「演技、美術、映像のどれもが深く美しい」演者 Tomokoさんの映画レビュー(感想・評価)
演技、美術、映像のどれもが深く美しい
スチールと予告の映像がとにかく美しく、気になって週末見ようとチェックしたら…その日で上演終了と知って、仕事をやりくりして夜いきなり鑑賞(新宿に住んでいて良かった…)。
頑張って観に行ったかいのある映画だと思う。わずかな仕草、日本家屋、田舎のあぜ道といった映像の一つひとつに、戦時下の日本の張り詰めた空気が伝わってくる。若松孝二監督の『キャタピラー」で感じた、全身を覆い尽くすようなあの時代の田舎の旧家の閉塞感が蘇った。
次男の嫁がただ和服で歩いている一枚のスチール、映像だけで、この時代に矜持を持って生きた女性を感じる。それを凌駕する長男の嫁の威厳ある姿と、それが失われ素の魂となって存在する姿の行き来が、緊張感のある芝居と美術によって目が離せないシーンとなっている。
もっと長く上映されていいと思う作品。
コメントする