劇場公開日 2023年5月26日

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「「増殖」ではない「別の存在」である。」THE WITCH 魔女 増殖 0UTSIDER109さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「増殖」ではない「別の存在」である。

2023年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

第一章と銘打っていた前作の公開から早4年。続編が出たとしても日本で見るのは不可能だろうなと思っていた矢先、まさかの劇場公開である。韓国では歴代興行収入に名を連ねるほどの人気らしいが、日本ではほぼ無名の映画。そんな映画の劇場上映が決まったのは、きっと名実ともにシンデレラガールとなった主人公キム・ダミの影響に他なららいだろう。(その割には彼女の名前を宣伝であまり見かけないが、、、)

キム・ダム演じる女子高生スーパーソルジャーが血みどろの戦いを繰り広げるアクションシーンが話題になった前作。さらに進化した本作では、あれを上回る血みどろハードアクションとドンデン返しがあるのかと思いきや、個人的な感想を述べれば、これは「劣化コピー」でしかないと感じた。ストーリーはまったく前に進んでおらず、むしろ少し後退した感すらある。第二章と銘打つには物足りず、1.5章といった方が適切だろう。新作というより前作の追加シナリオのような狭い世界観でしか物語が進まない。その割には新規キャラクターや前作では登場しなかった新しい組織や専門用語が次々出てくる。当然、前作を観ているのが前提のストーリー展開で、一見さんは完全にお断りである。前作より力を入れたというアクションや世界観の拡張には成功しているかもしれないが、ストーリーを前に進めてキャラクターを深掘りするのは失敗している。キム・ダミ演じる主人公を軸にしたストーリーで、彼女の魅力をとことんまで掘り下げた前作とは大違いだ。

色々と言いたいことは山ほどあるが最大の不満は「増殖」などという意味不な題名をつけた日本の配給会社のセンスの無さだ。本題名は「The Other One」であり、直訳すると「別の存在」という意味になる。複製を意味する増殖とはまったく異なる意味であり、その「別の存在」の意味は映画を視聴した人なるすぐにわかる。

製作者サイドとしては本作のさらなるシリーズ化を狙っているらしい。しかし上手くいくとは思えない。まず大スターとなったキム・ダミの連投はかなりキツイだろう。だからと言って彼女を出さずにシリーズ展開させても、結局は本作のような劣化版コピーにしかならないはずだ。それに韓国の市場や流行は日本とは比べ物にならないほど移り変わりやすい。そんな中、ユニバース化を達成できるだけの長期的な計画と潤沢な資金を確保できるのか。

苦言を多々述べたが、本当はすごく続きが楽しみではある。
あらゆる意味で、「これからが本当の戦いの始まり」の本作。世界市場を視野に入れたアクション映画など作れる技術をとうの昔に失ってしまった日本映画界にその実力を見せてくれよコリアン・ムービー!

0UTSIDER109
ちゆうさんのコメント
2023年5月27日

貞子化するんですかね
貞子はもはや人気アイコンですからね。
映画の質なんかより、彼女が出てくるだけでOKみたいな

ちゆう