「結局楽しみました」君たちはどう生きるか yudutarouさんの映画レビュー(感想・評価)
結局楽しみました
娘と観に行った。
宮崎駿が新作やっているの全く知らなかっし、タイトル見て、本屋に並んでた漫画のアニメ化なのかと思ったら全然違った。で、面白いか面白くないか、というのもなかなか言えない映画だったよ。
冒頭の火事のシーン、子供の記憶のなかの風景がそのまま映像になったようで、アニメーションの作り手として、やっぱり宮崎駿は凄いと思った。しかし逆に中盤以降、舞台が非現実的になると幻想味は薄らいで、いつものジブリになっていたけど。それと全編、いつもよりダークな雰囲気があったので、今回は久石譲以外で音楽でやって欲しかったとも思った。
で、今作はわりと冒頭からリアルな路線でキャラクターたちも描かれていたので、今回は遂に萌え少女が登場しないのかと思っていたら、やっぱり登場した。しかも、萌え少女でありながら母親でもあるという二重に中年の幻想の気持ち悪さが投影されたキャラクターになっていて、良くも悪くも宮崎駿らしくてヤバいと思った。
それと今作で1番引っかかるのはストーリーで、神隠しや魔法的設定、少年(少女)の成長譚などこれまでの宮崎駿作品と同様のモチーフが散りばめられているのだけど、結局それらがまとまることなく、感情の着地点もよくわからないまま終わってしまった。直接目に触れない場所での死に支えられた軍需産業の恩恵で裕福に暮らす主人公という構図も、主人公がヒロイックに見えるので、子供には伝わりにくそうだし。それで「君たちはどう生きるの?」って問われても…という気分になるんだけど。しかし引退宣言したけど、やっぱり好きな素材、ファンタジーも美少女も戦闘機も全部詰めて物語が破綻していようが構わず好きな物作るのが俺の生き方で、あんたたちはどう生きるのかよ、ということなのかと思えば、タイトル通りだな、とも思えるが。
それにしても、宮崎駿新作なのに、教えてもらうまで公開されていることすら知らなくてびっくりしたけど、ネットでも情報あまりないし、またもや鈴木敏夫の戦略なのかと考えると滅入る。宮崎駿は追うけどやっぱりジブリはイヤだな。結局楽しんだのだけど。