「ほぼ不安しかありませんでしたが」しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼ不安しかありませんでしたが
クレヨンしんちゃんの映画は、5年ほど前から毎回見ています
絵ならではのアニメーションとして、動きの面白さが楽しい作品だと思っています。
今回、3DCGって…、とほぼ不安しかありませんでしたが…。
映像面では、やはり3DCGには違和感がありました。
しんちゃんなど、頭身の低い子どものキャラはそんなに違和感はありませんでしたが、やはり大人の方は体つきや動きが微妙な気が…
また、体はいかにも3DCGなのに顔は2Dというのもなんだか…
子供にも分かりやすく、なじみのある顔にしているのだとは思いますが
あまりの違和感に最初はあまりストーリーが入ってこなかったのですが、しばらく見ているうちに慣れてきたのと、3DCGなのに顔は2Dというギャグだと思うようにしたのとで、中盤からはストーリーも入ってくるようになりました。
遊園地でのバトルシーンなどは、おバカでハチャメチャな設定やスピーディーでテンポの良い映像で十分楽しめました。
ストーリーとしては、ハチャメチャな超能力バトルという感じですが、敵キャラの充の設定が普通にリアルで、個人的には嫌いではありませんが、子供には難しいのではと。
今の日本の現状を批判したりなど共感する部分もありますが、しんちゃんを観に来る子供や親の層に響くのだろうかと。
大根仁監督が脚本も手掛けているようなので、監督のテイストなのでしょうか。
仲間を助ける為とはいえ普通にリアルないじめっ子とやり合うのを、頑張れと応援する場面も、ちょっとうーん…と。
このクレヨンしんちゃんという子供向けの作品で、子供同士で殴り合って相手を倒すという解決方法はいかがなものかと…
現実的にはやられたらやり返すしかないのかもしれませんが。
このあたりの場面では、客席の子どもが怖いなどと言っているのも聞こえましたし…
とはいえ、充の内面世界でのしんちゃんとのつながりにはぐっときましたし、孤独な子供時代に自分を認めて応援してくれる誰かがいれば、という部分も響きました。
最後も、今の社会の仕組みでは頑張っても報われないことが多い中、頑張れ頑張れ、と言ってるだけなのもどうなのかと…
この辺は、子供向け作品なので社会システムなどをどうこう言うのも難しいと思いますが、結構リアルに社会に対する批判的なセリフもあったので、それに対して最後は頑張れで収めるのか?と。
孤独で誰からも応援されたことのなかった充に、自分を認めて応援してくれる人ができた、という意味では良い終わり方だとは思いますが。
敵のビジュアルが「AKIRA」の鉄雄を連想させたり、ムー的な雑誌が出てきたり、そういう時代のテイストは嫌いではないです。
観る前は不安でしたが、後半は映像的にも楽しめて、ストーリーも響く部分があり、結構楽しめました。
エンドロールの構成も面白かったです。