「アクションのインフレよりも、ドラマ重視、というかシリーズファンに対する配慮に満ちた一作」ワイルド・スピード ファイヤーブースト yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションのインフレよりも、ドラマ重視、というかシリーズファンに対する配慮に満ちた一作
カーアクションを目玉にしていたはずなのに、原子力潜水艦と戦ったり、宇宙空間まで戦場にしたりと、派手さと荒唐無稽さが無制限に拡大していたこのシリーズ、本作は一体どうなってしまうんだろう…、と思っていたら、冒頭はドミニク(ヴィン・ディーゼル)らが集ったホームパーティーから始まり、彼らの(擬似)家族的なつながりが強調されます。ここから意外な人物の予想外の姿での登場で、やっぱりど派手な騒動に発展していくのですが、この序盤の描写が物語るように、本作は新たなアクションの地平を拓く、というよりも、シリーズを支えてきたキャラクター達にもう一度活躍の場を与えたり、あるいはこれまで抱えてきた屈託や葛藤をもう一度再確認して、ドラマとしての総仕上げの地ならしを行うことに重点を置いています。
そのためもちろん、作中登場する人物や要素を理解しようと思ったら本シリーズを一通り押さえている必要があり、その意味で本作は、ここまで(数え方にもよるけど、本編だけで10作!)シリーズを応援し続けてきたファン達に対する配慮に満ち溢れた作品となっています。
とはいえもちろん、本作がシリーズ初見だったり、過去作の記憶がおぼろげになった観客も、約140分決して退屈させないような見所が満載なので、「シリーズ観てないけど、どうしよう…」と思っている方には、劇場で観るからこそ活きてくる場面が多いですよ、と鑑賞を是非オススメしたいです。
どんどん大風呂敷を広げた末の結末にはちょっと驚きつつ、副題の「ブースト」って、そういう意味だったの!?とようやく理解した次第!
コメントする