劇場公開日 2023年4月7日

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「偏見の熾烈さ?」ノック 終末の訪問者 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0偏見の熾烈さ?

2024年2月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「愛する者を差し出せと?」
「犠牲だよ。皆のために大切なものを渡す。」
「その価値が?僕らの存在を憎む連中たぞ。」
「怖いからだ。僕らも同じ。」
「連中は怪物。破壊し、傷つけ合う奴らだ。」
「守るものがあるから、怒りが生まれる。」

性指向についての理解が進んできたとは言え、まだまだ偏見や予断に満ちみちているということでしょうか。要するに。本作は。

そういえば、かつてとは言え、「同性愛者の間には子供が生まれないから、非生産的」とまで放言した政治家が、どこぞの国にはいらしたような。

エリックとアンドリュー(ウェンパパ)のカップルが週末を過ごす別荘に突如として現れた四人組は、作品中ではヨハネの黙示録の四騎士にも例えられるようですけれども。
しかし、そういった宗教的確信を持ち出してまで、そのうえ終末感的な天変地異すら引き合いに出してまで、彼らの関係に対する偏見・予断を喧伝する狂信的な輩(やから)だったのでしょうか。くだんの四人組は。

すなわち、彼・彼女らに対する偏見・予断は、それほど熾烈なものだと言うことを、訴えたかったのだとも思われました。本作は。評論子には。
M・ナイト・シャマラン監督に一流のミステリー仕立ての手法で。

おもんばかるに、エリックとアンドリューの二人は、同性のカップルであるが故に、謂(いわ)れない偏見や中傷を、幾度となく受けてきたことでしょう。
上掲の映画のことばは、そういった、謂れのない偏見や中傷を、必要最小限のダメージで受け流すための「生活の知恵」…自らを守るためのバリアでもあったのだろうと思います。評論子は。

そして、エリックの両親の二人の関係についての無理解も、相当なプレッシャーとなっていたのだとも思います。
本来であれば、一番の理解者になってしかるべき両親ですら、片道7時間もかけてエリックとアンドリューとを訪問しながら、たったの45分で話し合いに見切りをつけて帰ってしまうという有り様だったのですから。

その葛藤に想いが至ると、観ているこちらも、胸が潰れてしまいそうな、痛切な「痛み」を胸の内から拭い去ることがでないように思います。

充分に佳作としての評価に値する一本だったと思います。評論子は。

talkie