劇場公開日 2023年7月14日

「“君たちはどう生きるか”の意味を感じ取ることも出来ないままに…」君たちはどう生きるか KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0“君たちはどう生きるか”の意味を感じ取ることも出来ないままに…

2025年5月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

私にはとても難しい作品で、
ただただ映像美だけに陶酔させて頂いた
ような印象の作品だった。

以前、宮崎駿映画の製作方法として、
見せたい“絵”を先に決め、
その後にそれらの“絵”を繫ぐべく
ストーリーを構築するとの話を
聞いたことがあったが、
この作品は正にそれを証明するような
相変わらずの見事な映像の連続ではあった。
もっとも、インコの軍団が登場してからは
そうとも言えなくなってしまったのだが。

果たして、
各キャラクターがビジュアル優先で、
全体ストーリーの中での意味性に
明確さを欠いた印象があり、
「となりのトトロ」のような、
現実世界とファンタジー世界の
上手い融合ではなく、
また、意識下としたいのか不明だが、
現実世界とは明確に別けた“下の世界”の
位置付けと共に、
主人公の父親の軍事工場経営者との設定や
そもそもが、太平洋戦争時を舞台とした意味
が最後まで私には理解出来なかった。

更には、「風の谷のナウシカ」のような
骨太の物語性が欠如している構成に、
この作品への没入感も阻害されてしまった。

そんな影響もあってか、
“君たちはどう生きるのか”のタイトルに
繋がる意味合いも
感じ取ることも出来ないままに
鑑賞を終えてしまう残念な作品となった。

KENZO一級建築士事務所