「売れたら売れたでそれを持続するのは苦しい。酸素のない金魚鉢みたいなもの」GOLDFISH カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
売れたら売れたでそれを持続するのは苦しい。酸素のない金魚鉢みたいなもの
渋川清彦目当てで鑑賞。
銃徒と書いてガンズと読ませる。
渋川清彦は得意のドラムではなくて、モヒカン頭のボーカルのアニマル役だった。ムードメーカーで唯一パンクしていた。
怒髪天のボーカルの増子が出てるのにベース役。怒髪天はパンクじゃないし。彼らの演奏シーンはほぼほぼ無し。
若い頃から一緒のメンバーが死ぬのはつらい。
やる気がなくなる。
仲が良ければなおさら。
しかし、ギターふたりの5ピースバンドでギターのイチとハルのふたりの間には長年わだかまりがあって、ハルはイチに対する劣等感に苦しんで、自暴自棄になりがち。
30年も音楽から遠ざかっているメンバーがほとんどでの再結成は普通はない。継続こそが力なりだからだ。
アニマルが軽トラを運転中に助手席の女にフェ○させて事故を起こして、税務署に差し押さえられる状況で、再結成をイチ(永瀬正敏)に持ちかけると言う話の始まりだった。
再結成に際してインタビューする男の役がうじきつよし(子供バンド)。うじきつよしはタレント慣れしていて、堂々としているのに対し、オドオドしたアル中の元・ギタリストのハル役の北村有紀哉の演技の対比はなかなか凄かった。辛すぎる。
アリースター誕生のブラッドリークーパーのような泥酔お漏らし状態。
こりゃ、アカン。
57歳でなくなったハル(マリ)にまとわりつく死神/悪魔(バックドアマン)を出してきて、27歳で死んだロバートジョンソンのCROSSROADSに繋げるのはいささか強引。
同居する公務員のハル彼女役はSHOYAの寺田恵子かと思ったら、有森也実だった。
レコード会社の担当は庄野真代かと思ったら、山村美智だった。
個体識別能の低下がますますヒドくなっている😫
イチの娘役の成海花音はサッカーの奥大介の娘。
まちゃまちゃを久しぶりに見た。
GOLDFISHという題は金魚のようだ。ハルの通夜でイチが金魚は所詮鮒から作られた奇形なんだと言って、ハルのことを揶揄したと感じた仲間と揉めるシーンで骨壺の遺骨が畳にばら蒔かれる。イチが遺骨の破片を指で粉にして、金魚鉢にパラパラと入れ、遺骨をパクパク食べる金魚にバーカというシーンはとてもせつない。コンテストで優勝していきなり売れっ子になった埼玉県和光市の不良仲間のバンド、アナーキーのリーダーは業界のオトナたちに利用されただけだったと本気で恨み節?売れたら売れたで、それを持続するのは苦しい。酸素のない金魚鉢みたいなもの。音楽はアマチュアのほうがよっぽど気が楽。そういう人生を楽しんで、生き生きしている人を見てると楽しいけれども、一度スポットライトを浴びるとつらいだけなのかもしれません。
個人的にはロリータ18号のマサヨとドラムのアヤ坊が好き・・・だった。