劇場公開日 2023年7月14日

「レビューを見てから鑑賞しても良いかも」君たちはどう生きるか 黄昏兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0レビューを見てから鑑賞しても良いかも

2023年7月16日
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鈴木PはSLAM DUNKに倣って一切の広告宣伝を無しを貫きましたが、SLAM DUNKとの大きな違いは、鑑賞者が原作をある程度知っているかどうか。SLAM DUNKは主人公が代わり、その目線の違いや原作では語られなかったバックストーリーに評価が集まったのだと思います。

この「君たちはどう生きるか」は同名小説からタイトルを拝借しただけではなく、ストーリーの中で亡き母親から送られたこの小説を読んだ主人公が、社会での貧富の差や、人生における取捨選択などに対する考え方、接し方が大きく変わっていきます。その点では大枠としての原作は小説「君たちはどう生きるか」であり、それをファンタジーの世界で宮﨑監督らしく表現したのが、映画『君たちはどう生きるか』なのでしょう。

私も小説『君たちはどう生きるか』を読むどころか、あらすじすら知らずに映画を鑑賞して、直後は「何が言いたかったんだろう?」だったのですが、改めて小説のレビューや原作(あえて原作と言わせて貰いますが)を知っている人の映画レビューを見るとストーリーや、ファンタジーの世界に配置された各キャラクターの役割や意味、作り手が何が伝えたかったのかも凄くしっくりきて、納得できます。
(スタジオジブリのあり方や宮﨑監督が後継者に伝えたかったことまで言及するレビューは踏み込み過ぎだとは思いますが)

無広告無宣伝の戦略も、まずはまっさらな状態で見てほしいという意図だとしたら、わからないでもないですが、難易度高すぎますよ。

ネタバレがいやな方でも小説のあらすじやレビューを見てから鑑賞する方が楽しめると思います。

最後にジブリファンの方にも十分に満足できると思います。
敢えてそうしているかはわかりませんが、大叔父の衣装、大叔父と大王と話すテラス、旨そうなパンなどなど、宮﨑監督の過去作とのリンクするシーンがふんだんにありますのでそれを探しながら鑑賞するのも良いでしょう。

黄昏兵衛