「もう少し丁寧に描いてくれれば…」狎鴎亭(アックジョン)スターダム おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し丁寧に描いてくれれば…
お目当ての「シティーハンター 天使の涙」の前に時間があったので、本作をチョイスして鑑賞してきました。期待以上とは言いませんが、そこそこおもしろかったです。
ストーリーは、何をしているかわからないが何故か人脈だけはあるカン・テデクが、腕は立つが策略にはめられて医師免許と病院長の座を失った美容外科医パク・ジウと組んで、あの手この手で周囲をうまく巻き込み、美容整形ビジネスで大成功を収めるも、仲間の裏切りによって暗雲が立ち込めていく様子をコミカルに描くというもの。
マ・ドンソク主演のコメディということで、冒頭からなかなか強烈なキャラで楽しませてくれます。見た目といい、話す内容といい、胡散臭さ全開のテグクが笑わせてくれます。と同時に、中身のないテデクの生き方が、物語の行く末を暗示するかのようです。そんなテデクが、強メンタルと口先と悪知恵で、あっという間にジウを取り込み、ビジネスを立ち上げ、成功の階段を駆け上っていきます。そこに不穏要素をきっちり盛り込み、伏線としているのは悪くないです。
ただ、物事がうまく運びすぎて、ちょっと都合よすぎに見えます。とにかく序盤から登場人物が多すぎてついていけず、そのためテデクの策略がわかりにくくなってしまったのは残念です。終わってみれば、序盤で登場したのが主要キャラのほとんどで、それほどの人数ではなかったことがわかります。それなら、もっと小出しに登場させ、人物相関ももう少し丁寧に描いてほしかったです。加えて、過去の因縁なんかも盛り込んでくれれば、終盤での行動理由につながり、作品に奥行きが出たように思います。そんな感じで、全体的にテンポがいいと言えば聞こえがいいですが、展開がやや雑な気がしました。
とはいえ、コミカルなシーンや演出を加えながら、気楽に観られる作品に仕上がっているとは思います。マブリーの新たな一面を楽しませてもらいました。もっとも、彼の強烈なメガトンパンチは、できればもっとたくさん観たかったですが…。
主演はマ・ドンソクで、小悪党だが憎めないテデク役で新たな魅力を発揮しています。共演はチョン・ギョンホで、人生の浮き沈みに翻弄されるジウを好演しています。脇を固めるのは、オ・ナラ、オ・ヨンソ、チェ・ビョンモら。