「血縁」岸辺露伴 ルーヴルへ行く ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
血縁
ドラマ8話分を予習して鑑賞。ドラマを見てから原作を読みましたが、高橋一生さんの再現度が凄まじすぎます。吐息の数といい、喋りのテンポといい、立ち振る舞いといい…。今作でもその再現度は実在していました。
今作をジャンル分けするとしたらオカルトホラーに該当すると思っています。各描写に所々悍ましい描写が挿入されていますし、ヘヴンズ・ドアも中々に奇怪な能力、幻覚だったりも登場するので、ドラマ版と変わらない不気味さが堪能できます。
黒い絵の秘密を探ってルーヴルへ向かい、その疑問を根底から解決するミステリーものとしての面白さも兼ね備えています。
最初のオークションのシーンから付き纏ってくる男性2人組、絵は奪われるも道中で再発見。外人の書いたオリジナルのはずが、実は複製で本当は日本人が描いたものという事実が発覚。その過程から真実を見つけるためにルーヴルへという道のりが展開されます。ここまでの気の抜けたシーンはクスッと笑えますし、おどろおどろしいシーンはおぉ…と口を開けてしまう小さな衝撃がありました。
一つの絵が原因で、その人の血の繋がりから戦争の記憶や大切な人を亡くした記憶、過ちが正される様子や過去の取りこぼしなど、誰もが経験したことのある苦い経験がフラッシュバックして現代の自分の身に跳ね返ってくるという幻覚が現実になる恐ろしいシーンもしっかりと映画に収められていました。
木村文乃さんのナナセがとても色っぽいです。大人の風格というものを子供露伴に見せつけてからの、大人露伴に見せる黒の似合う女性の美しさがそこには存在していました。今作のテーマの一つの「黒い絵」にマッチしているなと思いました。
なんやかんや泉くんが振り回されながらも、巻き込まれずに済みつつ、邪悪な絵の耐性もあるので、泉くんは今作の最強格と言っても差し支えありません。真実に早く辿り着きますし、あっけらかんとしているのでなんだか微笑ましかったです。
ドラマでやっていたものをいざ映画の尺でやってみるとなると、どうしてもテンポの悪さが目立ってしまったのは残念でした。
ぶつ切りのように終わるシーンはまだしも、ルーヴルから帰ってきてからの回想がちと長いかなーと思いました。ルーヴルでの謎解明でスパって終わってもよかったのになとモヤモヤしながら観ていました。
露伴の血の繋がりの話を最後に持ってきたかったのは分かるんですが、そこまでのシーンがお膳立てだったのかなと思うとなんだかもったいない気がしました。
ルーヴルが舞台のシーンの尺が思っていたより短かったので消化不良感が否めず、ドラマの尺で見る分には最高な作品、映画だと少しノイズが走ってしまいますが、それでも完成度は高いですし、高橋さんの憑依力や小物の再現度はとても高く見応えのあるものになっていました。またドラマで見ていきたいなと思うシリーズです。
鑑賞日 5/26
鑑賞時間 9:30〜11:40
座席 G-17