「見る家庭を選ぶ映画」しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司 ちぃママさんの映画レビュー(感想・評価)
見る家庭を選ぶ映画
素直に涙しましたし感動できましたが、改まって振り返ってみると何点かこれで良かったのかなと疑問が残りました。センシティブなテーマを取り扱ったと思います。
・大人から子供への暴行シーンが何度も登場
→いい歳をした大人が5歳児を殴るといったシーンが何度も登場します。実際の殴っているところは映されませんしコンクリートに叩きつけられてもバウンドして大怪我のないように描かれていますが...うちの子供達は呪術廻戦や進撃の巨人チェンソーマンでもっとすごい暴力シーンを観ているので大丈夫でしたが、それを避けてきた家庭にとってはどうだったのでしょう?そういうシーンを入れるべきではなかったのでは?と。
・ひとり親世帯・共働き世帯への配慮
→子供一人で家で留守番させるのに、お菓子や惣菜弁当「チンして食べてね」を置いておかれるといったシーンがあります。親として子供の面倒を見ていない(共働き世帯だから面倒を見られない)が故に、子供が孤独を感じている、といった、親への非難のメッセージを感じました。高校生になって両親それぞれに好きな人ができて離婚するといったシーンもありました。一人で留守番、両親の離婚。これらを経験している家庭が見た時に、親は自分が非難されているように感じるのではないか?子供は日頃感じているかもしれない孤独感を再認識させられるような描写であり、それは親のせいで、僕達が寂しいのはやっぱりお父さんお母さんのせいなのかと。あまりに無配慮なのではないか?と感じました。あれを見たひとり親家庭は「うちは離婚してないの?もしくは離婚したんだよね?」ってなるのでは?どうなんでしょう、彼らを非難する必要はあったのでしょうか?
・社会を憎み絶望し、落ちぶれた青年に「頑張れ」のメッセージ
→これは違うと思いました。今ある状況は君自身の努力不足の何者でもない。君が作り出した物であって社会のせいにして腐っていても仕方がない。もう30歳、良い大人なんだ。僕らは自分で自分を幸せにして、生きていかなくちゃいけない。社会に半分絶望しながらも日々必死に頑張っている充くんは、観ている保護者のメタファーですよね。「頑張れ」はないんじゃないですか?頑張っているんです。頑張って夏休みを子供達と過ごし映画館に連れて来ているんです。「共に頑張ろう!」等、親側の気持ちに寄り添うようなメッセージが欲しかったです。
子供達は楽しんでケラケラ笑いながら観ていました。大人も純粋に楽しめる、励まされる映画として、充くんはもっと深掘りされているべきだったと感じました。テーマが重めなのでどう収束させるんだろうと途中からヒヤヒヤしながら見ていました。惜しかったです。でも何も考えずに観るなら、素直に感動できました。