「「激しい『喜び』はいらない… それでいて深い『絶望』もない」って感じの映画」岸辺露伴 ルーヴルへ行く 焼肉定食さんの映画レビュー(感想・評価)
「激しい『喜び』はいらない… それでいて深い『絶望』もない」って感じの映画
吉良氏の名言から引用。
荒木飛呂彦先生の人気漫画、「ジョジョの奇妙な冒険」第4部のキャラクター「岸部露伴」にスポットをあてたスピンオフ作品「岸部露伴は動かない」の実写映画。公開初日に鑑賞。
私はというと原作を読んだのは1、2部くらいで、アニメで1~5部を視聴済み。といったファンと公言するには憚られる、割と軽めのファンである。
大分前から実写ドラマ化していて、当時、露伴役を高橋一生氏が演じると知り、「あぁ、雰囲気あってるかも」と思ったくらいで、「岸部露伴は動かない」シリーズはアニメ・ドラマともに未視聴。せいぜい本誌に掲載されていた原作を読んだ程度である(本作は未読)。
岸部露伴が主人公となり、己が関わる奇妙な事件を、時には自身のスタンド「ヘブンズ・ドアー」(相手を本にし、その記憶等を読み取る。本に書き加えることで行動を促したりすることも可、な特殊能力)を用いて解決する「奇妙な冒険」という名前通りの作品。
今作は若年の頃に惹かれた女性のことを思い出し、女性に関わる「黒い絵」を求めてフランス、ルーブル美術館に赴き、巻き起こる謎の真相を解き明かす、っていうのがざっくりとしたストーリー。
個人的な感想としては、表題の通り、「可もなく不可もなく」って感じの作品だった。
絵の不思議に迫っていくが、「ミステリー」や「サスペンス」って訳でもなく、とはいえ原作のようなスタンドバトル(アクション)がある訳でもない。「動かない」シリーズは原作を読んだ感じだと、露伴が不思議な出来事に巻き込まれ、それを紐解いていくのが面白かった記憶があるが、本作ではその紐解きにあまり驚きや興奮、意外性はなかった。
私が悪い意味で気になったのは、スタンドを出さない(CGなどで表現しない)のは全然良いのだが、ヘブンズ・ドアーの能力で顔が本になる演出や、終盤に幻覚(自身の過去や罪)を見てそれぞれがおかしくなっていく様は、かなりシュール過ぎて個人的にはう~ん・・・というところ。
良かった点としては、高橋一生氏の露伴役の演技はイメージ通りに感じた。ジョジョはファッション等含めて個性的なキャラクターが多いが、実写、特に現実で表現してもあまり違和感を覚えなかった。
個人的に一番良かったのは、映画の最後、露伴邸にて編集者の女性が若き日の露伴が書いた女性の絵を見て「何も言わなかった」ところ。何か・・・良かったです。
余談であるが、少し辛口なレビューになってしまったが、本作を見て改めて「岸部露伴は動かない」シリーズに興味が湧いた。アニメ・ドラマはサブスク等で配信されている(される)みたいなので、視聴してみようと思う。気になる方は是非。