「個々個々配慮のない部分が多いかなぁ…。」聖なる復讐者 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
個々個々配慮のない部分が多いかなぁ…。
今年152本目(合計803本目/今月(2023年5月度)9本目)。
大阪市で韓国映画といえばシネマート、ということでこちらの作品です。
結局一言でいうと(二言になってしまうけど…)「字幕の配慮のなさ」と「映画の述べる主義主張が何かがわかりにくい」という部分に大半尽きます。この映画、映画の俳優さんのポスターが当選する回だったのですが(座席番号が当選番号という扱い)、途中で抜ける方やエンディングロールに入るとゾロゾロ抜けていくのが印象的でした。
結局のところ、映画の述べる主義主張という観点では、韓国映画は何らか考えさせるタイプの映画(フランス映画に近いテイスト)か、アクションなり恋愛なり「ストーリーがわかりやすいタイプ」のどちらかに偏るところが多いですが、どちらに取るにも結局かなりブレが生じます。「アクション映画」と取るのは難しいし(そういうシーンもある)、一方で「私刑(=公権力に頼らず、被害者が加害者に対して直接制裁を加えること。秩序が乱れるので日本も含めて多くの法的先進国では禁止)の扱い」というのも無理があるし、あるいは、いわゆる「きょうだい児」(兄弟姉妹に障がい者(身体・知的・精神)がいる場合の健常者の就職・結婚などの論点。日本では問題にする方もいるが、遺伝性等でない限り当該健常者にはあまり差別意識は持たれない)の論点か、さらには「知的障害(字幕上は「発達障害」ですが、描写的には知的障害と見るのが妥当)の子の、地方の福祉行政の在り方」と取るか、いずれの解釈も可能で、論点がクロスして複数の論点があるように思えます。
そのいずれの立場にたったとしても(なお、シネマートでは過去に、(韓国の)知的障害者の福祉の在り方、が明確にテーマとして設定された映画が放映されたことがある)、それ「単独」では問題提起が不十分で、おそらく複数の論点があるか、あるいは「論点の描写が足りない」かのいずれかと思います(日韓ともに隣国なので文化は似るし、かなりの部分で推測がききますが、いずれにせよ何ともとれる)。
さらにこれらに輪をかけて混乱させるのは「字幕の抜け、コンマ秒で出てくる謎の字幕」(この映画、字幕のチェックが足りていない?)等であり、かなり厳しい印象です。
採点に関しては下記の通りで4.2を4.0まで切り下げています。
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(減点0.4/字幕が途中で抜ける)
・ エンディングロール直前の5分ほどの、いわば「その後の描写」といえる部分ですが、「とある施設」から出てくる「1●●」(●の部分はハングル/おそらく「1年後」だと思います)が何も字幕がないかと思えば、そのあとに出てくる「その後の登場人物が歩んだであろう道のり」の部分も「コンマ秒で消える字幕がある」(何が出ていたのかは不明だが、出てくることは出てくる。コマ送りにしないと見えない?)など、字幕の配慮のなさがすごく、下記に述べる「映画の主義主張がわかりにくい」点もあいまって、かなりここが厳しいです。
(減点0.4/映画の述べる主義主張が多様に取れすぎてしまう)
・ 結局、アクション映画とみる立場と、知的障害(広くとれば、3障害)児の福祉の在り方、という二つの論点、さらにその折衷的な見方などいろいろあると思いますが、いずれの解釈も可能で、それを織り交ぜたため、結局何を述べたいかがはっきりとしない部分もあります(この点も、ある程度はフランス映画的に余韻を残したかった、ともいえるが、上記の字幕不足もあいまって、さらによくわからない)。
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