺しが大雑把に、全ては自分の失敗が招いた、劇中でこなした仕事はゼロ、何をするにしろ器用でスムーズな展開に序盤の失敗が信じられない訳で、フィンチャーの作品群の中では一番シンプルで気の抜けた、後々にカルトな作品と受け止められるかも、しれない気もするが。

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万年 東一

4.0殺し屋の日々がリアル

2023年11月1日
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失敗も含めて殺し屋の日々がリアルでユニーク。
派手な場面はないが、淡々と緻密に描いてて面白かった。オチもいい。
フィンチャーは緊迫感ある場面を撮るのがうまい。単純なカットバックにも緊張感を漂わせるのはさすがだ。

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ドラゴンミズホ

4.0殺し屋のモノローグが大半を占める異色作

2023年10月31日
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デヴィッド・フィンチャーの新作は前作の『Mank マンク』 に続きNetflixから。

マイケル・ファスベンダーがプロの殺し屋を演じた。彼のモノローグが大半を占める異色の作品。

そう、出ずっぱりのファスベンダー‼︎
心情を語り続けるファスベンダー‼︎

彼のファンにはたまらん作品だろう。

特筆すべきは同業者を演じたティルダ・スウィントン。死を覚悟する潔さと未練の絶妙なブレンド。短い登場時間とはいえ強烈な印象を残した。

トレント・レズナー&アティカス・ロスの音楽、そして「Mank マンク」でオスカーを取ったエリック・メッサーシュミットの映像は圧倒的。

ただしフィンチャーの作品群に並べてみると一段落ちる気がする。世界を股にかけるも、主人公の目を通した閉塞した世界。自分的には面白みに欠けた。

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エロくそチキン2

3.0ハロウィンの日に観る

2023年10月31日
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最近あまり行かない映画館のサイトで見つけた今作。Netflixの劇場公開作品。ネトフリは登録した事ないけど、過去の劇場公開作良いものが多い。大画面良いよね。観ようかな?キラーといえば、今日はハロウィンだしマイケルやジェイソンしか思い浮かばない。

序盤向かいの部屋から誰かを狙っているが、主人公はナレーションベースで喋らない。主人公は「退屈は嫌い」的な事を言っていたと思うが、映画を観ている自分も、ほとんど変化の無い画面をずっと見せられて退屈。それもハラハラすればいいが、誰を狙っているのか分からないので、「プロなら早く撃て!」とイライラ。結局失敗。

殺し屋にモラルもないが、スマホや銃をそこらにポイポイ。素手で扱っていたのにまずいだろ。スマホのガラスだけ割れても中身どうなの? パリ警察はアホなのか? それでも主人公はプロなので偽造パスポートを沢山持っていて逃亡する。そしてロードムービーとなる。

でもターゲットを次から次へと倒すが、どうしてそこに辿り着いたのかよく分からない。殺された方もそれなりの殺される理由があったのだろうがよく分からない。

Amazonでキーの複製を難なく購入。本当のAmazonでこんな事出来るのか分からないけど、ネトフリ映画だからね。

主人公はあまり喋らない。ナレーションベース。黙々と敵を倒す。この作風を理解できたなら充分楽しめる。でも自分、この映画、元々がマイケル・マイヤーズだから😭

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imaxmax

2.0つぶやきヒットマンの憂鬱

2023年10月31日
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寝られる

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カールⅢ世

3.5洗練されているのか間抜けなのかがよく分からない

2023年10月31日
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tomato

4.0素晴らしかった

2023年10月31日
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楽しい

興奮

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吉泉知彦

3.0プロフェッショナル仕事の流儀(殺し屋編)

2023年10月30日
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「サスペンススリラー」と聞いて、多くの人が想像する内容とは違う。
ストーリー上の盛り上がり、クライマックス、主人公の葛藤らしきものはほとんどない。
そういう前提で見れば、殺し屋が淡々と仕事の準備をして、終わらせる姿は、新鮮で楽しめると思う。

本人語りのセリフを、別のナレーションに変えれば、「プロフェッショナル仕事の流儀」にも「情熱大陸」にもなりそうな映画。

ただ、序盤の退屈さだけは納得できない。
仕事に失敗する瞬間から始まっても良かったのでは?
ストーリーの始まりはそこなんだし。

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みっく

5.0ザ・キラー

2023年10月30日
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2023年間違いなくぶっちぎりのベスト映画。
スタンディングオベーションも全く疑わない。
フィンチャーは一体いつまでこんな映画に挑戦的な姿勢でいるのだろうか。いつも新しい表現を模索し、切り拓き、それでいて古典的で美しい。

フィンチャーの映画としてやはり大きいのは完璧で洗練され尽くしたカット割とカメラの動かし方だろう。徹底した人物追従主義。寄るところは寄って、引くところは引く。常に全体を見せて全知的な目線ながら、アングルと光を使って感情を見せていく。とんでもないぞ本当にこれは。今のこの地球上にここまで洗練された映像と人間ドラマを描ける監督がいるだろうか。最近の流行りの監督兼脚本のような監督たちにはできない芸当だろう。

さらによかったのは終わり方。しっかりしたオチや感動物語を押し付けるようなものではなく、やはりお客さんに考えさせるような、提示だけをする清々しさ。そこに作為は全く見えない。だからかフィンチャーの映画はどんなにあり得ないテーマでものめり込める。

・『生の感情』はあったか
感情の分かりやすい爆発というと少なかったように感じた。しかし、表情が陰で曇っている分、どんな感情なのか、何を考えているのか考察しようとする感覚が生まれていた。

・『緊張感』はあったか
この映画はほとんどのシーンをこれに費やしていると言っても過言ではないだろう。完璧なサスペンス。常に緊張感に追われ、最後のエンディングまで緊張感は続く。

・『謎』があったか
主人公が狙う人物や、どこにどの人物がいるのか、すべて主人公しか知らない。それを順を追うごとに明かされていく。きっとフィンチャーの映画にどんでん返しや伏線回収を求めている人たちは落胆したんだろう。そんなクールじゃないもの、この映画にいらない。フィンチャーの映画の肝はそこではなく、社会的に悪い立場の人間が日の目を見ようと努力する人間ドラマなのだ。そこをわかっていない人たちが批判するのはわかるが、実はちゃんとエンタメとして楽しんでいる自分がいることを知っているだろう。

総じて、フィンチャーの映画を劇場で生きているうちに見れていることだけをとってもこの命を授かった価値があるというものだ。
こんな映画が作りたいなぁ。僕も頑張ろう。

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tyshi

4.0職業に貴賎はない

2023年10月30日
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この理念を貫き通したお仕事映画。
ちょっとした仕事上のミスを延々なじる上司にうんざりした主人公、彼独自の誠意ある対応で関係者各位に挨拶回りする話です。殺し屋でなくとも、セールスマンや料理人とかにも照応できそうなのがミソ。

果たして意識しているのかいないのか、自分にはどうしても主人公がフィンチャーをモデルにした完璧主義者にしか見えなくて困りました。そうすると終盤に出てくる依頼主はNetflix?こういう雑な見立ては作品を矮小化してつまらなくしてしまう大変駄目な見方です。しかしファスベンダーのモノローグは、フィンチャーが(自宅で奥さん相手とかに)いかにも喋っていそうな、奇妙なリアリティを感じたりもしました。

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ぶたぶた

5.0なんだろう、高級版ジョン・ウィックみたいな感じね。原作読みたいけど...

2023年10月29日
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なんだろう、高級版ジョン・ウィックみたいな感じね。原作読みたいけど、原作は薄っぺらいという噂も…。

それにしても「待つ」のは大変だ。

ティルダねえさんはシルエットだけですぐ分かるな。

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まるぼに

4.0【今作は、自分自身を様々なルールで律しながら、”THE SMITHS”の数々の名曲を聞きながら冷酷に仕事をこなす殺人者の姿を、ヒリつく緊張感を漂わせながら、スタイリッシュに描いた作品である。】

2023年10月29日
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悲しい

興奮

幸せ

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NOBU

1.5それを言ったら見も蓋もない

2023年10月29日
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最初にマイケル・ファスベンダーが暗殺を失敗しなければ良かったのに。
逆恨みのようで応援は出来なかった。

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ムーラン

4.0ミニマル

2023年10月29日
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なんともミニマルな物語。
暗殺に失敗する顛末から、逃亡、復讐まで丁寧に描写する。失敗した人の哲学を聞かされてどうするのかとは思うが…
いろいろな名前でいろいろな場所にいると、アイデンティティが揺らいでくる感じがする。それが狙いなのかもしれないが。
フィンチャー作品のご多分に漏れず画面が暗いので、やはり配信よりは劇場向き。

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ぱんちょ

4.5一般人がキラーになれてしまう現代社会への風刺?

2023年10月29日
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怖い

難しい

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Flat

4.5暗殺者とシンクロする二時間。

2023年10月28日
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怖い

興奮

知的

原作はグラフィックノベルということで、本作の質をここまで高めたのは「セブン」の脚本家のなせる業か。
現実に存在するかもしれないプロの暗殺者の心理を作家的感性で想像を膨らませ、ここまでリアリティを感じさせるまでに重厚な筆致で描いた手腕はお見事。

全編暗殺者の主人公の一人称で語られる本作は、いつしか観るものが知らず知らずにこの暗殺者の心理と同化していくような錯覚を覚えるほどのリアリティーを感じさせてくれる。

主人公の暗殺者は知性的で几帳面、合理的思考の持ち主、そして健康志向でもある。その知識は無辺世界、ディラン・トマスといった仏教用語からウエールズの詩人まで、またあらゆる統計的知識と多岐にわたっている。かつては法律も学んでいたという。それらの知識すべてが彼の仕事のためだけにある。すべては目的を達成するためだけに。

それらの教養やあらゆる暗殺スキル、加えて目的達成のために最も欠かせないもの、それは自身の感情のコントロール。
計画を重視し、即興は避ける。対価に見合う戦いのみを行う。誰も信じるな。感情移入はしてはいけない、それは弱さにつながる。彼は仕事を行う際には頭の中でそれらを何度も反芻する。完璧に仕事をこなすためには自身のマインドコントロールが不可欠だからだ。
たとえ熟練の暗殺者であろうとも人間である限り感情が邪魔をすることがある。仲介人の弁護士の秘書、同業の女性を手にかけるとき、情に流されまいと彼は感情移入を強く拒絶する。それこそが彼の持つ人間らしさでもある。
冷徹で完璧を目指していながら、偽装ナンバープレートを無造作にごみ箱に捨ててしまう。冷徹な暗殺者でありながら人間的弱さもやはり併せ持つ、そんな彼に感情移入してしまっている自分がいた。

暗殺に失敗したがために、クライアントに命を狙われることとなってしまった主人公。彼は仲介人や同業者たちを片付け、クライアントのもとにたやすく近づけることを証明し、暗殺者としての株を上げた。これでしばらくは自分を殺そうという考えにはならないだろう。さらに一目置かれることとなった主人公は一時の安心を手に入れたのであった。

Amazonでのスマートキー購入、スマホによる地図検索、スマートウォッチによる心拍測定、たまりまくりのマイル等々、細かなディテールにこだわって想像で描かれた暗殺者の生態、それはいまのこの社会に本当に存在しているのではないかと思わせるほど我々鑑賞者に真に迫ってきた。

フィンチャー、ファスベンダーがコンビを組んだ新作と聞いて期待大で鑑賞に臨んだが期待以上の出来で大満足。
最近のアクションだけに特化した中身のない殺し屋ものには辟易していたのでこういう作品は大歓迎。

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レント