「ポニョの別バージョン?」君たちはどう生きるか さくやさんの映画レビュー(感想・評価)
ポニョの別バージョン?
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日本では、魂は海からやってきて生まれ、死ぬと鳥となって飛び立ちます。
だから、ポニョが半魚人化したとき、鳥の脚を持つことに妙に納得したのです。
今回も、死後の世界、あるいは生まれてくる前の世界が描かれていますが、そこにはたくさんの鳥がいます。
彼らは死んだばかりの魂?
インコたちは、太平洋戦争で命を落とした兵士の魂でしょうか。
生まれ出る命、「わらわら」は、魚の内臓を食べて飛翔します。
わらわらを食べて、この世に生まれることを邪魔するペリカンたちは、なんのメタファなのか。
ポニョでは、宗介が「以前通ったことのあるトンネル」を抜け、「あの世」と思わしき世界へ到着しました。
今作では「通路」が登場しています。
大叔父が司っていた、今にも崩れそうな「世界」が太平洋戦争に敗北する日本なのだとしたら、大叔父とはいったい何者なのでしょう。
命の循環を、宮崎駿監督は、なんとして語り掛けているのか、一度ではわかりませんでした。
物語のもう一つのテーマは、「母を喪失した少年が、新たな母を得て母子になっていく物語」ではなかろうかと思います。
当時、妻が亡くなると、その妹を妻にすることは珍しくなかったのでしょうが、ナツコには姉への遠慮があり、眞人にも複雑な感情があったはずです。
亡き母とそっくりなナツコへの思慕もあるでしょうし、それでも母とは違うというためらいもあったのではないかと思います。
その葛藤が、「ナツコさんを探しに行く」ことでほどけていく過程が描かれているのかと。
なんにせよ、何度か見返さなくては、いろいろ見逃してることがありそうです。
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