「真っ直ぐな映画でした。」プロミスト・ランド 春さんの映画レビュー(感想・評価)
真っ直ぐな映画でした。
昔好きだった飯嶋和一原作との事で観賞しました。
先祖代々、熊狩りを行っている集落に住む若者が、環境省から今年の熊狩りを禁止されそれに反発し狩りを行って警察に自首するまでが描かれます。マタギの若者達の行動は自然への畏敬を持たない環境省(都会人)への無自覚か抗議なのかな?と感じました。
ここで描かれる自然はとても厳しく恐ろしく、グランピングやらソロキャンプやらで描かれるアミューズメント的なものではない。獲物である熊を殺してその血を啜り毛皮を剥いで解体する行為にも自然な尊敬が溢れていて、高額なペットを売り買いし、挙げ句の果てにビニール袋に詰め込んで処分してしまう人間達とは対極にいるように感じます。
動物を殺し売る事は変わらないのに、全く違うものだと確信するのは何故なのでしょう。
若者二人の設定も秀逸で、マタギの家系のプライドと人生の鬱屈を全て熊狩りにかけ取りつかれている男、閉鎖された集落と時代遅れな熊狩りの習慣に嫌気がさしている男。この全く相容れない二人が熊を追い狩る行為の高揚を通して束の間心を通わせ、別れて行きます。
山に入り熊を狩り帰ってくる、ただそれだけの映画ですが、自然や人間社会の事を考えてみる少しの契機になりました。
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iwaozさんのコメント
2024年7月14日
鯨漁にも通じる命がけの厳粛な空気感、すごく良かったと思いました。
(T . T)
しかし、伝統文化に対して、もっと敬意を持って、国が守る姿勢をもっと明確にしないと、大切な文化が消えていってしまう気がします。
少数民族、少数派に対しても同様に、そこにこそ歴史があるし、学びがあるはずですよね。m(_ _)m