「丁寧にだしを取って作ったみそ汁のような、心に沁みる映画でした。」オットーという男 のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
丁寧にだしを取って作ったみそ汁のような、心に沁みる映画でした。
出だしは、正論ふりかざして周り無視の、超イタイ主人公じゃんと思った。
ホームセンターでロープを買ったのも、首つり自殺のためかい!とビックリ。
その後も、手を変え品を変え色々なやり方で何度も自殺を試みるし。
そんななか、お向かいに、明るく超フレンドリーな若いファミリーが越してくる。
こんなにグイグイ来る?というくらい厚かましくオットーに頼ってくるお向かいさん。
気が付けば、まるで親せきのように行き来するようになっていく。
オットーの表情も、言葉も、どんどん柔らかく変化する。
人と人は、分かり合えないけれど、互いに尊重し、助け合うことはできる。
ひとりで頑張っていくのもアリだけど、家族でなくても他人と心を通わせて生きていくのもいいなあと思った。
後半は、私自身がオットーの人生を伴走している気分だった。
派手なアクションも、仕掛けもない。
けれど、静かに熱い涙が流れる、上質な映画だった。
ハリウッド映画もいいなと心から思えた作品。
終映に間に合って、映画館で観ることができてよかったです。
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