君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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意味を求めてはいけない
どこかで見たようなキャラクターが勢ぞろい、デジャブかと思うようなこれまでに見たことがあるようなシーン。
宮崎駿監督業の集大成として、走馬灯を一緒に見ている感じでした。
テーマを深く掘り下げあれこれ思案するのも良いけど、逆に深い意味を求めないでも良いと思えた作品。
頭の中を空っぽにして、難しく考えず素直な気持ちで観ましょう
面白かった!娯楽超大作でした。隠喩的描写はあまり気にせずストーリーだけを素直に受け入れれば凄く単純な内容です。難しく考えないことがこの映画を楽しめるポイントですね。「難解」という感想も多かったのでそれなりに覚悟して観たのですがそんなことはなかったです。
確かにあちらこちらに宮崎駿監督の隠喩に込めたメッセージ性が垣間見えます。映画を観ているときにそれらをいちいち考察していたら意味がわからなくなると思います。
それらの様々な隠喩表現は気にしないことです。隠喩やメッセージ性が理解できなくてもストーリーが理解できなくなるということはありません。
次から次に起こる奇怪な出来事、「塔」の中に入ってからはさらに奇怪な展開の連続でラストに向けて手に汗握る展開。ひたすら内容に没入していました。
そして気が付いたら終わっていた、という感じです。これほど映画に夢中になれたのは久しぶりでした。
さらにあの作画のクオリティ。アニメというより「美術」ですね。美術的作画が2時間終始続くんですよ。そんなアニメ映画観たことないです。
もちろんいままでの宮崎駿監督のアニメは全てクオリティの高い作画でしたが、これは群を抜いてます。
そんな「美術アニメ」であったこともこの映画に没入できた要因のひとつだと思います。
宮崎駿監督作品の中でダントツ1位の作品。いや、ひょっとするといままで観てきたアニメ映画の中で1位の作品かもしれません。それほど楽しめました。
しかし、楽しむためには、没入するためには、夢中になる為には「難しく考えないこと」というのが必須条件だと思います。素直にストーリーを受け入れることです。
考察するのは2回目3回目の鑑賞からでいいでしょう(もちろん、くり返し観に行くつもりです)。
ひとつ欠点があるとすると、この面白さを他の人に伝えにくい、ということですね。
普通は面白い作品というものはその醍醐味を語れるものなのですがこの映画に関しては不可能です。少なくとも私には無理ですね。
でもそこがまたこの映画の凄いところなんだと思います。
とにかく頭の中を空っぽにして鑑賞することをお勧めします。
ごめんなさい。宮崎駿の世界観に興味ない人にはわからない
楽しみにして行きましたが、終始爆睡してしまいました。
最後、一緒に見に行った連れ合いに起こされ
声優も、ものすごいメンバーを取り揃えた宮崎駿の力作だったと知りました。
メリハリがなく、抽象的な気だるさと共に話が展開していくので、レイトショーでお疲れ気味の時に観にいくと....睡魔に襲われる可能性は充分にあります。
振り返ってみれば、宮崎駿が手がけてからのルパン3世も、ジブリアニメも全くと言っていいほど興味がない私が観にいくこと自体が誤った選択でした。
ジブリ好きの人のための作品
自分はジブリ好きじゃないので、つまらなかった。
ただ待ち合わせ前に時間が余って、たまたま時間の都合が良かったので観た。
そして期待通りつまらなかった。
つまらなかったというよりは、映像がただただ気持ち悪かった。
主題歌、声優陣が素晴らしかった。
誰一人、声の主が分からなかった。
右脳で感じるままに
酷評が多い中 悩みに悩んでやはり、気になるので 観に行った
ハードルを下げて フラットな感性で臨んだのがよかったのか、
私はどんどん 真人と共にバラレルワールドの迷宮に引き込まれ それぞれのキャラクターの潔い生き方に 清々しさを感じて観終わった
いや、いい作品でしょ?
この世の仕組みがわからない なぜここに生まれ、生き、死ぬのか理由もわからない私たち人間なのだから、わからなくていいんだと思った
ただただ、その時々、自分と向き合い、自分が信じる生き方を貫く姿が 生の美しさと生の儚さなのだと感じ取れる作品でした
残念な残り滓
前情報無しで公開日に鑑賞したけど、あのもののけ姫までのワクワクはやはり過去のものかと悲しくなった。本人にもよくわからないものを作ってお金取れるのはそれだけ過去が凄かったからで、今作には輝るものは感じられず、ファンタジー入ってからは眠かった。ラストあたりは後継者がいないことへの恨み節かと。
トイレに行きたいことも忘れさせてくれるくらいの最高傑作!
間違いなく宮崎駿監督作品の、ジブリ作品の最高傑作作品です。
レビューなどでは「意味がわからない」「難解」「つまらない」等々、他にも酷評も多くて、「そうか。つまり娯楽映画じゃないんだな……」と期待値が低かったのです。
期待値が低かったから相対的に評価が高くなった?とも思ったのですが、いえいえ、過去の宮崎駿作品やジブリ作品と比較してみても突出していました。
内容的には最初から最後まで手に汗握る超娯楽大作。確かに意味がわかりにくいところもありましたが大人の読解力があれば十分理解できると思います。はっきりと理解できなくても内容が理解できなくなるというほど難しいものではないと思います。ただ、そういう意味では子供向けではないですね。
途中でトイレに行きたくなったのですがそれを忘れさせてくれるくらい前のめりになって最後まで映画に没頭していました。
最低でもあと2回は映画館に観に行くと思います。
宮崎駿監督がいちばん複雑な想いで描いたのは積み木のシーンだと思います。
ある人物が主人公の少年に積み木を作る後を継いで欲しいと願いますが、少年はある理由でそれを断ります。そしてそれに納得するある人物。
宮崎駿監督としては「自分はこれだけの作品(世界)を作ってきた。若者に自分の後継者になって自分の作品・世界を作り続けほしい」と願っているのですが、でもそれは独りよがりということも十分自覚しているのだと思います。
「自分の作品や世界も残してほしいが、それをぶっ壊して自分を超える作品・世界を作れる若者が出てきてくれることを願っている」ということではないのかと解釈しました。
「自分が亡くなった後も自分を超える才能が出てきてくれることを願っているよ」という意味も込めて「おわり」とかそういう表記をしなかったのではないでしょうか。
いや、ひょっとして宮崎駿監督自身が「まだ新作を作るよ」という意味でもあったのかもしれません。
そして作画はもはや作画じゃなくて「絵画」レベルのクオリティです。
もちろんジブリ作品中最高のクオリティ、いや、いままで観た全てのアニメの中でも史上最高かもしれません。そりゃあ制作費も高くなるわけです……
この作品が宮崎駿監督作品にしては思ったほどヒットしてないのは残念です。
私のようにこの作品が素晴らしいという感想の人がいてもその魅力を伝えにくいというのが要因のひとつかとも思います。
SNSの時代で良い物はすぐに拡散されますが、この映画の魅力をSNS等で伝えるのは不可能です。
SNSで評判にならないものは良品とは思われないのかな?
面白くはない
映画館で見るものでは無く
迫力も無ければ、絵が綺麗でもないし
音がいいわけでもない。
特に、声は酷い
少年が
物語の主人公として、
当たり前の選択をして行くのを
ただ見てるだけの2時間
結果、タイトルが全て
人によりけり……(>_<)💦
ジブリ調の作画描き込みで見せつけられるところはあれど、ストーリーには好き嫌いある作品ですかね。
戦争表現含め、宮崎監督の描きたかった映像だと思うので、観客が「どう観るのか」は二の次なのかも知れません。
子供と見たいと思う作品ではありませんでした。
本当に最後の映画
宮崎駿の最後の作品。といいつつ、また引退撤回して死ぬまでまだ作るんでしょ?と思いつつ鑑賞。
最後のシーンで、宮崎駿が、バタッと前のめりに倒れる音が聞こえた(ような気がした)
才能は衰えないが、創作活動の体力には限界があり、本当に最後の作品になるんだろうな、と思った。今までありがとうございました。宮崎駿監督に感謝。
謎に前向きな気持ちになった
勝手に自分の人生と置き換えて観ていました。
現実から避難して、見るもの触れるものを全て睨んでいた時期を思い出して。
塔を現実からの避難場所として。
現実世界は辛い。理不尽な事だらけ。
だからこそ、幻想の世界は魅力的なんですよね。
誰しもが、アオサギの誘惑に誘い導かれ、悪意で自分の心を守る可能性がある。
あの塔に惹かれる🟰逃げたい現実に直面した、というように解釈しました。
眞人も、大叔父さんも、キリコさんも、夏子さんも、そしてヒミも。
それでも自分の悪意と向き合って、前向きに生きようとするものが、塔から抜け出すんだなって。
私自身の体験だと、やっと授かった子どもが流産した時、心が壊れてしまいました。周りの妊娠報告を受けるたび、悪意で満ちて、友人との連絡を断ったりと、作品でいう塔の中に閉じこもりました。今でも、閉じこもりたくなる事があります。
この映画の話は、人間の心の中をファンタジーとして具現化したものだと思って考えます。
最後塔から抜け出せた時、多くの人は記憶がなくなる
というのをアオサギが言っていて、なんだか救われた気持ちになりました。
こんなドロドロ周りを呪って恨んで人のせいにしてる悪意に満ちた今の私でも、この辛さから気持ちの整理をつけて抜け出せたら、すっかり忘れて前向きに生きていく事ができるんじゃないか、と。
もしくは、眞人のように、自分を救ってくれた、守ってくれた人の事を忘れず、現実に向き合える事ができるんじゃないか、とも。
人生の最後を塔の中で過ごした大叔父さんもひとつ。最後立派に若者へ未来を託され事に、虚しさより清々しさを感じました。
アラサーの私。まだまだ長い人生、また歳を重ねてから見直していきたい映画だなと思いました。
きっと、その都度、自分の中の答えと向き合う事ができるツールとして、この映画が寄り添ってくれると思います。
宮崎駿の集大成だった
宮崎駿の集大成だった
色々な宮崎駿作品のセルフオマージュが散りばめられていた
亡者の船列は紅の豚の亡者飛行機の列のシーン
魚を求める黒い人は千と千尋の神隠し
わらわらはこだまやすすわたりかな
他にも沢山の過去作連想するシーンが多岐にわたられてあった
あとジブリお馴染みのおばあさんキャラが大集結(笑)
悲惨な戦争のシーンをかかなかったのは、宮崎駿が宇都宮空襲で助けを求める人を見捨て車で逃げた話もあったし、トラウマで描きたくなかったから風立ちぬでも描かなかったのだろう。
また裕福な家庭・軍需工場を経営する父親は宮崎駿もそうだから主人公は宮崎駿、主人公の父親は宮崎駿の父もイメージしているのではないだろうか。
そしてヒミの帰ったら空襲で死んでしまうからダメだと引き留められたシーンに息子(眞人)を生めるなら素敵じゃないかと返すのが母(少女だけど)の愛を感じて泣いた
若くして亡くなる運命でも息子に生みたい、会いたいは「いま、会いにゆきます」もそうだったように母の愛は偉大なことを知った
30代の今出会えて良かった作品だった。
自然と涙が溢れる作品
昨日やっと見に行ってきました。
前情報もなく、かなり賛否両論の作品で
理解に苦しむという意見やつまらなくて寝落ちして
しまったなど酷評もあると聞いていたので
どんな作品なんだと身構えて
鑑賞したのですが、エンドロールが流れる頃には
自然と涙がこぼれ落ちていてとても感動する作品でした。
私自身語彙力が乏しい為、この感情を言葉にうまく表現することが難しいのですが、色んな考察以前に
マヒト自身の心の葛藤と成長を描いたストーリーで感情移入してしまうシーンも多く、最終マヒトが自分の心の傷やトラウマに目を背けることなく、
向き合い、前に進む選択をした強さにも心を打たれました。
確かに要所要所で展開が早く感じたり、断片的で細かい描写の説明がないので『え?なんで急に?』って思ってしまうシーンも人によってはあるのかなと。
青鷺が登場してから学校に通いマヒトが頭を石で
打ち付けるまでのシーンも描かれていないだけで、
かなりの日数経っていて心に限界が来ていたのかなと解釈しました。
青鷺が言葉を発したシーンではマヒトは鳥が言葉を発することに特に驚くこともなく仕留めようとしていたので、描かれていないだけで、数日前から青鷺から話しかけられていたのかな、、、など
想像力を働かせながら鑑賞するシーンが多かったです。
私の勝手な解釈ですが、、、笑
自分の心に訴えかけてくるような作品でもありましたし、1人の少年の成長ストーリーでもあり
家族愛、人と人との絆、自分を受け入れる強さなど沢山のことを伝えてくれた映画だと私は感じました。
見た人の心を映し出す鏡と言われている作品の為、他の方の考察を見た上でもう一度鑑賞したい作品です。
賛否両論と巷で言われてるが
賛否両論と巷で言われているが、少なくとも私の周りでは否定的な意見しか無い。
おすすめできないと言われながらも観に行ったが、予想以上につまらなく感じてしまった。単調な映画。前半は特に退屈。一緒に観に行った娘もよく分からなかったと言っていた。
いつ面白くなるんだろうと観ていたが、結局最後まで面白くならなかった。
やっとネタバレを恐れずに済む
ネタバレ、なんとか逃げ切り、(公式Twitter (X)に絵バレ食らったけど)やっと観られました。本当に何の予備知識もなく、「君たちはどう生きるか」も読んだことがなく、真っ白な状態で観たので、エンディングでいくつか驚いてました。
・菅田将暉どこで出てた!?
・あいみょんも!?
・キムタクも!?!????
声とかそういうの全然分からないので、エンディングでえっえってなってました。
他の方もレビューで書いてらした、過去作を彷彿とさせるところが随所にあって、なるほどなぁと思ってました。
私はたくさんの船の幻(だったかな)が出てきた時に、紅の豚を思い出してました。
あの時代の戦争は、船より飛行機のイメージがあるので、勝手に「死者は船に乗って還る」という普遍的潜在的なイメージの集合体(幻)かな?と解釈しました。
眞人が、ただでさえ戦争というPTSDになるだろう状況で大切な母親を亡くし、心はボロボロなのに着丈に振舞ってたらお父ちゃんは実母の妹と再婚するという…父親、ちょっと息子の心に寄り添え!って思いました。
心の汚れた私は、描写的に裕福な家系である母の家の金目当てなのかこの父はと思っていましたが、いなくなった妻子を探してめちゃ武装する姿でとりあえずまず自分の心を浄化しました。私にあの積み木は触れない。
大叔父の崩れた積み木は結局現実世界に何をもたらしたかっていうのはあの敗戦かな。世界中に衝撃もたらしたものね、あの終わり方は。
そこは観てる誰しもがもうわかってるから、わざわざ描かずにラスト「戦争終わりました」で締めたのかな。
新たな世界を眞人は新たな環境で構築していくんでしょうよ。
ナレーションで始まった(母がなくなり、翌年東京を離れた〜的なやつ)からナレーションで締めたんでしょうけど、余韻的なものはあまり感じなかった。作中でラジオででも終戦のことを流す…だと敗戦だからお葬式ムードになるか。希望のある終わり方にするには、本人の独白ナレーションしかないのかな。
この映画キャラの中で事前に存分に目にしてきた青鷺について
不気味な鳥→なんだこの醜いおっさん→なんだこのかわいいおっさん→スタンドバイミー…!!
となってました。
キリコと言い、夏子さんやヒミ、宮崎駿さんの好きな、律した女性はやっぱり逞しくて強かったです。
夏子さんは悪阻であそこまで落ちてた…?
大切な姉の忘れ形見(眞人)を傷物(こめかみあたりの傷)にしてしまって、自己嫌悪でもあったのだろうか。
子供が死を自己解釈するための、母の死を受け入れ、次に進むための大切なお話だったと思います。
宮崎駿さんの新作が観られて嬉しかったです。
ところで映画のポスターの青鷺、口の中の目がつぶらで、このつぶらな目からあの鼻のおっさんは詐欺かもしれんなと思いました。
最後の作品
おじいちゃんは最後に
「娯楽」でなく「文学」をやりたかったのかな?
って鑑賞中に思うくらい作品に入り込めなかった、むしろ早く終わらないかなと思った
事前情報いれたくなかったので公開2日目に観に行きました
何あの思わせ振りなポスター、
いままで「宮崎作品」といえば「超娯楽大作」だったじゃん、そう思って観るじゃん……
なので「娯楽作品」としては★1です
とはいえ「文学作品」と思って
もう一度観に行くことも 無いな
凄く面白かったです
自分が今まで見てきたジブリの中で一番好きな映画でした。凄く面白かったです。宮崎駿の世界観に魅了されました。見てみると「あー、そういう感じか。何か凄い満足したな。」って思えるような映画でした。
監督の遺言とファンへ問うタイトル
私はこの結末を選んだ。君たちはどうする?
前情報なく鑑賞しました。すぐに戦時下であり炎に包まれるシーンが出てくる。
あぁ、そうか。と悟った。
宮崎駿監督は太平洋戦争が始まった年に生まれた。
監督には切っても切れないのが戦争なのだ。
少年は監督自身かと見進めることにした。
母を亡くしたが亡骸に会えることもなく幻想か現実か分からない物事を見るようになる。
神隠しに会った人が1年後にそのままの姿で戻ってきたと言う。
実母の妹で父の再婚相手が姿を消す。
実母に会えるとそそのかされ異世界に行く。
そこで繰り広げられるのは過去の宮崎駿監督の作品を彷彿とさせるシーン達。
まるで繋がりのないようなシーンが繰り返される。
母親に会えたが母は炎の使い手となり息子を待っていた。
その世界の支配者を後継者として生きることを提案される。
後継しなければその世界は無くなる。
しかし少年は再婚相手の母を連れて地獄の世界に帰っていく。
実母は別の世界に帰っていく。
宮崎駿の人生の全てであり遺書である。
私の人生はこうだ。君たちはどう生きる?
と問われている作品である
宮崎監督作品の集大成!
前評判がイマイチなのでなかなか足が向かなかったが、今日ようやく観てきた。
結果、本当に素晴らしくて度肝を抜かれた。
そして、なぜこんなに低評価なのかと疑問を抱き、私がこの作品の良さを伝えなければと、急いでここに書き記している。
まずオープニングで涙し、途中で涙し、最後も感動で嗚咽、涙が止まらなかったというのに…。
宮崎監督82年の人生の集大成というのにふさわしく、宮崎監督の過去作品にも見られた監督の「信念」が、作品全体に概念として、また目で見てもわかるキャラクター等にも反映され、散りばめられている。
監督はいつも、丁寧に暮らしを作り出し、生き抜いていくことの尊さ、学ぶことの大事さ、自然の美しさ、あの世とこの世と、そのどちらも内包しながら生きて行く精神の崇高さ、そして、計り知れない想像力の素晴らしさを私に教えてくれる。
宮崎監督は以前、養老孟司さんとの共著「虫眼とアニ眼」で、子供でも正しくナイフを使える技術を身につけることが生きて行く上で大切、と語っていた。
今作の主人公も、ナイフを上手に使って竹を切り出し、自分でお手製の弓矢を作っていた。
その竹をナイフで削るシーンも丁寧に描かれていて、炊いたご飯をのりの代わりに使ったり、鳥の風切羽を使ったり、そもそも鳥の風切羽に何番という番号まで付けて識別できることを知っていて、それを当然の如く作品に生かせる知識の豊かさには相変わらず感服しきりなのである。
便利な現代の世にあっても、生き抜く上で本当に大切なことは、シンプルな道具を工夫して上手に使う技術や、豊かな知恵を身につけること、必要な物は自分で生み出すという意志の強さを持つことだと、時代の先駆者でもある監督は最後まで若い世代に訴えかけたいのだろうと感じられて、なおさら感慨深く、ファンである私はしかと受け止めた。
たしかに上辺だけを見ると少々気持ち悪いと受け取られるような表現も少しはあるのだろうけれど、その一つ一つの表現全てに意味があり、その深みを自分の感性や知識で感じ味わいながら深め、楽しんでいく作品だと思う。
とても不思議で、でも話の筋は通っているし、それほど重苦しくはなく、笑いと友情の素晴らしさもあって見応え十分なので、宮崎監督作品ファンの方はどうぞ必ず見て下さい。
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