「ベッドで寝られない理由(わけ)」シモーヌ フランスに最も愛された政治家 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ベッドで寝られない理由(わけ)
フランスで最も愛された女性政治家の話で幸せな映画だと思って観ました。
冒頭、フランスでは1920年に堕胎禁止法が制定されて以来、長い間違法で危険な闇の堕胎が問題に。あっこの前観たなぁ。ヴェネチアで金獅子賞を取った映画「あのこと」
1975年にこのシモーヌ・ヴェイユさんが、厚生大臣時代に男性議員たちの反対を押しきって人工妊娠中絶を認める改正法案を通したのね。
ところが、どっこいでした。
フランスのユダヤ人が主人公の映画だと最近観たのは鬼才ポランスキー監督のドリュフス事件の映画「オフィサーアンドスパイ」。でもこれは19世紀の話しですからね。
ナチスに逆らえず、自国のユダヤ人を差し出したことは自由と民主主義の国フランスの恥、汚点なのでしょう。
1970年にシモーヌの息子がヒッピームーブメントのなか、イスラエルでハーレム状態。お母さんも来ちゃえばとガールフレンドたちに言われて、心も体もわたしはフランス人だと言う場面は本当にたいした人だと思いました。
アウシュヴィッツが絡んで来るとは思わないで観たのです。
薄いブルーの縦縞の服を着た見張り係(看守)の特別な計らいで終戦を迎えられた訳ですが、ロマの話しも出てくるし、ケイト・ウインスレットの「愛を読む人」もとてもリアルに思い出すことになりました。
この人、政治家ではなく、民間人として登用された厚生大臣で、元々はフランスで女性初?の法務省の監察官なんですね。EU初の女性議長。
最後のメッセージ。
自由主義、民主主義自体は脆弱なもの。多様性に内在する危険性についても。やっぱり、大きくて強い母性は大切な指針となるということですかね。
4人の息子たちに抱きつかれるシーンでは旦那さんは文句言ってるだけで完全にアウェーでした。
まったくの余談ですが、シルヴィー・テステュー(おばさんになってからの姉役)がちょっと滝藤賢一に見えてしまいました。ひみつのなっちゃんのせいですね。この映画、エルザ・ジルベルスタインの激太りもすごいですけど、特殊メイクに近いメイクアップや若い役者さんのダイエットなんかもなかなかすごいと思いました。