劇場公開日 2023年7月14日

「宮崎駿なき世界をどう生きるか」君たちはどう生きるか モアイさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0宮崎駿なき世界をどう生きるか

2024年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

令和6年7月3日に映像ソフト発売との事なので記念に書きます。

私は去年劇場で観てきました。
個人的には、もう活劇を撮らないならいいか…と、「もののけ姫」を最後に宮崎監督作品から離れていましたが、それでも今回劇場へ足を運んだのは、往年のプロレスラーかロックバンド並に引退と復帰を繰り返す監督のいよいよ本当の最後かも知れないと思ったからです。

映画は只々宮崎監督の衰えを感じて切なくなるものでした。そんな事は分かりきっていたじゃないか、それを覚悟のうえで看取るつもりで観にきたのだろうと自分に言い聞かせても、やはり溢れ出る「詰まらない」という感情。

導入部の母との死別、どこか軽薄でデリカシーに欠ける父や新しい母との距離感の描き方は流石という感じですが、疎開先の屋敷に何か人に対して意思が有りそうな青サギや大叔父が建てたという塔が出てきた時点で、あぁ異世界へ迷い込む話かと察しがつきます。

ところが異世界へ迷い込むまでにやたらと時間を掛けるのです。もうこっちは察しているのに、いつまで経っても行ったり来たりを繰り返して焦らします。そしてその焦らしが面白さに繋がっているように感じられないのです。

そしてようやく異世界へ行ったら行ったで、そこで描かれる殺風景でどこかで見た様なモチーフだらけの異世界の魅力に乏しいことと言ったらありません。

この作品を機に未鑑賞の宮崎駿監督作品を鑑賞していきました。特に「千と千尋の神隠し」は異世界に迷い込んだ少女がそこでの経験を経て少し成長する物語として、本作とも類似しています。こちらはとにかく腰が抜けるほど面白かったです。冒頭の掴みから異世界へ迷い込むまでのテンポの良さ、異世界とそこでの暮らしの魅力は本作とは雲泥の差ではありませんか!

ファンの中には今作と宮崎監督の少年時代のエピソードやスタジオジブリ内の事情等を照らして、私小説的な作品として評価している人もいる様ですし、作品のそういう楽しみ方があるのも分かります。しかしそういう予備知識のない、物語の上辺だけをすくう人でも楽しませる映画を作れたのが往年の宮崎駿だったんじゃないのか!?と思うとやはり淋しいのです。

ただ今回一番面白かったのは監督が次回作に意欲を示しているという報道が出た事。真偽は定かではありませんが、これまで残してきた作品で既に十二分に楽しませてくれた方なので、今後いかなる駄作を撮ったところで許されるはずです。我々はただ天才の所業を震えて傍観するのみ!

何より私は宮崎駿監督なき後の世界を生きる覚悟がまだできていません。例え誰にも理解できなくても妥協なき作品を完成させてくれる事を期待しています!!

モアイ
かばこさんのコメント
2024年8月12日

共感をありがとうございます。
作家個人の脳内は誰にもわかりません。分かりようがないです。
それをそのまま堂々と外部に向けて垂れ流すようではすでに作家として終わっているような気がするので、他人の脳内を読み解くのが好きな人なら評価するのかもですが、私は評価できません。
宮崎駿の最高作品は、「もののけ姫」と思っています。

かばこ
モアイさんのコメント
2024年7月5日

だいふくさんコメントありがとうございます!

意味わからなくてもなんか面白いと思えればよかったんですが、
他の人の考察とか見て、なるほどなぁと思っても『でも詰まんなかったなぁ…』ってなっちゃいましたね(*^q^*)
ポニョは意味わからなかったけど面白かったんですよ、個人的には。

そうですよね、歴代作品を意識させるシーン多かったですよね。
監督自身が自分のキャリア振り返ったって事なんですかね?

もしそうなら今作でこれまでの総括はできたのでしょうから、これからは更に先へ突っ走って欲しいって気が凄くします。

このご時世に見る人を置いてきぼりにする独りよがりな作品を全世界に発信できる人って限られてると思うので、監督ももっと生きて次回作も見せてよ!って感じですね!!

モアイ
だいふくさんのコメント
2024年7月4日

意味わからなく疑問だらけでしたね。

でもこの総集編というような登場人物や世界観は宮崎駿の集大成感はありました。
あえて分からなくなる事で、僕はこうやって生きてきたんだ、君たちはどう生きるのか?というメッセージにも読めました。

と、ちんぷんかんになりながらも自分をそう納得させました笑

だいふく