「これじゃないジブリの集大成を裏考察してみました 謎が分からなかった人は参考にして下さい」君たちはどう生きるか 雀の子さんの映画レビュー(感想・評価)
これじゃないジブリの集大成を裏考察してみました 謎が分からなかった人は参考にして下さい
これじゃないジブリの集大成
エンターテイメント性のある冒険活劇を妄想してワクワクで映画館に脚を運んだのに、全てが想像の真逆を行ってました。純粋に面白さを追求し老若男女が楽しめる作品を目指してもらいたかったから本当に残念でなりません。
内容はファンタジー冒険活劇ではなくオカルトホラーです。
※一日経ったので他で説かれてなかった自分なりの解釈を裏考察として記しておきます
裏考察なので他でやってる物は省きます。アオサギ、ペリカン、インコなど象徴的に鳥が出てきます。これは天を支配する者達、天使の意味合いが強いでしょう。鳥は日本では太陽に住む鳥、八咫烏を始めとする天孫族を意味し、それが住まう場所を鳥居と言うわけですが、神社は神道、そのトップは天皇陛下です。
作中の塔は天から降りてきた力を建物でおおったといい、その力を操れるのは大叔父。彼は世界のバランスを保つために墓石の積み木を毎日少し動かして世界の崩壊を食い止めている。大叔父とは今上天皇(当時なので昭和天皇)その人に他ならないでしょう。国民と世界の安寧を願い祈るお仕事をされている方はこの世にただ一人です。
神との契約でこの力は血族の男子に継がれています。地位と名誉と血脈。主人公の眞人はそれを受け継ぐ皇太子。しかし自らの悪意で下々の者に怒りの矛先が向かうよう自らの頭に拾った石で傷を負わせた悪意をもって自分には崇高な祭司の御子の資格無しと断りました。
そこに後ろからやってきたインコ大王、王の下に王を作ったのは大叔父である天皇は別格だという意味でしょうね。そして欲にまみれる後続の権力者達を表現しているんでしょう。ロートシルトとかロックなんたらとか……世界を牛耳ったつもりになってる方々。それがやってきて積み木を適当に積み上げて壊してしまう。このような人達に世界を託したら一時と保たずに崩壊する。それを説いてるんだと思います。
塔とはタロットの大アルカナの一枚で正位置でも逆位置でも凶。破滅のカードです。いずれは崩れる13個の積み木の塔は大きな世界と象徴的な建物のひな形として存在し、その崩れそうなバランスが世界の均衡をうまく表現しています。13の積み木は小アルカナ、私達が親しんでいるトランプの1から13であり世界の構成要素。
そして御子としての主人公も夏子の子もこの塔の中で生まれる特別な血脈の子孫である事を知らせていますよね。神の契約なので他の魂とは分けて表現されていると思います。戦争や経済的な計略で沢山の人が死んでいく。鳥が人の命を間引く。折角現世に向かって飛んでいく魂をペリカンが食べてしまう事で表現しているのかも知れません。自然界も強者が弱者を捕食するので、大差はないと考えての事かも知れませんが、あの世でもそんな事になってるのかと想像すると落胆しますね。
そして最後に大叔父の威光は継承されず、皇統が失われ塔は崩壊。近い将来そうなるかもしれないですが、その先にある欲にまみれた支配者達の易しくない超監視社会の中で君たちはどう生きるか……ああ考えたくない世の中です。
最後の希望は清き積み木の記憶を絶やさず、アオサギやキリコ達多くの友達を作り意識を共有し世界へ伝播させる力、それは愛の力とか言うと痒いけど、隣人を愛し世界が繋がる心が邪を払うと信じて、主人公の眞人が進むと決めた道なのでしょうね。ああ本当に良いテーマなんですが。娯楽性は殆どない作品でした。
※2日経ったので更なる深読みを記しておきますね
主人公の眞人は大叔父との言い合いの中で、その仕組みにも悪意が含まれていると言ってましたよね。これは積み木に対する思いなのか、大叔父の生き方に対するものか、はたまた皇統に対するものなのか……少なくとも現状の皇室のあり方を完全なる善とは認めていないのかもしれません……議論は尽くされぬままインコ大王が力を手にして壊してしまったので後は分からないですが、これからの神無き世を私たちはどう生きるか。作品全体を通してそれを問われているように私は思いました。
※3日経ったので多くの人が分からないと言ってる夏子の出産の謎について記します 今回で最後の追記です
作中の出産は塔の中で神の御子を迎える神事になっています。なので、血脈の男子を迎えるのはこの場所でなくてはならず、眞人の出産も弟の出産も同じように神事になっていたのです。神聖な石室の中で神社の紙垂のようなものがぐるぐる回っていますが、あの輪の中が神界へと通じているのでしょう。紙垂は現世と神の世界を分ける境を示す物です。石室は御船代(契約の箱、失われたアーク)として存在しているのでしょう。そしてそれに直接触れることができるのもまた神の御子だけです。ここで神の御霊が宿るのでしょう。そういう神事の場所です。石室に入ることのできる人間は神の御子のみ。夏子には神の御子が宿っているため入れますし、眞人は神の御子なので入れますが、ヒミ(ヒサコ)は入ることができません。入ることを拒否したのは、自分の愛する旦那の子を孕んだ妹の夏子の子が見たくないからという感情的な理由ではないんです。入れないんです。ヒミが薄情な者だからではありません。
ここでもう一つタロットの話をしましょう。広く知られているタロットカードはライダー版と言いますが、もう一つマルセイユ版のタロットが存在します。マルセイユ版タロットカードでは塔のカードは神の家と呼びます。きっと神の御子は神の家で産むものという事なのでしょう。巨匠がそんなマイナーなカードをネタにするだろうか?と皆さんは疑問に思うかも知れませんね。塔のカードと神の家のカードは大枠で同じ意味を持ちますし。でも神の家には一生懸命に築き上げてきたものが壊されるという塔の象徴的な意味の他に、神の家独自の解釈があり、それが神の意志によってもたらされた人生の選択という意味なんです。これって君たちはどう生きるかと何だか重なりませんか?神の家のカードには破滅だけでなく前向きに考えられる希望が有るんですよね。それは神から与えられた人生の岐路だった訳です。
という訳で、あの塔と呼ばれていた建物は実は神の家という激レアカードから着想を得ているだろうと私は推察しています。眞人はきっと破滅の中で希望的選択をしたのです。作中の最後に太平洋戦争が終わった後の世界が描かれている事がその証拠なのでしょう。そして志有る者達が、一人一人が清く正しく美しく世界を紡いでいくのでしょう。いつか忘れてしまう聖なる心を受け継いで行くのでしょう。この重いタイトルに(戦争へと傾いていく)時代が追いついたという鈴木敏夫さんの言葉と共に僕達はどう生きるか一人一人ちゃんと考えなきゃいけないのでしょうね。ここまで読んでくれてありがとうございました。
コレジャナイ感は共感しましたが、鳥と天皇家はやや強引かなと。
八咫烏を連想させたければ、カラスを描けばいいし、最後に友達として別れるラストとも噛み合わない気がします。