君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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素晴らしかった
素晴らしかった。
過去の作品から想像していたものより、かなり良かった。良い意味で裏切られた。
熱い思いが伝わってくる作品だった。
大人になっていく眞人は、何を心に抱いて生きるか。それは多分、宮崎駿という一人の作家が今まで心に抱いてきたものであり、今後も抱き続けて生き抜くのだろうと思われるものだ。
ひとの人生を貫く哲学。そこには大抵それなりの重みと深さがある。そして彼の場合、それは作品を見ればわかるように、ピュアで真面目で美しいものだということは間違いない。
人間の心の美しい側面をここに描き止めてくれた。
眞人の(宮崎の)繊細で豊かな感受性が捉えた世界は、ここではアニメを通して、より美しく(時により醜く)、のびやかに、より印象的なものに形を変えて見せてくれる。
それにより、そうだ…そういえば世界はそういうものだったのかもしれない…と、はっとさせられる。
作品の終盤に近づくにつれ、社会的な立ち位置についての作者の理想が伺えると思う。そのあたりについては、立場の違いや好き嫌いは様々ありそうだ。でも…たとえば、ゴッホが好きな人がいれば、ルノアールが好きな人もいるのは当たり前だ。そして、ゴッホが好きな人がルノアールの良さを認め敬意を払う、または逆のことがあっても、矛盾はしない。
わたしも、この作品はとても良かった、と素直に言いたい。その美意識とひたむきさに敬意を払いたい。
「天才」の創る世界
万人受けを狙わず、やりたいことをとことんやった感がまず好き!
意味わからん?わからなくて結構。
退屈?!そうかもね。
この置いてきぼり感。でもぐいぐい引っ張られるのは流石の表現力。アニメーションそのものの強さ。こんなの作れるの宮崎駿しかいないよ。
(宮崎駿だから許される、息子の作品だったら…とか言ってる人いるけど野暮だよ野暮。宮崎駿が創るからすごいんじゃんそれの何が悪いの。過去作の文脈込みで見て楽しむ作品だよ。宮崎駿にしか出来ないかこそ見る価値があると思う)
まぁ、見てる途中はちょっと疲れたけど(笑)
終わり方のアッサリ感も好印象。
好き勝手みんな考察してるけどほんとのところは駿監督本人にしかわからない。監督の頭の中に入ったような感覚が楽しかった。今までのジブリ作品でもトップレベルに好き。
これがアカデミー賞?
見終わって
何でこれがアカデミー賞?
と首を傾げました。
トトロからもののけ、千と千尋と続く宮崎さんの世界観とお決まりのキャラクター。
ゴジラ-1.0から受けた感動と興奮に似たものは微塵も感じませんでした。
最後も何だか尻切れトンボの様な終わり方で、これって駄作では?と本気で思った次第です。
ジブリファンでないので言っちゃいますが…
ただ、最後のクレジットで出ていた声優陣には驚かされました。
特に菅田将暉と柴咲コウには。
英語の吹き替えでもマーク・ハミルとかウィレム・デフォーとかクリスチャン・ベールとか有名どころが出てる様なのでその辺の評価もあったのかと。
ゴジラも吹き替え版作ればもっと受けるだろうに、と思った次第です。
意味がちょっと理解にくい
太平洋戦争中の財閥のお坊っちゃん
公開から半年以上経って、アカデミー賞国際長編アニメ賞受賞後のシネコン再上映のラストギリギリの月曜日にはじめて鑑賞しました。
貸切でした。
リアルなホームシアターでした。
アカデミー賞受賞は功労賞的な受賞だと薄々感じておりました。
焼夷弾降り注ぐ空襲で入院中の母親を失くした少年が父親とまるで古河庭園のような西洋建築の豪邸の母親の実家に疎開してくる。鷺沼駅につくとそこには母親の実妹夏子がいて、お腹には父親の子供がすでにいることを峰不二子並の超美人の本人から手をお腹に導かれて、告られる。
ガーン!
親父やるじゃねぇか。
手回しがよすぎやしないか。
夕方帰って来た父親と夏子さんは熱い抱擁に接吻。のぞき見ていたのを見つからないように自分の部屋に戻るシーンは少年の罪悪感と羞恥心を描く。塞ぎ込むのも無理はない。古い母屋には7人のお手伝いのお婆さん。まるで白雪姫と7人の小人。父親は広大な敷地に工場を建てて、戦闘機の部品を作って軍に収めているようだ。戦況の悪化を知っていて、さらに需給が見込めるとあからさまに喜んでいる。三菱?岩崎家か?その庭園には大きなアオサギがいて、喋りかけてくる。くちばしの中に酒飲みオヤジの真っ赤なデカ鼻から繋がったいやらしい歯肉に白い頑丈そうな歯がみえる。三木のり平が頭に浮かぶ。アオサギは大人になったもうひとりの眞人の意識だったのか。
正直に言いますと、見終わって、なんだかよくわからないストーリーで、支離滅裂とさえ思ってしまいました。
オープニングの設定からは母親を失くしたばかりで、その傷も癒えないうちにおばさんを新しい母親として受け入れなければならず、疎開先の学校でも周りと反りがあわないから、いぢめられて、1日で不登校。おまけに自分の側頭部を石で傷つけて結構な流血。自作自演の登校拒否の偽装工作。アオサギは何者か?下の世界ではペリカンがいっぱいいるイギリスの海岸みたいな風景、オバQやゴマちゃんみたいな白い生き物。杉山とく子みたいなお手伝いのおばちゃんがキリコっていう男勝りの女船乗りに大変身。ヒミっていう火をあやつり、ペリカンを追っ払うのが夏子おばさんの姉たから、死んだ母親だよなぁ。夏子おばさんより小柄でかわいい系だった。さらにインコの軍隊を率いる帝国の王様が大叔父。
そんなにしてまで新しいお母さんの夏子を探して連れて帰らなきゃいけないのか? 実の母親に会いたくて仕方ないはずなのに? どっちなのよって思ってしまいました。
母親が成長した眞人に宛てた一冊の本の内容も知らないし、わからないので·····
トトロ、魔女の宅急便は何回も観ていますし、好きなんだけど。だんだん難解になりますなぁ。
これは宮崎駿監督の幼少期の実話に基づく自伝的ファンタジーなんでしょうね。
父親のほうはあまり好きじゃなくて、母親の家系のほうが誇らしかったんでしょう。
おそらく自分を偽って生きることや自戒が綯い交ぜになって、辛かったんでしょうね。
財閥のお坊ちゃんのはなしだから、カンケーないっていえば、カンケーないし、まぁいいか。
物語としてはあまりにお粗末で、アニメとしては雄大
忌憚なく言えば、ジブリであることだけで物語としてはかなり粗末だなと。秘匿性を持っているだけに多くを語ることも難しく、何とも消化しきれない。ただ、これを万人に理解されることは望んでいないとも取れる、ジブリを丸ごと浴びる様な映画だった。
映画館で観る初めてのジブリにして、情報が無さすぎた今作。キャストまで知らないのはさすがに未体験すぎて、ハードルを静かに上げていた。始まるとそこはやはりジブリ。序盤から掴まれる圧巻の描写と大作の予感。それを感じさせるのもまた、ジブリの新たな冒険でもあった。
ネタバレ禁止を貫きたいので簡単な感想になってしまうが、描きたいモノを書いたら脈絡も無くなってしまうよね、的な感情が湧いた。確かに作品の要素は幾重にあり、それをフィルムを通してみると変わらないのだが、それを場面的に観ていると話がボヤけてくる。それもまた追体験ということか。
エンドロールに出てくるキャストの驚きはもうしばらく味わえないんだろうな…。色々解禁される前に観て後悔のない、ある種斬新で今では出来ない程の体験だったことは忘れたくない。
孤独な少年の物語
戦争で母が亡くなった後、父親は母の妹と再婚した。後妻は人力車の中で、主人公の手を取りお腹を触らせ、子どもを身ごもっていると伝える。
主人公の少年は、後妻のことを「お父さんが好きな人」と表現する。父親は大きな屋敷に住み使用人を沢山雇っている。小型飛行機の窓のような部品を運んでいる場面があった。恐らく軍事産業なのだろう。転校した学校ではよそ者、金持ちの子としてイジメにあう。居場所のない彼はアオサギに誘われ異世界に行く。ここは死後の世界であり生まれる前の世界のようだ。彼は実母と出会い元の世界に戻る決心をする。孤独な少年がどんな形であれ実母に会えて良かったと思った。
面白い
冒頭から塔に潜り込むあたりまでは全てのシーンが、一瞬たりとも目を離せないテンションの高い描写で、見ていて魂を丸ごと持っていかれる感じだった。
しかしそのあと、肝心の異世界に行ってからが乗り切れなかった。凄すぎるアニメーションクオリティだし、部分的にグッとくる展開もあったが、なんとなく主人公と一緒に推移を冷静に見守るような、妙な感触が最後までずっと続いた。
印象深いのはやはり鳥たちで、ペリカンがカワイイ奴らをパックマンみたいに捕食するところとか、インコ軍団の無表情で怖い感じとかがとても良かった。人間型キャラについては「ハウル」以降の宮崎作品では、あまり強い魅力を感じることがなくなった。今回もお婆ちゃん達だけ素晴らしかったが、それだけだった。
君たちはどう生きるか。
君たちはどう生きるか
なぜ鳥がこんなにたくさん、出てくるのだろうと思った。
鳥は神の使いといわれ、だから鳥なのかもしれない。
しかしこの作品に出る鳥は阿呆で無知で野蛮だ。これは即ち人間を宮崎駿が揶揄したモノでは。
大叔父様は、神様で、神が統治して来た世界を鳥の王、即ち人間が破壊してしまう。
大叔父の後継ぎを眞人がするか、この世に戻るかを選択するのだが。その時大叔父が世界は統治が歪んでからは火の海であろう。と言う。なんと悍ましい発言なんだろう。それでも眞人はこの世で友と家族と生きることを選ぶ。
きっとこの件は、これからを生きる子どもたちへのメッセージなのだと思った。
それからヒミは卑弥呼とかけているのかと思ったし、なつこがあの世に止まると言ったのは眞人でなく自分と生まれてくる子が盾になるという決心に思えた。
そして7人のババたちは白雪姫の小人を彷彿させたし、青鷺が嘘つきなのは人間がそうだからだ。
とにかくたくさんメッセージがあって。
私たち大人は、どう生きるか。
私たちの子どもは、どう生きるか。
それを考えるには、十二分に重厚な作品です。
学校で見させてあげてほしい。
それから、女性も印象的に出ていて、この作品に出る女性は、みな強く何かを背負いそれでも気高く生きていて、子も生み、何かを守るために生きている。
君たちはどう生きるか。
そこにも現代を生きる私たち、これからを生きる子どもたちへのメッセージを感じた。
アカデミー賞は功労賞、ハッキリ判んだね。
面白いシーンのパッチワークで「面白い」と錯覚
がっかり
熱量に圧倒される
恥ずかしながらジブリ作品を映画館で初鑑賞。昔は金曜ロードショー頼り、紅の豚より後はテレビですら観ていないものだらけだ。しかし今回は、ジブリらしからぬタイトルとアカデミー賞授賞という話題に押されて映画館で鑑賞した。
スクリーンで観るとやっぱり映画の凄さを感じる。冒頭の火事のシーン。炎の迫力や主人公の必死さはテレビではこれほどには伝わらないだろう。
観ていて気付いたのは、過去の作品群を彷彿とさせる様々なシーン。これまで、こういうシーンは無かった気がする。まるでこれが集大成であるといわんばかり。
母親を亡くした主人公、母の妹が父の再婚相手としていきなり現れる。自分と周囲の時間の流れの違いや、母の面影のある再婚相手への複雑な感情に内心戸惑う主人公。しかし、表情を崩すこと無く姿勢は正しく、所作にも子供っぽさがない。だらしないところを見せて母のせいにされるのを恐れているのか、甘えられる相手がいないのか。
そんな彼が父の愛を試すように、自らの頭を傷つけるシーンは観ていて辛い。本の中に母の筆跡を見つけて泣く姿、ヒミの焼いたパンを美味しそうに頬張る姿には目頭が熱くなった。
世間だけでなく自身の内面すらも理不尽で残酷な面がある。それでも、状況を受け入れて留まる事無く手足を動かして前に進む事で、状況が動き見えてくることがある。小賢しく生きようとせず、そうした泥臭い経験をもっと積めと言われている気がする。
『君たちはどう生きるか』というタイトルは、自分の人生に対する覚悟はあるのかという世間への問いであろう。今の世の中に対して抱えている怒りをエネルギーにしつつ、希望という自分のエゴを作品にする宮崎駿の創作に対する熱量に圧倒された作品だった。
アオサギ、特殊詐欺、フィッシングサギ
久しぶりの映画館鑑賞となりました。映画館は北陸初のIMAXシアターも増え、各スクリーンの扉も新しくなっていた・・・まるで別世界に迷い込んでしまった感覚に陥りましたが、映画そのものも別世界に。所々宮崎駿作品らしいというか、過去作へのセルフオマージュを散りばめられたような映像・演出部分(特に湯バーバ)にほっこり。ちいかわまで登場・・・笑笑
アオサギ、ペリカン、インコという鳥の世界。神隠しに遭った少女といい、生と死の狭間を彷徨う姿が生き方を問うかのような不可思議な感覚にさせてくれた。特に積み木なんてアイテムが考えさせられるのです。
ただ、ストーリーはキリコとヒミが現われた時点で読めてしまうのが残念なところでもあるし、グロテスクさも現実と不思議世界の対比で中途半端になってる気がしました。ドロドロの血とこぼれそうなジャムの色が似通っていたりして・・・
久しぶりの宮崎作品を観ただけで涙を流してしまいましたが、冒頭の火災シーンで輪島の朝市通りを思い出したり、キリコ(能登の祭りの切籠)やヒミ(氷見市)という名前が追い打ちをかけてきました。さらには落ちてきた塔とかで震災を思い出さずにはいられなかった。公開当時に観ていればそんな感情は湧かなかっただろうに・・・
戦争を扱った部分はあったけど、悲惨な被害は敢えて(?)描かず、少年眞人の複雑な感情中心だったと感じた。叔母さんからお母さんへと変化する夏子への想い。火災で死ぬことがわかっていても生きることの意味。もしかして大空襲や原爆被害についても予知していたかのような眞人の表情が気になるところ。なにしろ大伯父の顔がアインシュタインに似ていたし・・・
気持ちが溢れ出ました
とにかく心をまっさらにして宮﨑駿監督のアニメを楽しもうと事前情報を入れずに鑑賞。ロングラン上映に感謝!尚且つアカデミー賞のおかげで昼間の時間帯に観れました。
問答無用で宮﨑駿監督の描く風や光の描写、どこか懐かしい田舎の風景がとても好きで、登場人物の美しさ、細やかな表情や所作、可愛らしいキャラクター、やはり終始魅了されっぱなしでした。
これまでのジブリ作品のオマージュも散りばめられてて、これは宮﨑駿監督の集大成なんだと胸が熱くなりました。
エンドロールはシンプルだけど、作品中のシーンを思い出しながら「地球儀」が心に沁みて胸がいっぱいになりました。やっぱりすばらしい!大好きな映画がまた一つ増えました。
かしこすぎた男の生涯
ファンタジーなSFと感じた。
不思議な隕石の力で
世界を構築する術を得た男が
世界の複雑さを最期は理解して
やがて自滅を選ぶ。
若い頃、
世界の複雑さを汚れと感じ
美しい世界を
平等な世界を目指すことが
人々にとっての幸せだと
熱にうなされることもあるかもしれない。
不思議な隕石の力で
それを試みる機会を得た。
かしこすぎた故に
理想は実現可能だと
燃えた。
しかし
たかだか一人の妄想力には限界があり
もはや世界のバランスを取れなくなった。
この期に及んで、かしこすぎた男は
後継に純粋無垢さを求めたが
その少年は、
皮肉なことに
その妄想の世界で
現実を学び、
自らの卑怯さを自覚し
純粋無垢ではないと
継ぐことを拒んだ。
妄想の国の大王が継げるわけもなく
大王の稚拙な行動により
世界は崩壊、
少年は現実に帰っていく。
世界は複雑なのだ。
だから面白く美しい。
一生懸命に生きよう
時間が合わなくて見れていなかったのだけれど、アカデミー賞の影響で上映が続いていたので遅ればせながら鑑賞しました。
なるほど、この内容だと評価が分かれるのも納得です。
「誰でも、人生には現世を嫌悪したい時もあり、そういう時に逃げ場を求めたくなる時もある。でも結局は現世で一生懸命に生きていくしかないのだよ」ということ。それが、流されるままに鑑賞した私の感じたことです。でもこの映画から感じることに正解はないように思います。
おそらく、この映画は「絵画」や「ダンス」を見るように感じるままに見てくれと、そういうことを映画全体で表現しているのだと思います。そこには論理とか辻褄のようなものがありません。私は肯定的にとらえましたが否定的な受け取りをする方もいるはずです。ですから、評価も分かれて当然。表現者「宮崎駿」ここにありですね。
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