「Missing(s)」search #サーチ2 ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)
Missing(s)
原題は〔Missing〕。
ただこのタイトルでは自分の知る限り
1982年と2003年の映画があり、
特に前者は「アカデミー賞」受賞作。
それと重ねることはせず、
〔search/サーチ(2018年)〕のシリーズと
敢えて見せたのは、ある意味慧眼。
しかしエンドロールを漫然と視ていて、
思わず(心の中で)ああっつ!と声を上げる。
これは実は単数ではなく、複数形の内容なのだと
改めて気づく。
要は「Missing(s)」が正なのだ。
それに象徴されるように
本作は細かいところまで神経が行き届いた脚本となっている。
もう十八歳にもなる娘の
日々の行動に事細かに干渉するのは何故なのか。
23時との門限を設け、
居場所を逐次報告するよう強制するのは何故なのか。
いくら母娘だけの暮らしとは言え、
彼の国でそこまでするかとの、
とは言え、さらっと見過ごしてしまうエピソードが
後々重要な意味を放ち出す。
今回行方不明になるのは件の母親。
十数年前に夫と死別し、しかし新しい恋人ができ、
その婚前旅行に行った先で突如の失踪。
空港に迎えに行った娘は、
待てど暮らせど戻らぬ母を心配し、
Netの力を借りて捜索に乗り出す。
ここに登場するアプリの数々は
アメリカンでありティーンである彼女には使い慣れたツールも
異国のしかもおぢさんにとってはあまりに縁遠いモノ。
目を白黒させているうちに、それが既知の前提で
とんとんとストーリーが進行するのは少々困りもの。
もっとも、111分とやや短めの尺の上に
スピード感が身上の作品のため、
致し方無い側面はあるのだが。
その過程で浮かび上がるのは、
母親の恋人の思いがけぬ素性や、
家の顧問弁護士の非協力的な態度。
誰もが信用できなくなった果てに、
その母親についても娘が知らぬ事実が暴かれる。
もっともこのタイミングで、
ははん、あれかな、と
事件の遠因についての見当は着いてしまう恨みはあり。
官憲の反応も鈍く、
興味本位のマスコミは家の周囲を固める。
そんな中、ふとした思い付きが真相に繋がる鍵となる過程の仕組みも
良く出来ている。
ごろごろと転がり出る死体に驚き、
事件の成り行きに一喜一憂しつつ、
やはりアメリカらしい捜査のやり方や
メディアの反応には
苦笑を禁じ得ない。
パソコンやスマホの画面だけで完結することがウリの本作。
スクリーン上のアスペック比は随時変わるのが
イマっぽい。
とは言えそれを度外視しても、
サスペンス映画として
かなり練られた構成の一本と評価。