「誰もが幸福になる権利を持っている」丘の上の本屋さん talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが幸福になる権利を持っている
エシエンがリベロから貰った本、日本の「政治家」という職業の人達、全員読んで下さい。日本語と皆さんが一番できる一つの外国語で。そうしたら日本語が母語でない人とも少しは話したり議論ができるでしょう。
店に来る個性的で面白いお客さんとリベロとの会話が楽しかった。店員と客がマニュアル的でなく話せるってとてもいい。エシエンは幸せだな。本の世界を世代がずっと上のおじさんから見せてもらい道筋をつけてもらい勇気まで貰った。図書館司書の大切さも実感した。日本の学校には司書がいないことが多く、居ても非常勤扱い。司書の大切さをわかって欲しい。
イタリア人は喋ってるか電話してるかテレビ見てるかで、あまり本は読まないという印象がある。でもCOVID-19ロックダウンの際、パンデミックの時こそ昔の(ペストの時代に書かれた)小説を読もうと子ども達に呼びかけたのはイタリア人だ。エシエンが移民の子どもであることも大きなポイントだ。地勢の関係もあって他のEU諸国から押し付けられている感もあるが、移民がボートで目指す国はイタリアだ。一方で昔も今もイタリアから他国に向かう人達は沢山居る。リベロが読む古い日記の書き手は、1950年代、家政婦をしている20歳のイタリア人女性、ボーイフレンドと共にアメリカに旅立つ決心をする。この日記とエシエンがシンクロする場の中央にリベロがいた。
おまけ
リベロが本を読み終わったエシエンに「どこが気に入った?」と聞くのはとても良かった。日本の小学校の読書感想文ほど不毛なものはないと私は思う。読書は好きだったが感想文書きは苦手で嫌いだった。「感想」という抽象的なことは小学生にはまだしんどい。だからどこが好き?がとってもいい。そして短くていいから口頭で伝えそれに対して大人が別の角度からサジェスチョンしたりする、この繰り返しで何かについて考え話すことに慣れてくる。そうすると高校生になったら「描写する」「説明する」「報告する」「論拠を述べる」「反論する」「要約する」「具体例を挙げる」などを意識して言語化できるようになると思う。トレーニングすればできるにも関わらず、そういう訓練をしないまま大学に進学し卒業できてしまうのは残念すぎる。
コメントありがとうございます😊
作中で家政婦とか20歳とかボーイフレンドとか聞き取られたということでしたか。学生の頃5講目に司書の単位取れるのがありましたが、遅くなるので断念。就職先も限られているようですね。
ほんと、tailsman さんの力説凄いですね。皆さんファンになられる筈ですね。
talismanさん、コメント有り難うございます。
>日本の学校には司書がいないことが多く
この作品を観ていると、どんな本を読んだらいいのか
助言してくれる人が、色々な場所に普通にいたらいいね
と思います。
今後、世の中のIT技術が進歩していくとしても
そういう役割は「AI」等ではなく「人」の仕事で
あって欲しいな とも思います。
作品のなかにもありましたが、ネットの普及でいろいろ変わりましたね。便利な一方、失われつつあるものが描かれていました。
ロックダウンの際のイタリア読書のすすめの話、知りませんでした。
そんな発想がこういったすてきな作品につながりますね。
今晩は。
素敵なレビュータイトルですね。
今作は、多分大きな話題にも成らずに劇場での公開が終わるかと思いましたが、私の地域では異例の5割の入りでこういう作品には根強いファンがいるんだなあと思い、嬉しく思いましたね。
大仰な展開がある訳でもないのに、人間にとって本が齎す幸せをストレートに描いた作品だと思いましたね。では。