「宮崎駿流ホラー&ハウルの声に一途な純愛を求めるならNG」君たちはどう生きるか あすさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿流ホラー&ハウルの声に一途な純愛を求めるならNG
まず、宮崎駿がホラー映画に挑戦したらこんな感じ。ワラワラというマスコットキャラが唯一可愛いものの、ススワタリやこだまのような単純なのに唯一無二で独創的なデザイン性は皆無で何かのCMで見たような何番煎じもされた造形でがっかり。なにより、他の人外キャラクターが総じて気持ち悪くてホラーを過剰演出してばかりで、画面を見ていると具合が悪くなります。まあ、ホラーなら仕方ないことです、エクソシストやムカデ人間とかもあの気持ち悪さが魅力なので。ただ、私はホラーを見に行ったつもりではなかったので、ハマらなかったです。
また、2人の女性を愛するキャラクターにハウルの声優である木村拓哉さんを起用したのはなんの意図でしょうか? 木村拓哉さんは声優さんではないのもあり、やはりハウルと同じ声に聞こえます。なので、ジブリでは一途なキャラクターを演じてほしい個人的希望がある人にはしんどいかもです。不倫とかではないし時代背景の問題ですが、姉妹で同じ男性に嫁ぐのを現代の純愛モノを楽しむ感覚で楽しむのは無理なので、時代モノだと割り切れる必要があります。
母を失い父が再婚するというデリケートな状態の未成年男子に突然自分の腹を触らせてあなたの兄弟ができるんだぞ受け入れろと迫る継母は私の価値観では好きになれませんでした。主人公はなぜおかあさんと呼べるようになったんでしょう?
そして、異世界では謎の石と契約すると現実の平和の均衡を保つ役目がその血族に与えられるという設定が唐突すぎて意味がわかりませんでした。新海誠のすずめの戸締まりの閉じ師と似たような存在ですが、閉じ師もなぜ閉じられるのかよくわかりませんでしたが、石と契約して云々はさらにまったくわかりませんでした。石の気まぐれなんでしょうか。
そこで、これは宮崎駿の生み出したジブリ13作品を基盤としたジブリと宮崎駿の自叙伝だと思うとたしかに解釈できます。
だけど、それなら見に行きませんでした。
少年の冒険活劇だから見に行ったのであり、宮崎駿の自叙伝なら見ませんでした。
また、この映画のテーマの1つである“1人の男性を愛してしまう姉妹、その子どもと破れた方の姉妹(つまり叔母)の関係、葛藤” も、現在公開中の「アイスクリームフィーバー」の方がよほど納得できました。
なので、この評価で失礼します。
『死の島』をはじめとする、数々の絵画のモチーフは好きですが、それなら美術展に行きますし。
宮崎駿の自叙伝を見たい方には星5の映画だと思います。