君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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低評価ばかり目につくので
公開二日目に見てきました。千と千尋以降、少しずつストーリーの骨格が見えにくくなり、エンターテイメントから逸れてアート作品に立ち位置が近くなってきている感のある宮崎作品。
個人的にはストーリーも児童文学として王道だと感じましたし(異世界を訪ねたことによる少年の精神的成長)、真摯なキャラクター造形、圧倒的な世界観、美しいシーン、そして全編を経て伝わってくる、監督の「どのように生きてもいいんだよ」という誠実で優しいメッセージに、とても感動し、涙しました。
宮崎作品はこうでなければいけない、という先入観を持って鑑賞した人たちは裏切られ、失望した感があり、低評価をつけられたのでしょうか。
「宮崎作品でなければこんな作品に観客は入らない」というような立ち位置からの批評も目立ちますが、そうした批評は不誠実で嫌いです。興行成績の高低が、個人の評価と合わない場合に怒りを覚えるというスタンスが傲慢に感じるからです。
私はこの作品が、上記に挙げた理由からとても好きです。でも万人に受ける内容ではないのかもしれません。それで良いと思います。すべての人に受け入れられるように、スタジオジブリが会社として成り立つように、幅広いレンジに向けてこれまで作品を作り続けてきた宮崎監督が、本当に伝えたいことを伝えよう、として創られた作品に感じたからです。
評価が5でない理由は、ストーリーに粗い点や、キャラクターの心象の掘り下げがやや浅く感じたことにあります。そうした評価も、私の個人的な評価です。
映画批評なんてものは、個人個人違っていて当然です。主語を大きくする評価は、大嫌いです。それだけが書きたくて、登録させてもらいました。
遅いことなどないのかも知れない。 再び現れた監督の深いメッセージは生死のなかの愛に満ちたエールだ。
燃えあがる火の海をかけぬけるのは
大切な人がそこにいるから。
しかし知る、永遠の命などないこと。
哀しみを抱いたままの心。
選ぶ余地もなく変わる人生への不安や戸惑い。
それでもそこで生きていく。
ーーーーー
身の回りに次々と溢れかえる事象を、監督はあえてたくさんの登場人物やその不可思議な言動や空間に表現したように感じた。
単純なようでとても複雑で、柔らかくやさしいようで恐ろしく厳しくて、慣れようとすれば変化して、追いつけばもう離れている。
進化したかのようにみえ退化もし、悲しき争いの教訓は未だ生かされず。
目にしたものをそのまま信じた時代はいつしか遠ざかり、複雑な情報が瞬く間に入れ替わり混沌としているこの世界をそのままに。
この世の厳しい先を深く静かにみつめながら積木を持つ手は幾度も人知れずためらいに震えたはずだ。
しかし監督はあえて振り切った。
それが自分の役割りだと知っているから。
未来への時間をつくりだせる「君たち」に向けて、人を知りものを知ることで考えて歩む意味を伝えるために。
胸がじんとする。
目の底に圧がかかる。
眞人はほかならぬ〝君〟(私)の迷える姿なのかも知れない。
戸惑い、もがき、一喜一憂を繰り返しながらも「君」たちは、傍に離さない〝希望〟と〝意志〟を持つことで前に進める。
未来とはその先にしかない。
うらやましいくらいにまだ続く時間は「君たち」が持つ特権なんだよと。
先を行った人々に見守られ過去から未来へと繋がっている尊い今を、その時々の役割を感じとり、あたまとからだとこころで道を拓くために…君たちは、どう生きるか。
受け止める側のじぶんのあり方を問われた貴重な時間が、帰り道のくっきりした夏の空をなんだか少し滲ませた。
私には眞人ほどの時間はない。
その深い呼吸のあと、監督よりいくらか年上である故郷の両親があたまに浮かんだ。
自分に起きている流れのすべてを受け止めひたすら明るく穏やかな母と、1日でも母より長く生き母を守り通すことを決めているようにみえる病ある真面目な父のことを。
私はどう生きるか、この先の未来を。
何度も問いながら自分らしく生きていきたい。
そんなことを思った。
⚫︎⚫︎追記⚫︎⚫︎
グレシャムの法則さんの追記を読後の追記です。(7月27日)
眞人の足元に落ちた本、それを読んで泣いているシーン。
なぜ、あのタイミングであれだけのカットだったか。
タイトルにしているのに、なぜ?とあっけなく感じるくらいのシーンは〝あえて〟なのだろう。
監督は「君たち」の元へさらりと、そして強烈な愛に満ちた魂を込めてそれを送り込んだのだ。
人が持つ邪悪さを自己に見つけ翻弄されるだろう「君たち」が〝「君たち」自身によって〟気づき、それに命をあたえ乗り越えるための鍵にするために。
タイトルそんなに関係ないんじゃない?のもやもや感が少なからずあったなら、不気味にそびえ立つあの塔が音をたて崩れたときのようになにかが形を変え、まわりの空気を新たにすることがいつかあるだろう。
駆り立てられる思いを表すのに、遅いことなどないのかも知れない。
監督の背中が私たちの前を歩きながら、そう思わせてくれた。
修正、追記、再追記、評価変更済み
難解だなぁ けれど 一度はみた方がいい
# よかった点
- 安定のジブリクオリティ。映像も美しいし、ジブリっぽさももちろんあって、鑑賞後に満足感があった
- メインストーリーを追うのはそこまで難しくない
# 悪かったところ
- この物語がなんのメタファーなのか分からない。ネット上に考察が転がっているが、小説も読んで、何度も見るのはちょっと...と言う感じ
- 全体として美しさはあるものの、強く印象に残るシーンがなかった
- 例えば千と千尋なら、考察する点がたくさんありつつも、一度見ただけでも「夏の懐かしさ」みたいな強く印象に残る(共感できる)シーンがあった。比較して、考察すれば面白いのはわかるが、初見だと強く印象に残る感じはしなかった
- 今作は大分ファンタジー寄りになっているので、一般人には共感しづらい作りになっているのかもしれない
まとめると、
考察するために何度も見たくなるような映画ではないが、
十分満足感はあるので、一度は見に行った方がいい(見にいくだけの満足がある)映画だと思う。
内面の旅
これまでのジブリ作品は、何も考えずただスクリーンを眺めているだけみたいな人々も楽しめるような配慮がされていたけれど本作は違う。考えて、自分自身に問いかけてやっと伝わってくるものがある。恐らく低評価勢は前者。
過去作のオマージュが頻出しますがそこは好みでしょう。
-0.5はキャラクターの動きに手抜きを感じる部分があったので。
中途半端な作品という印象
子供のようなイキイキとした想像の世界を未だ持ち続ける宮崎駿ワールドに没入する2時間
ちょっと気持ち悪いようなでもどこか愛らしいキャラクターたち、空想なのか現実なのかわからない異次元の世界での少年の葛藤と成長、久しぶりに宮崎駿ワールドを体感した、という感じでした。
最近は伏線含めて細部まで作り込まれた構成や脚本が多いので、いろんな不思議な出来事について細かい辻褄合わせをしたくなりがちですが、この作品はそういうところに拘らず、子供の感覚に戻って独特の宮崎駿的なキャラクターや世界観に没入してエンターテイメントとして楽しむのが良いのではと思います。
もちろん、根底にある主人公の中の葛藤やそれに立ち向かって行く成長の過程も今までの作品と同様、共通のテーマとして描かれてます。
あのお歳でまだこんな瑞々しい子供のような想像力溢れるが世界が描ける宮崎駿さんは本当にすごいな、と思います。
これが監督の吉野さんへの応えだ!
五所光太郎さんの作品解説が素晴らしい。
「思うとおり、好きなものを作って下さいと伝えた」
「製作委員会方式ではなくジブリ単独出資」
「究極のプライベートフィルム」
だから公開前の宣伝なし施策が可能だったわけで。
五所光太郎さんの作品解説を読んでよく理解できました。ありがとうございます。
主人公の父親と再婚相手の接吻音が本当に気持ち悪い。あの場面は不要。
理解が難しい
正直に面白くない。
シンプルに面白く無かったです。
期待して楽しみに映画館に足を運びIMAXで2600円ほど支払ったことに後悔してます。
後半まさかこの流れでこんな感じで終わるのかと逆に笑ってしまいました。
キャラクターや映像も過去の作品の使い回し?
エンドロールの豪華声優陣の名前が自慢げに見えて声優に有名な人を使ったからなんなのかと思いました。
宮﨑駿監督がご高齢だからなのか、なぜこんな作品になったのかは分かりませんが、ジブリの制作会社に「君たちはこれからどう生きるか」と聞きたいぐらいです。 笑
素晴らしかった
悲しみを抱えて生きる
宮崎駿という監督は、最初から一貫してこどもたちのための映画を真摯に真面目に創り続けてきたひとだと思います。だからこそ彼の作品は、大人が鑑賞した際にも、こどもに戻って観られるものになっていて、それが素晴らしいと思うのです。
この作品を観た後、こどもたちのこころにずっと残るメッセージがあるとすれば「空想の世界は悪意もなくて整然としたルールに守られた美しい世界だけど、それは積み木の塔のようにもろくて壊れやすい。いっぽうでぼくらの生きてる現実は悪意に満ちてて混沌とした世界だけど、とても強い世界だ」
「空想の世界が壊れてしまうのはとても切なくて悲しいことだけど、ぼくたちはその悲しみを抱えてこの現実を生きていかなきゃならない。そしてぼくたちこどもが守られるだけの弱い存在から成長していくためには、不完全なこの世界を許して受け入れなきゃいけない」
というものではないかなと、こどもに戻って鑑賞したぼくは感じました。
ストレートなメッセージ
宮﨑駿監督は「自分でも何を作っているのかわからなかった」と仰っているようですが、私にはとてもストレートなメッセージが込められているように感じられました。
知識に凝り固まり、多くの生き物を犠牲にし自分の理想の世界を追い求める大叔父の行いは独りよがりです。
理想郷の建設のために生きるより、戦争と苦しみに満ちた現実に戻り友を見つけます、という主人公の答えが監督のメッセージではないでしょうか。
宮﨑駿のセルフオマージュが随所に散りばめられていて、ああ本当にこれが最後の作品になるんだな、監督は集大成を作っているんだと切なくなりました。作中に登場する墓は、監督自身の墓なのではないでしょうか。
映画体験としてすごく良かったです。
期待せずに
広告が無いの凄いし良いね
広告が入るとどうしてもこの作品はこうやって見るものなんですよ、ってガイドラインが見えちゃってそこから外れたものには疑問や大人の事情を感じて考える邪魔になるのでタイトルの問いかけについてだけ考えられるのはありがたい。
ジブリと宮崎駿ってだけでワンビジュアルの公開のみなのに全国の映画館の1番広い部屋と回数で流してもらえて興行収益もガッツリあがるんだから客呼ぶために打つ広告にお金出す必要なんてナイナイ。こんな凄いことが出来るところまでスタジオが成長したのだから邪魔されずに届けたいものを作れば良いと思うよ。
内容は別に感動はしなかったんだけど最初の火事のシーンの表現を見れただけでも十分すぎるくらい良かったし、ジブリアニメは見ていて楽しい。それと感情表現が出すだけのものじゃなかったのがアニメとして新鮮でした。アニメだと描けるから無言の痛みも絵に起こせるけどありきたりな傷付き表現じゃなかったので良い意味で既存のアニメっぽさが無かった様に思う。
心の傷は深いほどさわりたく無いし自分だけの痛みだと思いたいから周りにも自分にも触れさせずにいると愚鈍になるわなーみたいな。
あの時代じゃあの子の経験よりも酷い別離や境遇の人はわんさか居るんだけど、周りに対して気付いたり配慮したり出来ないくらいの余裕の無さとか、別の事に追い立てられる必要のない甘えられる環境の中で鬱屈してつい親の力を自分の力のように使ってしまう生活の余裕に対して捌け口をつくるしか発散出来ない状況であのままいったら金と力を持ったしょうもない大人になったろうな。
息子のために自分でも無意識に気持ちよく権力を使ってしまうお父さんの一抹の悪意やエゴイズムが悪い方向に加速して引き継がれそう。
ラストは冥界行をして生まれ直す話なだけに最後は浄化されてかなりスッキリしました。
自分の中や外からくる悪意を冷静に見て対処する余裕は何処から生まれるのかと考えると友達をつくって視野を広げるって答えは具体策で、自己完結から他者と協調への王道ストーリーから外れずに強い作品になるって凄い。
あとはクリエイターに関わらず影響された環境や作品、人や師みたいなものに対しても影響は受けるけれどもどの経験を選んで身にするか引き継ぐかは本人の自由にしろって意志を感じたり。特に自己発信するタイプのクリエイターなんて色々な表現の影響は作品に顕著に出るし手法やイデオロギーは引き継げてもそれで作るものの作家性の核は自分から出力するものでしかないからコピーとか作れないし作るなよって。
ヒミ姉妹とばあちゃん'sが白雪姫と7人の小人なことだけは分かるんだけどなんでそうなのかが最後まで分からなかった。ディズニーの白雪姫がアニメ制作の道に入る出発点とかそういう事?
宮崎駿は普段どれだけおばあちゃんを見ているのか。そんなイメージ全く無いけどおばあちゃん観察しすぎだし好きすぎ。婆ちゃんにはもはや女の理想が詰まってるの?
レビューを読まずにまずは見に行ってほしい映画
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