シンデレラ 3つの願いのレビュー・感想・評価
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おいおい弓矢かよ
ディズニーのシンデレラが有名だが乗馬や弓が得意な活発な女性、動物や自然美を盛り込んだノルウェー版シンデレラ。
チェコの作家ボゼナ・ネムコバがグリム童話の「灰かぶり姫」をアレンジした「シンデレラについて」をもとにしたチェコ映画「シンデレラのための 3 つのナッツ(1973 」のリメイクだそう。
気になったので調べてみたらシンデレラの起源は紀元前一世紀にギリシャの歴史家ストラボンが描いたエジプトの美しい女奴隷ロドピスの物語らしい。
17世紀にはグリム童話の原型とされるナポリの「ペンタメローネ(五日物語)」に採録されたチェネレントラ(Cenerentola)があり、グリム兄弟によるアシェンプテル(Aschenputtel)(ドイツ語で灰かぶり) 、フランスの文学者シャルル・ペローが現代のシンデレラのもとになるガラスの靴やカボチャの馬車を加え人気になったそうだ。日本の落窪物語や、中国にも唐代の小説「葉限」などの類話があるなど実に古くから世界に広まっているそうで驚きました。
本作もペロー版の流れですが魔法使いの妖精やカボチャの馬車は登場せずフクロウの巣から落ちた謎の木の実が魔法を放ちます、フクロウが妖精だったのかな・・。
動物に優しく王子の森での狩りを咎めたくせに自身は雷鳥を射ったり継母に弓を向けたりするのでちょっと失望、野性的で地味な印象のシンデレラでした。
良くできているだけに逆に考えさせられる
《シンデレラ》の脚色なんだよね。
もともとの《シンデレラ》は「王子様に見初められて幸せになるって、結局、女の幸せは金持ちの男にめとられることなの?」みたいな批判がいま出てきてるね。
「そうじゃないでしょ」っていうのが本作では示されて、それはそれで納得すんの。
そこがうまく描かれているだけに、逆になんか色々と考えるな。
最後はシンデレラは王子様と結ばれるけど、それでも、それってどうなの感はあるというか、逆に考えるね。
王様と女王様もシンデレラを認めてるんだけど、なんでかっていうと「可愛い子」だからなんだよね。結局はルッキズムかよと言えなくもない。
王子は、シンデレラの見た目だけじゃなくて、それまでの色んなことを知ってるから好きになったみたいに描かれているが、恋に落ちたのは舞踏会だからね。「見た目が良い女が勝ちってことね」は残ってしまう。
そして一歩引いて考えると、シンデレラと王子の結婚はうまくいくのかな。シンデレラに女王はつとまらないんじゃないかとか心配になってしまう。
たまたま王子が遊んでたら、元気な女の子に会って、「綺麗だなあ」って思った女の子がその子で結婚決めるんだけど、それで大丈夫かな。
王子もシンデレラも誰かが決めた相手ではなく、恋に落ちた相手と一緒になるのがいいんだっていう自由恋愛至上主義になってるんだけど、本当にそれでいいんだろうかって思ったのね。
話が考えられてきちんと作られていただけに、逆に、恋愛と結婚の関係について考えちゃったな。
Renewal
シンデレラの新解釈版的な感じの作品、エクストリーム配給の作品としてはまともそう(失礼)だったので多分良いんだろうなーという感じで鑑賞。
大きな驚きはありませんが、短い尺の中で手堅くまとめられていて面白かったです。
継母にいびられるシンデレラの構造はそのままで、そこに3つの願いを一気に叶えるのではなく、順に順に王子と近づく手筈を整えていくという一風変わった感じで物語は進んでいきます。最初は煙突掃除の人間として、二度目は猟師っぽい格好で出会って、3度目は美しい姫として出会って、展開を繰り返すごとに王子も惹かれていってますし、父親母親も後押ししてくれますし、お付きのおバカたちも応援してくれてたりと、王子側の人間は優しいのが多かった気がします。シンデレラ側の継母のクセが強すぎたんですがね笑
後半に差し掛かると、従来のシンデレラのストーリーをなぞりながらも、スリリングな展開を持ち込んだり、継母の悪い部分を爆発させたり、そんな継母に見事仕返しをしたりと、原作よりもスッキリするものになっていました。ほとんどの人物にも幸せが訪れるという、これまた新解釈が良い方向に進んでいました。ディ○ニーは配慮の塊みたいな作り方しかしないので、原作を大事にしつつ現代風に仕上げた今作の功績は大きいと思います。デ○ズニーも見習ってほしいものです。
キスして終わるんじゃなくて、私に追いつけたらね!という感じで雪道を馬と共に王子とシンデレラで駆けていくのも爽やかで良かったです。
御伽噺の優しい解釈で、一見さんオススメな良作です。上映規模はかなり小さいですが是非。
鑑賞日 3/20
鑑賞時間 19:05〜20:40
座席 D-5
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