劇場公開日 2023年7月14日

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「諸行無常」アイスクリームフィーバー toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0諸行無常

2023年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ファッション系CMかと思うようなお洒落な映像に目が行きがちで、
観ている間は盛り上がりに欠けて何だかなあともやもやしていたが、
観終わってからあれこれ考えてみたらこれは諸行無常を描いた、
ある意味達観した人にしか描けない世界観の映画だと思った。

登場人物の感情に寄り添うというよりは一歩引いた視点から出来事を
追っていく。観客に共感を求めたり感情を揺さぶることは避ける。
監督自身、特段登場人物の人生観に思い入れは無いのではないか。
むしろ画面サイズや撮り方を工夫して自分らしい絵柄を残すことが
一番やりたかったことだろう。

舞台となるアイスクリーム屋の佇まいは普通だしアイスクリームを
食べる場面、その他食事をする場面いずれも飯テロ的な描写はなく、
ありがちな「映画の帰りに○○を食べたくなった」のような感情を
呼び起こさないのも徹底されていた。

主要な登場人物は○○を目指していたけれど結果的に△△に落ち着く。
それ以外にも人生の中で節目となるような体験があったりもする。
この映画ではいずれもさらりと描く。ドラマチックにしようと
思うなら葛藤の末に・・・とかショックで呆然と・・・みたいな
描写を入れて熱量を上げてしまうだろうがそれをしない。諸行無常を
描くならこういう映画があっても良い。

大手映画会社の映画ならこうは撮れなかっただろう。商業的成功の
ために泣かせどころや感動的な場面を盛り込んで受けの良い映画に
しようとしただろう。そうしなかった製作者の潔さを感じたし、
自主製作映画のように監督が自分の撮りたいように撮った感じが
伝わってきて良かった。千原徹也監督は演出家というよりも映像作家
と呼んだ方がふさわしい感じ。103分の上映時間も程良い。

出演の女優たちは個性がはっきりしていた。原作がそうなのか、
男性はあまり出てこないし影も薄かった。

商業映画としての成功を目指していないから当然と言えば当然なのだが
「売れる」映画ではないと思う。現に7月14日公開ながら映画館に
よっては7月27日終映予定となっている。仕方がないか。

かく言う自分も、もう一度映画館で正規の料金を払って観たいか?
と聞かれたらう~ん?となってしまう。

終わり近くになって伏線回収っぽいところがあったが、自分は
頭が悪いので完全には理解できなかった。説明しすぎないところが
良かったりもするけれど。VODならもう一度観るかな。

toshijp
toshijpさんのコメント
2023年7月20日

トミーさんありがとうございます。賛否の分かれそうな映画ですが      監督が好きなように撮ったんだろうなと思える不思議な世界観が    ありましたね。

toshijp
トミーさんのコメント
2023年7月20日

共感ありがとうございます。
熱量を抑えて・・との分析に共感しました、アイスだけに・・。でも店長になったり、2作目が書けたり、起業したり、それぞれの体温は確実に変わったのでしょうね。

トミー