「中国アニメ恐るべし!」ヨウゼン おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
中国アニメ恐るべし!
まったくノーマークの作品でしたが、アニメ作品は好きですし、公開初日に舞台挨拶中継付き上映もあったので、仕事帰りに鑑賞してきました。
ストーリーは、古代中国の仙界において、かつての戦乱で力を失い、今や落ちぶれて賞金稼ぎを生業としている仙人・二郎真君こと楊戩が、エンラと名乗る女性からの依頼で沈香が奪い去ったある物を取り戻そうとするが、沈香にはそれがどうしても必要な理由があり、そこには楊戩とも深い繋がりがあり、またエンラにも隠された秘密があり、それらはやがて一つの真相に収束していくというもの。
本作は、「封神演義」の登場人物を新解釈のオリジナルストーリーで描いたシリーズの第2弾らしいですが、前作は未鑑賞で、そもそも「封神演義」もタイトルぐらいしか知りません。ですから、どのあたりが新解釈なのかまったくわかりませんが、それでもなかなか楽しめました。
なんといっても圧巻だったのは、完璧なまでに完成された世界観です。古代中国をベースに、たっぷりのファンタジー要素を詰め込んで、圧倒的なビジュアルで描く作品世界に魅了されます。多彩な登場人物もしっかりキャラが立っていて、それぞれに魅力的に描かれ、確かな息づかいを感じるほどです。
そして、一度バトルシーンに突入すれば、華麗なアクションが目にも止まらぬスピードで繰り広げられ、巧みなカメラワークで躍動感たっぷりに描き出されます。しかも、仙界で身につけた驚異の必殺技やハイパー化バトルに目が釘づけです。もはや映像に欠点など見当たりません。
肝心のストーリーも、予備知識なしでも理解できるような親切展開。ちょいちょい専門用語や固有名詞が飛び出し、理解が難しい部分もありますが、メインストーリーが追えなくなることはありません。各々の目的のために行動している登場人物が、やがて一つの真実に収束していく展開が興味をそそります。
さらに、真相にたどり着いたと思わせてからのどんでん返しにより、最後まで予断を許さない展開がおもしろいです。最終盤は、あまりのファンタジックさに理解が追いつかなくなりましたが、その雰囲気は十分に堪能できました。ポストクレジットからはさらなる続編が匂わされ、今後も期待できそうです。いやはや中国アニメ恐るべしです。
キャストは、佐野晶哉さん、増田俊樹さん、沢城みゆきさん、津田健次郎さん、夏絵ココさんら。中でも、佐野晶哉さんの自然な演技は、声優初挑戦とは思えぬハマりぶり。キャラの雰囲気とマッチしていたといえばそれまでですが、本職相手に全く遜色なく、ポテンシャルの高さに驚かされます。
舞台挨拶中継では、佐野さん、増田さん、沢城さん、夏絵さんが登壇され、楽しいトークを聴くことができました。上映前だったため、内容に触れることがなかったのは残念でしたが、キャストのみなさんの作品愛は十分に伝わってきました。