「田舎•森•海•塔そして迷宮•••世界がどうなるかは••」君たちはどう生きるか Zackさんの映画レビュー(感想・評価)
田舎•森•海•塔そして迷宮•••世界がどうなるかは••
まあ、ひどい言われようです。。(期待と違ったからってお金と時間の無駄遣いは言うなら、ただの悪口みたいな評価に時間を費やすのはどうなの?って)
自分が期待していたのは、昭和10年代頃の日本の元風景だっただけに、不思議の国のアリスのような西洋風な風景が散見されることにまず、がっかりしました。自分の印象では「ハウル」の範疇にはいるかなぁ。
これは、きっと子ども向けとは言えない「風立ちぬ」のカウンターなのでしょう。
ただ、今作が子ども向けかというとそれもまた違うような。
とにかくもっとシンプルにストイックに軸がぶれずに「物語」を進めてほしかったというのが個人的な感想です。ベクトルがあちこちに散らかってしまったような。。
ストイックにというのは、こちらが勝手に描いている監督には「日本の自然」をノスタルジックに描いてほしいという思いから遠くはなれてしまったからです。むしろ、水や光の色を巧みに表現しつつ、日本古来の伝統をエッセンスに交えた世界観を描く次世代の監督作品から逆にインスパイアされて迷宮入りしてしまったんじゃないかと邪推すら覚えた次第です。
ゆっくりと流れる序盤に予想されるような戦争後の田舎を素朴に描いただけでよかった。いくつものシーンがこれまでの総決算的なものに見えてしまうのです。
もっと、足下の物語が欲しかった。まぁこれは個人の趣味なんですけど。
監督がこの世に未練なく「後継者」として託せる次世代を見つけることを求められる要素(ハウルにも感じた)が垣間見得ることに共感できる視聴者もいれば、私のように個人的な事情を商業ベースに乗せたことに対して興ざめする者もいることでしょう。何も世界をすくう必要なんてないのにって思うんです。
キャラクター表現については、取り上げるとすれば、、
いくつもの象徴を掘り下げることはなしとして、自分は主人公が喧嘩のあと自身で傷をつけたこと、多くの朗らかなばあやの最後尾に唯一人背筋のシャンとしたキリコさんがタバコを嗜み、料理上手で逞しい人柄に魅力を感じました。
今際の際にある夏子さんが「呪い」を宿したような表情に違和感を感じた人もいるのではないでしょうか?あの時の夏子さんには、今敏風のキャラクターが見えた気がします。これまでの「怖い」モノを不気味ではあっても、怖く描かないできたはずなのに「あれっ?」って。。
あと、声優に関しては、あいみょん(個人的に好き)は流石に違うだろって思いました。(泣き叫ぶ声) もののけ姫の声以来、制作側?(監督とは言わない)の趣味の一貫だと理解したいところです。人の暖かさを描くジブリ作品に「甲高いヒステリックな声」はふさわしくないというのが私の見解なので。
そう言う意味では、他に上がる声優人にも違和感はありませんでした。キムタクはすぐ分かったけど、ハウル同様、我をださずに上手に演じていたし、菅田将暉もはまっていたと思います。(勝手に)
本来は、制作の背景やこれまでの作品を踏まえず中身そのもののレビューをすべきだと思っていて、ネタバレも控えたいし、悪評をわざわざ書くのもどうかと思っていたのですが、わざわざ揶揄するための言葉を探す論評があまりに多く、情けないなと思います。
それこそ、作品内の皮肉の対象(インコ)に身を窶してるようなもんだなと。