「みんなほんとうのことより心地良いウソのほうが好きなんだ」アンダーカレント ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなほんとうのことより心地良いウソのほうが好きなんだ
どんなに近しい関係でも、マコトとウソは背中合わせ。
愛と憎しみに背中合わせがあるように。
「みんなほんとうのことより心地良いウソのほうが好きなんだ」
夫婦で営んでいた銭湯の現場から失踪した、夫の言葉が意味深だ。
自分を偽ることで日常をやり過ごす。
そのほうが上手くいく。ばれなければいい。
ばれた時は、その場を去る時。
夫のウソが、忌まわしい過去を隠してきた妻の感情をざわつかせる。
私も実はウソつきだったと。
夫がいなくなった後に銭湯で働き始めた謎の男。
妻の友人の紹介で夫の行方を調査する一風変わった探偵。
マコトとウソの間を流離うふたりのキャラが、ミステリアスな映像を際立たせる。
ほんとうのことを言えばいいのか。
嘘を突き通せばいいのか。
今泉監督は、答がないまま、僕らに突きつけてくる。
「人は誰かに頼って迷惑を掛けて生きていくもの」
タバコ屋の主人の言葉が、唯一おとしどころを探ってくれるようで、一瞬ほっとする。
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