「おとなと子どもが一緒に読みたい童話」丘の上の本屋さん グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
おとなと子どもが一緒に読みたい童話
古本屋さんに流れる時間は、とてもゆったりとしています。
新刊本やベストセラー、売れ筋の話題本などをところ狭しと並べた大手書店も好きですが(実際、毎週のように徘徊してます)、この独特の時間感覚だけは、真似ができません。
当たり前と言えば当たり前。一定の時間、一定の本好きに手に取られ、或いは思いもよらぬルートで時間をかけてそこに辿り着いてきたのですから。
その書物の生命力の源が、本自体の魅力であることもあれば、歴代の読み手と店主の偶然の巡り合わせのこともあるわけです。それらの出会いとたくさんの人の思いが、狭い古書店の中に時間とともに詰まっているのです。
『ピノッキオ』もエシエンの手に取られて、幸せだったと思います。
書物にとっての不幸といえば、ナチスの焚書が思い起こされますが、日本でも明治初期の廃仏毀釈運動では、相当数の教典などが、燃やされたのかもしれません(廃仏毀釈の時に失われた文化的な遺産がどれほどだったのか、教科書にはあまり具体的なことは書いて無かったと記憶してます)。
タリバンによるバーミヤンの破壊という野蛮な行為が、多くのひとに、思想、信条、宗教などに関わらず、おぞましさを伴う嫌悪感や怒りの気持ちを起こさせたのは、本質的に人間の精神の自由を踏み躙るものだったからだと思います。
何かを思い、何かを願い、何かを敬い、何かを捧げ、それらを形にすることで表した尊厳。
尊厳は決して侵されてはいけない。
美しい風景の中で、静かに淡々と語りかける尊厳についての童話。
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