劇場公開日 2023年10月6日

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「嘘の旋律と心地よい温度」アンダーカレント makotoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0嘘の旋律と心地よい温度

2025年8月15日
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鑑賞方法:VOD

知的

家業の銭湯を継ぎ、夫の悟と順風満帆な生活を送っていたかなえ。
ところがある日突然、悟が失踪。
銭湯を何とか再開して奮闘してる最中、謎の男の堀が現れる。
銭湯を住み込みで働きたいと志願する。
そしてかなえは、友人から紹介された探偵に悟の捜索を依頼する。

銭湯のお湯と不幸な事件の川の水。
多幸感を感じる銭湯。
夫の失踪、謎の男、怪しい探偵。
困難な人生でも、銭湯のお湯は温かく、かなえの気持ちの支えである。
しかし、かなえの根底に流れているのは、
冷たい忌まわしい川の水。
封印していた記憶が、近所の子供の誘拐事件により呼び起こしてしまう。
嘘と心地よいの良い温度差が人を窮屈にして、優しさのすれ違いを描く。
純文学をエンターテイメントに昇華して、嘘に翻弄された話しなのに、喜怒哀楽がない。
真木よう子のお湯、井浦新の水、リリーフランキーがぬるい湯。
ぬるい湯は適温。
人の気持ちの移ろい易さと嘘を寛容する。
三位一体の上手く表現された作品であった。

makoto