「大学生探偵、広島へ行く」ミステリと言う勿れ akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
大学生探偵、広島へ行く
ドラマ版のファンです。
漫画原作は未読。
このドラマの菅田将暉がいい。久能整。くのうととのう。それに、最後にちょっとでたけど風呂光刑事。
映画になったこの事件は、もともとの原作のepisode4であるらしい。この事件は、犬神家の一族にも似て、関係者は限定されているが、江戸時代末期にまで遡って推理を行うという、なかなかこみいった物語なのであった。
ちょっと踏み込んだネタバラシをしてしまうが、現在の狩集家がもともとどういう経緯でできたのか、その子孫たちはどうやって生きてきたのかを推察する話なのである。
広島のある名家で、一人の男が亡くなり、四人の孫への相続が発生した。
たまたま広島へ乗り込んでいた久能整は、ちょっと変人ぽい依頼人である、相続人のひとりの娘さん(狩集汐路)とともに「ミステリ」を解いてゆく。
まず遺言が謎なのである。
それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ
あとでわかることなのだが、
被害者救済のことを考えると、まず正当な狩集家子孫の方々に家と土地すべてを返さなくてはならないし、蔵の床から出てきたお○をちゃんと供養せねばならない。
深い話である。
命というものは、奪い取ったものを返すことは不可能である。
江戸時代以前は、将軍の命令があれば、土地を奪い取ることは、可能だった。江戸時代でもお家取り潰しはあった。だが、個人間の奪い合いは許されるものではない。
この話は、江戸末期、明治維新のどさくさでひとつの家が乗っ取られたことになっているが、取引相手や近隣の目もあり、なかなかそんなにうまくはことは行かないと思う。
漫画全体として、人間社会そのもののメタファーなのだ。
美術館来訪のあと、原爆ドームが出てきたが、戦後についての言及はなかったように思う。
あと、天パーというだけで、存在を抹殺されてしまう家というのもあまりに恐ろしい。